電子書籍、まずは自炊を試してみる ~kobo TOUCHで~

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タブレット型PCの本格普及に伴い、徐々に一般化してきた「電子書籍」。今年は日本でも大手の電子書籍サービスが開始され、2012年は、まさに電子書籍元年と呼ばれるにふさわしい年だったのではないでしょうか。また、”自炊”と呼ばれる、書籍を裁断してスキャンしてPDF化することも多く行われているようです。

私はマンガや小説を含めた読書が好きで、比較的多く本を買って読んでいる方だと思いますが、どうも電子書籍には食指が動かないままでした。本(紙)は、電子デバイスのようなビュアー不要・電源不要で楽しめる最高のコンテンツ形式だと思っているからです。

ですが、この時代にwebやコンテンツなどに関する仕事をしている以上、流石にそろそろ試してみようと思い、はじめて手にして見ることにしました。

kobo TOUCHで自炊データを読む

先月11月時点では、amazonのkindleは未発売、しかも思い立った時には予約で一杯だったため、2012年7月にサービスを開始した楽天のkobo TOUCHを入手しました。発売当初の対応の迷走コンテンツ数の水増し等から、ネットユーザーの間でネガティブな評価が多い中、ハードウェア的には優れているという意見も。

オークションで中古美品を2800円で落札!
この価格ならもし使わなくなったとしても惜しくありません。

手にしてみると、なんだかおもちゃのような錯覚がしますが、なかなか良くできています。早速、無料の青空文庫のデータを入れて読んでみますが、紙の本ではない違和感はほんの数十分でなくなってしまい、普通に読むことができます。6インチのディスプレイで、ハードカバーと文庫本の中間程度のサイズの筐体でしょうか。重さもスマートフォンを少し重くした185g。文庫本が150g程度なので、片手で持ち続けて読んでいても疲れません。これなら満員電車の中で立っているときでも十分に読むことができます。タブレットPCとは異なり、機能は読書に割り切られ、ネット接続などには限界がありますが、それが逆にこの程良い使用感を実現しているように思えます。うーん、これはガジェット好き・本好きにとってはなかなか良いものかもしれません。

ところで、新しい電子デバイスを導入する時、一番重要なポイントが「その機械で何をするのか」目的を明らかにすることだと思います。そこで、私の中でkoboを使う目的を以下のように定めました。

1.すでに持っていてよく読む本をPDFスキャン(自炊)して手軽に持ち出せるようにする
2.手持ちの書籍のほとんどを電子化して本棚に空きをつくる
3.今後の動向を見て使うサービスを判断したいので、電子書籍データはまだ購入しない

スキャン(自炊)を行うには、本を物理的に切断し、スキャナで数百ページを取り込まなければなりません。機材が必要なだけでなく、手間・時間がかかるため、自炊を代行するビジネスが生まれました。しかし、違法ダウンロード等不正利用の温床となるとして出版社や著作者から訴訟が起こされています。

ですが、現時点においては、まだ司法判断が示されていないため多くのサービスが展開されています。そのうちの一つを選んで早速注文してみます。

住所やメールアドレスを流れに沿って入力。paypal経由で決済もオンラインで完了。
初回は1冊だけお試し無料サービスを提供していたり、
指定のデバイスへの最適化をしてくれるサービスもあります。 
kobo最適化と、お急ぎ便をオプションで追加。 

申込み後、指定の住所に本を送ります。電子化後、元の本を購入した証明をするためにカバーは自分で保管した方が良いでしょう。また、スキャン後、裁断した本は基本的には処分されますが、有料で返却しているサービスを行なっている会社もあるようです。

自分にとって旅のお供の本ってありませんか?電子化して旅先に何冊も持ち出したいのです。

到着の報告などもメールで連絡してもらえるので安心。データはID・PW付きでzipファイルをダウンロードする形で納品されます。無料お試し+お急ぎサービス+1冊だけだったためかもしれませんが、到着日に納品してもらえました。通常は数営業日かかるようです。

早速、koboにデータを入れて見てみましたが、最適化してもらったデータは見た目に少々気に喰わなかったので、ChainLPというツールで自分でトリミングしたり調整します。

そして再度、koboにデータを転送。koboは2GBの保存領域にデータが保存されます。microSDスロットもあるので32GBまで増設可能です。結果、kobo TOUCHで観たイメージがこちらです。 

写真にするとかなり綺麗そうに見えますが…。

…。 普通に文章を読むにはほぼ問題ありません。しかし、見た目綺麗かどうかと問われると「綺麗である」と断言はできません。私は想定・期待していたクォリティーが高かったせいか正直、「こんな程度か…」と思ってしまいました。液晶ではない、電子ペーパーの画面に限界があるのかもしれませんが、スキャン時の影響で、文字が微妙に傾いていたり、紙送りの微妙なスピードのせいで一部微妙に長体や平体がかかったようになっていて、読んでいるとそっちの方が気になってしまいます。

繰り返しますが、ただ読む分にはまず問題はありません。ですが、自分がずっと手元に置いておきたい本を全て自炊による電子化したPDFをマスターデータとして置き換えることに納得できるか?私の答えは残念ながらノーです。DVDが出た頃、画質がすごく綺麗だから映画などをDVDで揃えてたのに、ブルーレイが出て後悔したという人も居るのではないでしょうか。

ただ、本体が軽量で読みやすく、複数の本を持ち歩くことができる電子書籍は本好きには実に魅力的です。そのためには、2冊準備して保存用・電子化用にするしかありません。サテ、電子化用に古本屋やオークションでシリーズ全巻をもうひと揃えして来ようかしら、と思った時気づきました。

koboコンテンツ を検索

人気のある本はあまり値崩れがしておらず、ハードカバー版だと某古本屋チェーン店では800円くらいの価格が付いていました。オークションで落札した場合送料がかかりますし、数百円であるとはいえ自炊代行費用を計算すると、どんなに安く手配しても電子書籍版と殆ど変わらない金額になってしまいます。手間を考えれば、むしろ電子書籍版よりも高くつくかもしれません。しかも、質は決して高くなく、電子書籍版のフォント表示の方がはるかに綺麗なのです。

自炊には割り切りが必要

そんな訳で、先に掲げた、私がkoboを使おうとした最大の目的

すでに持っていてよく読む本をPDFスキャン(自炊)して手軽に持ち出せるようにする

これは私にとっては実現できない結果になりました。経験を踏まえて感じた、自炊による電子化・電子書籍感は以下のような感じです。

1.読めれば良いと割り切れる本は自炊する。(殆ど読まず、捨てても良いが念のため保存しておきたい本)
2.本当に好きな本だったら電子書籍のデータで買っちゃえ。(万一、サービスが停止したら、すでに買ったデータ専用機にすればよい)

ただ、今の本棚を見直してみると、定期的に読み直す本は少数で、多くは一度読んだままのものばかりであることにも気付きます。これらの本を全て電子化させれば本棚が半分以上は空くはずで、空いた本棚に、一冊koboを置いておけば済むのは大きな魅力です。

koboは中古市場で安めに手に入るようです。(日経トレンディネット:中古品が投げ売り! 楽天「コボタッチ」がもたらした意外な効果) 実際、私もオークションで安価に入手できました。また、microSDカードを使えるのでローカル上に大量のデータを保存できます。(kindleは外部メモリスロットは付いてなく、内蔵2GB+クラウドを利用します) こうした見地からも、自炊派には非常に魅力的なデバイスかもしれません。

そんなことを言いつつ3Gモデルのkindle Paperwhiteも買っちゃいました。
 こちらの話はまた改めて…。