アメリカ政府による「女性への性的暴力撲滅」を訴えるバイラル動画『1 is 2 Many』

1is2many

金曜日のネットマーケティングレポートをお送りします。
アクトゼロの黒沼(@torukuronuma)です。
capt

4月末、ホワイトハウスはYouTube上で一本のバイラル動画を配信しました。「1 is 2 Many PSA」と名付けられたその動画は、公開から1週間で120万再生を呼び、Facebook上では58,000回を超えるシェア(2014年5月8日時点)が行われています。PSAは、Public Service Announcementの意味で日本で言う「公共広告」的な意味合いです。

男性スターから動画を見ている同じ男性たちへのメッセージ

映画俳優ベネチオ・デル・トロの、

「俺たちは問題を抱えている。君の協力が必要だ」

という語りからスタートし、動画には次々と大物男性スターが現れます。人気ドラマ『ホワイトハウス』の俳優デュレ・ヒル、映画俳優のスティーブ・カレル、『007』のダニエル・クレイグ、人気テレビ司会者セス・マイヤーズ。

「大学のキャンパス、バー、パーティで、そして高校でも『それ』は起きている」

「俺たちの姉妹、娘。俺たちの妻や友人たちに『それ』は起きている」

「それは、性的な暴力。俺たちはこれを止めなければいけない」

We=俺たち男性という、自分たちが女性への暴力の当事者になりうる可能性を示しつつ、メッセージは続きます。

「俺たちは止めるんだ、聞いてくれ」

「彼女が同意していない、もしくは同意の表明が出来ないなら、それはレイプだ。暴力なんだ」

「犯罪なんだ。間違っている」

ここで、女性への性暴力問題に長年携わってきた、バイデン副大統領が登場します。

「その状況に遭遇したら、君はかつて教わったように行動に出なければいけない」

「もし遭遇したら、俺は声を上げて止める」

「彼女を非難するんじゃなく、彼女を助けるんだ」

「俺は、その『問題』の一部にはなりたくない」

「俺は、その『解決策』の一部になりたいんだ」

「私たちは、男性全員が『解決策』の一部となってくれることを望んでいる」

「これは、人間の尊厳や責任に係る問題なのです」

そしてオバマ大統領が登場します。

「性的暴力に終止符を打つ私たち全員の責任なのです。それはあなたからスタートします」

「1 is too many = たった一度だけ起きたとしても、『もうたくさん』な出来事なのだから」

性暴力の問題を人ごとにしない、出演陣と視点設定の巧みさ

このバイラル動画のポイントは、ダニエル・クレイグ、ベネチオ・デル・トロなど、男性人気の高い出演陣を使いながら、女性への性暴力という問題を、自分たちの問題として取り上げる事に成功している点にあります。「性暴力」をどこか遠くのろくでなしの仕業とするのではなく、あくまで自分たちの男性性の延長線上にその可能性があり、暴力を起こすのも、防ぐのも男性の「選択」によっているということを「We=俺たち」という共通の視点で訴えているのです。

そして特に巧みなのは、その男性のなかにバイデン副大統領や、オバマ大統領も例外なく含まれているという演出に有ります。「全ての男性」の問題だというメッセージを、国の代表が行うことにこそ、特別な意味合いが生まれているのです。

ホワイトハウスのYouTubeアカウントは40万人の登録ユーザーを抱え、すでに4,700本を超える動画が配信されています。アメリカでは、政府主導の公共広告でもコンテンツマーケティングの手法が採用され、バイラル動画の活用が当たり前となっているのです。