放送・業務用途のテープのさまざまな種類

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業務・放送用で使われるビデオテープには様々な種類が存在します。過去に制作した映像のマスターテープや素材テープを使ってコンテンツを修正したりする際に、一体どんなメディアで収録されているかは、制作にあたり、非常に重要な確認事項になります。今回は、そんな業務用映像メディアの種類についてまとめてみましょう。

業務用映像メディアの種類

かつて、家庭用ビデオの規格で、業界を席巻すべくVHS・β、Blu-Ray・HD DVDの争いがあったように、業務用においてもその規格争いは昔から激しく、様々なフォーマットが、時代と技術革新のはざまで、現れは消えてきました。しかし、そんな中、一般的に主流とされた規格がそれぞれの時代にありました。現在、映像制作に関わっている上で、扱うことのある規格を大別すると、以下のような感じでしょうか。

◆アナログによる記録方式(SD) ベータカムSP・Uマチック

◆デジタルによる記録方式(SD)
  D2・デジタルベータカム・DV・DVCPRO・DVCAM

◆デジタルによる記録方式(HD) HDV・HDCAM

◆データ形式  

テープの種類を聞かれたらロゴや型番を読む

既存の映像素材を映像業者に渡す時、テープの種類を聞かれて困ることがあると思います。そうした場合、テープやケースに描かれたロゴを見ましょう。映像のフォーマットにはそれぞれ名称があり、その名称にちなんだロゴマークが描かれています。それらを伝えれば、映像業者であれば大抵の場合通じます。

また、型番などに記された数字は、そのカセットテープの最長収録時間を示しているので、その数字から、収録されている映像の長さを憶測することもできます。

では、様々な放送・業務用フォーマットについて見ていきましょう。 

ベータカムSP(BETACAM SP)

SONYが開発したカセット式VTR規格。80年・90年代頃には、放送用・業務用において世界中でのデファクト・スタンダードとなったといえるほど普及した。民生規格のBetamaxを基に開発された。カセットには、「スモール」(カセット寸法:156×96×25mm 最長30分収録可能)と「ラージ」(カセット寸法:254×145×25mm 最長90分収録可能)の2種類がある。

Uマチック

 1969年にSONY・松下電器・ビクター等によって、世界初の民生用カセット式VTRとして発表された。(それまでの映像記録メディアはオープンリール方式(カセットに収まっておらず、テープが剥き出しの形で再生・記録する)だった。)民生用ではあったが、VTRが非常に高価だったため一般家庭には普及せず、放送・業務用途で使用された。ベータカム発表以前では主流の方式だった。(カセット寸法:186×123×32mm 60分収録可能) 弊社でも極たまに(数年に1回)、昔の資料映像素材として持ち込まれることがある。2000年に製造完了。

D2

 SONY・アンペックス(米)によって1988年に開発された規格。ラジオ・テレビ局によって構成される日本民間放送連盟が映像素材の交換規格として採用したため、放送番組の送出や、TVCMの入稿用途に広く用いられた。そのため、一昔前のTVCMやテレビ番組の素材であれば、大抵D2の場合が多い。テープサイズにはS(カセット寸法:172×109×33m 最長22分収録可能)・M(カセット寸法:254×150×33mm 最長94分収録可能)・L(最長188分収録可能)の3種類がある。

デジタルベータカム

1993年にソニーが開発。それまで放送・業務用規格のデファクトスタンダードになったBETACAM SPの後継を狙って開発、商品化された。現在でもSD制作の場合のマスターテープとして使われることもある。サイズにはS・Lがある。

DV

1994年HDデジタルVCR協議会より家庭用として発表されたデジタルビデオの規格のひとつ。手軽に高画質デジタル映像が扱えるため、家庭用はもとより、これをベースにして開発された業務放送用規格も広く普及した。テープには小型カメラ用のMiniDV(最長80分収録可能)と、据え置き型デッキ用を主体としたDV(最長180分収録可能)の2種類存在する。

DVCPRO

DV規格を基礎にパナソニックが開発、1996年に発表された。テレビ局の報道取材向けに使われることが多かった。テープ速度を上げて信頼性を高めたDVCPRO50、HDに対応したDVCPRO HD・DVCPRO HD EXなどがある。カセットの種類は3種類で、M(97.5×64.5×14.6mm)、L(125×78×14.6mm)、XLカセット(172×102×14.6mm)がある。

DVCAM

DV規格をベースにソニーが開発した業務用ビデオフォーマット。テープ速度を家庭用のDVの1.5倍に早めることで信頼性を高めている。HD映像制作以前、非常に幅広く使われたフォーマットである。また、機材の価格もそれまでのものと比べて安価で、業界的に制作コストを下げることになったフォーマットともいえる。現在でもSD制作時によく使われている。カセットにはmini(最長42分収録可能)スタンダード(最長184分収録可能)の2種類がある。

HDV

日本ビクター、ソニー、キヤノン、シャープの4社により策定され、2003年に発表された。HDの高画質が気軽に扱えることから、家庭用のフォーマットとしても一時期主流として採用された。業務用分野では、比較的ローコストでHDでの制作が可能なことから多くの撮影現場で活用されており、ソニーによって多機種が生産されている。

HDCAM

1997年にSONYによって開発されたHD映像制作向けの規格。Digital BETACAMのHD対応仕様で、現在のHD制作で幅広く利用されている。デジタルベータカムと同じくSカセットで40分、Lカセットで最大124分収録可能。24pモードでは少し伸びて、50分と155分になる。

データ(ファイル形式) 

家庭用ビデオでは、すでにHDDやSDカードでデータ形式で記録するフォーマットが主流ですが、業務用でも、近年、メモリーカードなどにデータ形式で記録する、テープレスの方式も多くなってきています。

SONYでは、SxSメモリーカードに記録する「XDCAM」、家庭用のAVCHDフォーマットをベースにした「NXCAM」、Panasonicからは、P2カードに記録する「P2HDシリーズ」、AVCHDをベースにした「AVCCAM」など、様々なフォーマットが発表されています。

これらの素材を編集して作品を制作するのですが、最終的にはテープに記録して納品や、DVD・Blu-Ray制作会社に入稿することになるので、完全にデータだけで完結することはあまりありません。