インドネシアのモバイル通信計測マップ ~ジャカルタの4GLTEサービス”BOLT!”を使ってみた

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先週、インドネシア・バリ島でのモバイル回線状況についてレポート(2014.11.26 インドネシアのモバイル通信計測マップ ~バリ島のモバイル電波状況2014)させていただきましたが、今週は引き続いて、インドネシアの首都・ジャカルタで開始されたLTEの使用レポートをお届けしたいと思います。

2014年1月、ジャカルタにおいて、地元通信会社PT Internux社がLTEに対応した高速携帯通信事業を開始したことを発表しました。

次世代の高速通信規格である「LTE」に対応した高速モバイルデータ通信サービスを、昨年12月24日よりジャカルタ首都圏にて開始しました。圧倒的な通信速度・品質のサービスを提供し、同地域の旺盛な需要を取り込むと共に、現地通信環境の高度化に貢献することを目指します。長期的には、ジャカルタ首都圏以外の地域へのサービス拡大や、モバイル通信網を核とした周辺事業への参画も視野に入れます。
http://www.mitsui.com/jp/ja/release/2014/1201956_5704.html

この事業には、日本の三井物産が資金を投じています。数年前までジャカルタでは、平均で下り数百kbps程度しか出なかった状況でしたが、LTEサービスの開始からおよそ1年、ジャカルタのモバイル回線の環境はどのように変化したのでしょうか。

ジャカルタのLTEサービス「BOLT!」

PT Internux社が行っているLTEのサービス名は「BOLT!」。プリペイド型のデータ通信専用のサービスとなります。事前にデータ容量(インドネシアでは、このことを”プルサ”と呼びます)を購入し、使い果たした後は追加料金を支払うことで再び通信することができます。インドネシアでは、通話の料金形態もプリペイド型なのが一般的です。

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http://www.boltsuper4g.com/

首都ジャカルタとその周辺の都市圏のことを、各地域の頭文字を取ってジャポダベック(Jabodetabek)と呼び、約2400万人の人口を抱え、東京圏(約3500万人)に次ぐ世界2位の大都市圏となっています。BOLT!のサービスエリアはこのジャポダベックのみとなり、インドネシアの他の都市ではサービスが提供されていません。

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エリアマップ http://www.boltsuper4g.com/jaringan-bolt.html

Boltの販売店はWebサイトに情報が出ていますが、主に大型のショッピングモールに専門店「BOLT! Zone」が入っています。またPCや携帯電話などを扱う一般の販売店でも購入できるようですが、登録作業にはインドネシア語でしか表記のないwebサイト(英語版もありません)から行わなければならないので、自信のない人や、購入後すぐに使いたい人は、専門のスタッフの居るBOLT!ZONEの方が確実かもしれません。

まずは「BOLT!」端末を購入する

バリ島から国内線に乗って、ジャカルタに到着後、タクシーで向かったのは、ジャカルタ北部にあるショッピングモール「プルーイット・ビレッジ(Pluit Village)」。BOLT!のウェブサイトにも載っており、BOLT!Zoneがあることを確認済みです。

日曜ということもあり、ジャカルタ名物の大渋滞にはまることなく、およそ30分で到着。(タクシーの初乗りが70円!空港から1000円程度で到着。) まずは、建物の規模の大きさに驚きますが、経済成長著しいジャカルタでは、このような富裕層をターゲットとしたショッピングモールがあちこちでオープンしています。

http://www.lippomalls.com/site/pluit-village.html

 ショッピングモールの受付でBOLT!を購入したい旨を伝えたところ、案内されたのは、モール1Fの吹き抜け付近に特設されたBOLT!のプロモーション用ブースでした。店員さんに聞くと、BOLT!Zoneではなくてもここで購入・登録代行できるとのこと。早速、手続きを行ってもらいます。(高級ショッピングモール内では英語を話せる店員さんが多いです。)

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スマートフォンタイプの端末も2種類ほどありましたが、データ通信専用の端末、いわゆるポケットWifiタイプの2種類のものの中からSLIMを選択。449,000ルピア(約4500円)で、デフォルトの状態では10GB(1ヶ月間有効)の通信容量がついてきます。数ヶ月前までは3000円程度で購入できたようで、だいぶ値上がりしたようです。バッテリーのサイズが大きい(持続時間が長い)ものはもう1000円程度高いようです。登録用のため、外国人の場合はパスポートの提示と、メールアドレス・電話番号が必要です。

20141203_05SIMカードを受付のお兄さんが自分のタブレットPCを使って登録代行を行ってくれます。待つこと5分程度で開通しました。

20141203_06そこで、受付ブースで早速、自分のスマートフォンをWiFi接続して速度をチェック。なんと、下り29.55Mbps・上り8.66Mbpsを記録!日本国内並みの速さの余り、つい声を上げて驚いてしまいました。

