インドネシア・ジャカルタのモバイル事情を現地で調べてきた

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ソーシャルメディアやweb/映像の話題からすっかり離れてしまった、2週間に渡るインドネシアレポート(前編後編)。3週目の最終回は、ジャカルタのモバイル通信事情についてのレポートです。

 ある事情で、ジャカルタでのモバイル通信環境を日本からインターネットで調べていました。どうも数百kbps程度と遅いらしいことまでは分かりましたが、具体的な数値などの情報にはさっぱりたどり着くことができず・・・。実際に現地に行った際に、自分で調べてみようと思っていたので、今回の訪問でいろいろ調査してきました。

まずは通信機器とSIMカードを調達!

日本で普段使っているスマートフォンは、大抵そのまま海外に持って行っても使えますが、通信料が恐ろしいことになってしまうので、データ通信はしない設定にするか、海外パケット放題のプラン(ドコモAUソフトバンク)に加入する、もしくは、現地のSIMカードを購入して差し替えて現地の通信網を利用することになります。(その場合、機種がSIMフリーであることが条件になりますが。)

海外でデータ通信を停止するには、Docomo XPERIA SO-03D(Android2.3)の場合、本体設定→無線とネットワーク→モバイルネットワークで、「データ通信を有効にする」と「データローミング」の2つのチェックが外れていればOK。これでパケ死を免れる。不安なので毎回、空港のドコモで確認するので、備忘のためにメモ。

ジャカルタ・スカルノハッタ国際空港に着くと、まずビザを購入して入国手続を行い、手荷物を受け取ってホテルなりに向かう訳ですが、この手荷物を受取るバゲージクレームのエリアに早速、現地のSIMカードを販売する店があります。忙しいビジネスマンは、ここで調達してしまうのが手っ取り早いかもしれません。

 「CELLULAR KING shop」には、旅慣れた感じの
東南アジアのビジネスマンの皆さんがSIMカードを求めていた。

ホテルに荷物を置き、一息ついて向かったのは、ジャカルタ市街地の北部、コタ地区にあるショッピングモール「マンガ・ドゥア・モール」。

ジャカルタの秋葉原のようなところで、コンピュータ関連のモールでは東南アジア最大級なのだとか。小さな店が多数軒を連ねます。そのうちの一つのお店に入って、インドネシアのSIM事情について話を伺い、調達しました。

 

店主のイェニーさん。英語が堪能で、とても親切に相談にのってくれた。
「インドネシアでは、通信料金も安くないと売れないのよ」とのこと。
世間話や日本の話など、商売関係ない話でも盛り上がりました。 

 何種類ものキャリアやSIMカードを見せてもらいながら、店員さんに各キャリアの特徴について教えてもらいました。

キャリア名 エリア コスト・回線速度
Telkomsel 政府系企業。エリアが広く、
インドネシアのほぼ全土をカバー。
通信料が他より高い。
スピードは早くない。
3ヶ月契約が最短。 
Indosat Telkomほどではないが
ややエリアが広い。
スピード・コストは
どちらもそこそこ。
XL
3 後発企業のため、エリアは
狭く、主要都市部のみカバー。
コストが安く、
スピードも早い。
短期間契約が可能。
 (AXIS:1週間 3:1ヶ月)
AXIS
WiMax 高コスト・エリアが狭いので実用的でない。(モール内に販売店なし)

日本で言うと、NTTドコモにあたるのがTelkomselで、イーモバイルに当たるのが3やAXISといったところでしょうか。「ジャカルタだけの短期滞在だったら、AXISが安くて早いのでお勧め」とのことで、AXIS(7.2Mbps・1週間有効/6GB上限でRp49,000<約400円>)と比較用にTelkomsel(512kbps・3ヶ月有効/1.5GB上限でRp75,000<約600円>)を購入。インドネシアでは、通信料はプリペイドで期限と上限通信量が決められているようです。しかし、日本の通信料金から見ると、インドネシアでの通信料金は激安ですね・・・。

