Facebook、Twitter、LINE… 巷には様々なソーシャルメディアサービスが流行しています。こうしたサービスは、ユーザーは無料で利用できるものが多いですが、その分の運営費や収益は、企業が提供する広告費で賄われているケースが多いと思います。ユーザーはサービスに登録する際に、自分の属性や個人情報を入力する必要がありますが、こうした情報を元に、企業側は自社の広告に合致したターゲットに対し、効果的に広告を出稿することができる仕組みになっています。
しかし、よく考えると、自分の個人情報が利用されている事実、少し気持ち悪く感じませんか?こうした背景からサービスが開始された「Ello(エロー)」というSNSをご紹介しようと思います。
「Ello」とは?
このEllo、今年の3月にローンチされたサービスです。現在、招待制で限定されたユーザーが登録・利用可能ですが、欧米を中心に、入会希望者が殺到し話題を集めています。オークションサイトのeBayでは、「招待される権利」が最高500ドルで売りに出されたほどだとか。
では、何故、人気を集めているのでしょうか。それは、プライバシーや広告に関する方針がFacebookと対照的であるから。Elloは、登録に本名不要・広告は一切なし・ユーザデータを商業利用しない・ポルノOKということを宣言しています。Elloのサイト内には以下のように明言しています。
あなたの個人データを収集して販売したり、あなたから友達への投稿を読んだり、あなたの社会的なつながりをマッピングすることは、気味が悪く、非倫理的である。「無料」サービスという見せかけのもと、ユーザーは押しつけがましい広告を受け取り、プライバシーを失うという高い代償を支払っている。
Collecting and selling your personal data, reading your posts to your friends, and mapping your social connections for profit is both creepy and unethical.Under the guise of offering a “free” service, users pay a high price in intrusive advertising and lack of privacy.
(https://ello.co/wtf/post/about-ello)
こうした点から、Elloは「反Facebook」SNSなどと表現されることが多いようです。
Facebookはユーザーアカウントの登録には実名でなくてはならず、違反した場合アカウント削除の処分もありえます。今年の9月頃から突然起こってきたEllo人気は、こうしたFacebookの実名制を拒否する人々が大量流入した結果と考えられています。日常的に二つ名や芸名を使って生活しているドラッグクイーン(男性の同性愛者による女装パフォーマー)と呼ばれる人々に対し、Facebookが実名での登録を迫ったところ、Facebookに嫌気をさし、より自由なSNSの場としてElloに続々乗り換えた、という話もあります。(2014.9.11 Facebook Targeting Drag Queens, Forcing Them To Use Their Legal Names)
広告なしでは、どのようにして運営費を維持していくのでしょうか。Elloはベンチャー・キャピタルから43万5000ドル(約4770万円)の出資を受けていますので当面は問題無いのでしょうが、いずれ有料で追加できるプレミアム機能の提供を始める可能性があると噂されています。
Elloは10月、公益法人(PBC)としてデラウェア州で登記したと発表しましたた。PBCとは、営利事業ではあるが、公共利益の創出を目的とする企業のことです。つまり、サービス立ち上げ時から謳っている「広告やユーザー情報で収益を得ない」というメッセージを裏付けることになりました。
「Ello」に登録し、使ってみた
Elloは現在、招待制となっているため、既存のユーザーから招待される必要があります。私の友人がこのユーザーだったことから、招待してもらうようお願いしました。すると、こんなメールが届きました。
早速、Joinボタンを押してユーザー登録を始めます。メールアドレス・ユーザーネーム・パスワードを入力します。
アカウントが作成されると、タイムラインが表示されます。デザインは至ってシンプルな作りになっています。
プロフィールの設定画面で、自分のプロフィールを入力します。Facebookと比べると、項目が少なく、シンプルな印象です。
自分のページでヘッダー画像を設定してみました。タイムラインには写真等の画像も投稿できます。動画等の投稿にも今後対応していくのではないでしょうか。Elloでは、ユーザをフォローする時、そのユーザを”Friends”もしくは”Noise”の、どちらかのタイムラインに登録するかを選択できます。前者では、タイムラインに大きく表示されるのに対し、後者は小さく折りたたまれて表示されます。相手には、どちらに登録されたかはわかりません。
まだ短時間しか触れていないのですが、感触としては機能がとにかくシンプルです。そのため、FacebookというよりもTwitterに近いような気がしました。今後のブラッシュアップで(有料かもしれませんが)様々な機能が準備されるのでしょうか。
本名不要・広告は一切なし・ユーザデータを商業利用しないSNS、Ello。今後、どのように普及していくのか注目したく思います。
@takadera https://ello.co/takadera
Photoby See-ming Lee