20141203_07ところが、ここで一つ問題が発生しました。登録したメールアドレスには、webで自分の登録状況や残り容量を確認するためのパスワードが記載されたメールが届くはずなのですが、私には届いていません。登録したメールアドレスは日本で使っているもののため、受信を拒否している可能性があるとのこと。メールアドレスを別のものに登録する必要があり、こちらのブースではその手続ができないため、モール内の3F(中2階があるので、体感的には4F)のBolt!Zoneに案内されました。

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前に5-6人程度が順番を待っていたようで、30分位待つように言われましたが、実際には10分足らずで受付に案内されました。メールアドレスを私用で使っている@gmail.comで終わるGmailのアドレスに登録を変更してウェルカムメールを再送してもらったところ、無事にGmailで受信することができました。BOLT!の登録に使うメールアドレスには注意が必要ですね。

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本体は、最近日本でもよく見るようになってきた、中国・HUAWEI社のものでした。パッケージの中には、他に充電用ケーブル、SIMカードが入っていたパッケージ、英語併記の取扱説明書が2通、保証書が入っていました。特典として、LINEの20,000ルピア分(約200円)のクーポン券が入っていましたが、インドネシア語で書かれているため、使い方は分かりません。インドネシアは、LINEの人気が高まっている国の一つなのです。 

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 市街地で実測!

 無事、BOLT!を使えるようになったので、早速、町中で速度を計測してみます。ショッピングモールからタクシーでジャカルタ中心地に向かう途中、何回か計測してみました。ところが…

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 17時頃、計測したところ、下りが平均4.51Mbps・上りが平均1.4Mbpsという結果でした。ジャカルタの空港で3GサービスであるXLというキャリアのもので3Mbps程度出ていたので、驚くほど速いという結果には至りませんでした。ただ、上りで10Mbpsを超えることもあり、エリアによって状況が良い場所と悪い場所があるのかもしれません。

途中、立ち寄りがあり、ホテルに向かうタクシーの中でも20時頃再度計測してみました。

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下り平均5.87Mbps・上り平均3.16Mbpsといった結果でした。これまでのインドネシアでのモバイル回線環境を考えれば、かなりの改善となっていますが、ショッピングモールで記録した数十Mbpsという数値は実現しませんでした。

ホテルにチェックイン後、食事を取るために、1Fのレストランへ。窓際の席でBOLT!とXL(3G)を計測して比較してみると、BOLT!は、下り1.26Mbps・上りは1.55Mbps。XLは、下り2.20Mbps・上りは1.00Mbps。3Gのサービスが上回る結果でした。

20141203_14明日の早朝には日本に戻るために飛行機に乗らなくてはならないので、ジャカルタ市街地を歩きまわる時間がありません。食後、ホテル近くにある、インドネシアのランドマークタワーであるモナスの近くで計測してみました。BOLT!は下り0.90Mbps・上り0.25Mbps。XLは下り3.07Mbps・上り0.40Mbps。BOLT!の完敗です…。

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翌朝、タクシーで空港へ向かい、チェックイン・出国手続きを終え、搭乗口付近で計測しようと思ったところ、なんとNo Serviceの表示で接続することができませんでした。後日、エリアマップを見てみると、空港一帯が綺麗にサービス圏外でした。まあ、空港にはWiFiがあるので困りはしませんが、残念な結果です。XLは圏内で、問題なく下り3.47Mps・上り0.87Mbps出ていました。

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帰国後、BOLT!のホームページにログインしてみました。SIMカードの電話番号と、Gmailに送られてきたウェルカムメールに記載されているパスワードが必要です。登録した情報や、残りの容量(プルサ)が確認できます。一ヶ月後にはこのプルサは消滅してしまうので、次回ジャカルタ訪問時にはプルサの追加が必要です。オンラインで購入できる他、現地のコンビニエンスストア(インドマート・ミニマート・セブンイレブン等)でも購入できると購入時に説明されました。

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1日の間だけですが、ジャカルタで4GLTEサービスを利用してみましたが、これまでのレポートでお伝えした通り、大きな期待ができるほど高速ではありませんが、場所によっては数十Mbpsのスピードが出ているエリアもあり、ムラがある印象でした。まだサービス開始から1年なので、設備の増強を進めている最中だと思いますので、今後この状況は改善されていくのではないでしょうか。一方で、XLによる3G回線の品質が、バリ島同様、ジャカルタでもだいぶ改善されているのが印象的でした。数年前までは下り数百kbpsしか出ていなかったのですが、今回の計測では3Mbps程度は出ていました。

XLはジャカルタ市内でLTEのトライアルを開始したり、インドネシアの通信最大手のTelkomselはバリで4Gサービスを開始した後、主要都市でも開始する予定があるようです。インドネシア全土で4Gが使えるようになるのもそう遠くはなさそうです。

今回、ジャカルタで計測した結果もマップに反映させています。どうぞご活用下さい!

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googlemap:インドネシアのモバイル通信計測マップ

Photo by Fumi Yamazaki