SIMカードは購入後、開通させるための登録が必要になります。自分でも頑張ればできるはずですが、インドネシア語で相当悩むはず。店員さんに代行してもらうのが安心です。自分の携帯電話に販売したSIMカード差し替え、登録作業を行います。5-10分程度で作業完了です。こうして無事、実験のための機材類が揃いました。

「マンガ・ドゥア・モール」2Fの「D&J Shop」。ロジテックの看板が目印。
Mal Mangga Dua Lt.2 No.31 Jl. Arteri Mangga Dua Raya
Phone:339 36842  Fax:612 7935 

通信速度調査開始! 

 今回、3種類の通信事業者と機材で、ジャカルタ市街地のあちこちを調査しました。

<A.>日本からレンタルしてきたWiFi (キャリア:XL)

もしも通信機材等が現地調達が出来なかったときのために備え、GlobalWiFiから海外対応のWiFi機材をレンタルしてきました。電源ケーブルとセットで、1日970円(インドネシアの場合)。現地の事情が分からなかったり、機材に詳しくない人にはお勧めです。日本のキャリアの海外パケット放題の料金よりも大分安いですし。

<B.>イーモバイルPocketWiFi(GP02)+現地SIM (キャリア:AXIS)

 普段、日本で使っているイーモバイルの端末をSIMカードを差し替えて使ってみました。イーモバイルのGP01GP02はもともとSIMフリーになっているので、海外SIMは勿論、国内の他キャリアのSIMにも対応しています。海外によく出かける人は、この点からだけでも買いかも。

 <C.>PC用USBモデム(O2)+現地SIM (キャリア:Telkomsel)


 イェニーさんのお店で、イギリスのキャリアO2のUSBモデムを購入。Rp350,000<約2800円>。PCに接続して接続するタイプです。

設定や接続をするためのソフトウェア「Mobile Partner」のインストーラーが内蔵しており、PCに接続するとインストールされます。

毎晩、ホテルに戻ると充電のためにこんな状況になってしまう・・・。

では、ジャカルタ市内のあちこちで計測してきた状況をご紹介しましょう。下り・上りともに3回BNRスピードテストで計測し、中間の数字をその地点・時間・キャリアの速度としてご紹介します。(計測に数十分間かかるような場合は、「計測不能」としました。)

<1.>ホテル8Fの自室(屋内) (Hotel Borobudur Jakarta)

A(XL) 下り:501.85Kbps 上り:484.37kbps
B(AXIS) 下り: 754.16Kbps 上り:209.27kbps
C(Telkomsel) 下り:566.29Kbps 上り: 767.02kbps

3Gの電波も拾っているようで、比較的状況の良い部屋だったようです。AXISが2Mbps、XLが1Mbpsを超えることもありました。ただ、1Fのレストランに行くと2Gになり、極端に速度が遅くなりました。

<2>中心市街地(屋内) (プラザ・インドネシア2F・屋内のカフェ窓際)

A(XL) 下り:606.92Kbps 上り:104.66kbps
B(AXIS) 下り: 156.11Kbps 上り:221.64kbps

 C(Telkomsel)は、この時点で実は購入していなかったので2パターンだけの計測です。プラザ・インドネシアは、高級ホテルが集う、ジャカルタでも中心街にあるショッピングモールです。写真中の後方に見えるホテルとの間には目抜き通りが走っています。日本でいうと銀座みたいな場所でしょうか。さぞかし通信状況は良かろうと思っていましたが、意外に良くない結果でした。

<3>中心市街地2(屋内) (SUMMITMAS TOWER 1F・屋内のカフェ窓際)


A(XL) 下り:2.93Kbps 上り:測定不能
B(AXIS) 下り:670.68Kbpss 上り:242.61kbps
C(Telkomsel) 下り:515.92Kbps 上り:30.86kbps

