2015年のソーシャルトピック、注目はイレイサブル系サービス?

アクトゼロの藤村です。火曜日のプランナーズブログをお届けします。

12月に入り、今年も残すところあと一カ月となりました。
2014年を振り返るソーシャルホットトピックスとして、諸外国では今、イレイサブル系のSNSや、メッセンジャーツールの増加が挙げられています。
イレイサブルとはその名の通り、投稿が消去されることが前提となっていて、情報蓄積型のFacebook等とは対極の概念で提供されているサービスです。
このイレイサブル系の有名どころとしては、日本でも今年話題になった10秒で消滅する画像アプリ「Snap chat」などが挙げられますが、今週は2015年に日本でも注目されるかも?な、HOTなイレイサブルサービスをご紹介します。

ハッキングできたら2000万円!?セキュリティ最強の「TelegramMessenger(テレグラムメッセンジャー)」

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日本国内では他の追随を許さない普及率を誇る「LINE」や、ヨーロッパや南米では普及率90%を超える「WhatsApp」など…メッセンジャーアプリは各国で決定版ともいえるブランドが存在しています。
そんな中、絶対王者WhatsAppとぐいぐい差を縮めつつある急成長メッセンジャーが「Telegram Messenger」です。
アップストア世界67か国で無料総合1位、グーグルプレイ世界10か国で無料総合1位の実績があり、昨年8月にiOS版を、同年10月にAndroid版をリリースし、以降確実にDL数を伸ばしています。
「Telegram」は「Snapchat」同様、投稿した画像や動画が一定時間(2秒~1週間の期間の選択式)で自動消滅するアプリケーション。
そしてこのイレイサブルな仕様の背景にあるのは、近年メッセンジャー系アプリケーションで問題視されている、セキュリティ面での強化です。

サーバーに保存されたメッセージや個人情報は、世界最高峰の暗号化が行われ安全に保存されております。
しかもEnd to End機能を利用したシークレットチャットでは、端末同士を直接接続するためにサーバーにログインすらせずにチャットができるようになります。当然サーバーにはなんのログも残りません。
また自動的にアプリ内からもメッセージが削除できるようになっており全ての痕跡を消去することが可能です。
出展:GooglePlay

もともと本アプリは、ロシアのセキュリティ当局やアメリカ国家安全保障局等の政府の情報機関等からでも、メッセージ内容を盗まれないようにと作成されたもの。
昨年のドイツの盗聴問題が、アメリカでの普及を加速させたのではないかとも言われています。
さらに、「Telegram」は収益を目的としていないため、マネタイズのための広告も課金制度も無く、今後どの企業体に買収されることもないのだとか。
収益を生まないサービス形態と、サーバー上に一切のログデータを残さないという運用で、どんな団体にも属さない中立で安全なメッセンジャーとして、ユーザーにアプローチしています。

また、サービス自体のセキュリティに絶対の自信を表明しており、「ハッキングできたら(深刻な脆弱性を発見できた場合には)2000万円進呈」という、ユーモラスなキャンペーンでも注目を集めました。
現在この2000万円を獲得できたユーザーは表れていないとのことですが、深刻といえる問題を発見したロシアのユーザーには実際に1000万円(10万ドル)を進呈した模様です。

残念ながらこの「Telegram」、オフィシャルクライアントは現時点で日本語未対応ですが、サードパーティで日本語版クライアントがリリースされています。

メッセージの安全性保持のため、「アーカイブ」の概念を捨てるという選択肢

メッセージアプリのハッキングと聞いて私たちが一番に連想するのは、徐々に収束しつつあるLINE乗っ取り詐欺ではないでしょうか。
「Telegram」では、情報のセキュリティを堅強にする手段として、メッセンジャーに「イレイサブル」を採用しました。
前述した日本語版クライアントを掲載したGooglePlayページでは、「仕事関連のメッセージ」での活用を推奨しており、重要機密のハッキング対策のひとつの手段として提案しています。

履歴が全く残らない為、全てのやりとりをイレイサブルにするのは不安も残りますが、もしかするといずれは、情報蓄積型とイレイサブル型のメッセンジャーを、用途によって使いわけする時代になっていくのかもしれません。