”ジャカルタ日本祭り”レポート・前編でご紹介した、日本食レストランbasaraが入るビジネスビルの1Fにある喫茶店で計測。市街地から少し南に位置しますが、ビジネス街のようなので期待していたのですが、それ程良くはありませんでした。XLに関しては、ほぼ電波が入っていない様子でした。

 <4>モナス前の広場(屋外) 

A(XL) 下り:688.4Kbps 上り:386.26kbps
B(AXIS) 下り:809.77kbps 上り:234.59kbps

モナス(独立記念塔)は、ジャカルタ市街のランドマークタワー。周囲は神宮外苑のように広い公園や緑で囲まれています。ジャカルタ日本祭の前日、まだ人がまばらな時に計測。やはり見通し良い場所だと良い結果が出ますね。

<5>ジャカルタ日本祭り会場(屋外) (モナス・ムルデカ広場)

<開会式中 11時頃(人もそれほど多くない時間帯)>
A(XL) 下り:563.64Kbps 上り:18.81kbps
B(AXIS) 下り:733.6Kbps 上り:235.20kbps
C(Telkomsel) 下り:476.54Kbps 上り:530.28kbps

<16時頃(人がかなり多くなってきた時間帯・上記写真撮影時)>
A(XL) 下り:568.51Kbps 上り:測定不能
B(AXIS) 下り:537.44Kbps 上り:212.82kbps
C(Telkomsel) 下り:429.81Kbps 上り:68.70kbps

 先週の記事(”ジャカルタ日本祭り”レポート・後編)でご紹介した、クロージングイベントの会場で計測。人出が多くなるに連れて特に上りの回線状況が厳しくなっていきました。毎年、3万人を超える人が集まるイベントですから、ある程度は仕方ないのでしょう。

会場を歩き回っていると、取材中のメディアのクルーの姿が目につきます。そのうちの1社、全国紙「KOMPAS」のニュース専門ケーブルテレビ局のKOMPAS TVのクルーが、以前記事(いつでも、どこでもHDでライブ中継機材「LiveU」)でご紹介した映像伝送機材、LiveUを使っていました。

まさかの遭遇に大興奮!取材中の祭のHD映像をSDI接続でLiveUでスタジオに伝送し、スタジオで編集してオンエアしているのだとか。Telkomselを4本、Indosatを4本、計8本の回線を束ねて使っていました。「インドネシアはモバイル速度が遅いので大変。撮影の時も、カメラを素早く動かすとNG(変化の激しい映像は、圧縮率の関係でデータ量が大きくなり、より太い回線が必要となる。回線が追いつかないと、コマ落ちやフリーズの原因となる)なので、LiveUを使った撮影の時には、ゆっくり動かさないとダメなんだ」とは、VE兼カメラマンのFikriさん。レポーターの女性が、来場者にインタビューしていました。

お互い、同じような仕事同士なので、コミュニケーションがスムーズ。次回、ジャカルタ訪問時にゆっくり情報交換することを約束しました。「仕事しなくて大丈夫なの?」と、心配してしまうほどつい話し込んでしまいました。

 まとめ

 数日間で調べたインドネシア・ジャカルタのモバイル通信事情。調べたエリアを地図に、計測結果を表にまとめました。2枚の画像を比較しながらご覧下さい。

 時間があれば、もっと様々な地点で調べてみたかったですが・・・。各キャリア、使ってみての感想ですが、

・AXISは比較的早い。上り回線の安定さが突出している(常時200kbps)。
・Telcomselは回線状況にムラがある印象を受けた。
・XLは2G回線になってしまうと極端に遅くなり、使用に耐えなくなる。 

 こんな印象を受けました。

ざっくりと、インドネシアのモバイル事情をまとめると、「調子が良いと下りで1-2Mbpsが出ることはあるようですが、通常の場合、下り500kbps程度、上り200kbps程度」といえるのではないでしょうか。