紅白の『イェーガー!』ツイートには、キャンペーン成功のヒントが隠されている…かも

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新年あけまして、おめでとうございます。アクトゼロの藤村です。
本年もソーシャルメディア周りを中心に、フレッシュでちょっと面白い話題をご提供できますよう、尽力して参ります!

さて、昨年2013年最終日の夜、ツイッターが最も賑わったのは20時半頃。
NHK紅白歌合戦に初参加の『Linked Horizon』が歌う、『紅蓮の弓矢』が放映された瞬間でした。
『紅蓮の弓矢』は人気アニメ作品『進撃の巨人』のオープニング主題歌で、サビ中の歌詞の一節である『イェーガー』という単語を、多数のユーザーが同じタイミングで一斉にツイート。
Linked Horizonの紅白出場が決まった日から、ツイッター上では『ツイート数でラピュタのバルス越えを狙おう』という呼びかけが蔓延していたので、目にした方も多いのではないでしょうか。
結果は18万8000ツイートほどで、秒間ツイート数(TPS)でも『バルス超え』には至らなかったようですが、なかなかの記録を叩きだしました。

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『進撃の巨人』は2013年を代表するヒット作ですし、もともとアニメ、漫画方面と親和性の高いツイッターで盛り上がりをみせたことに関しては、自然な現象に思えるのですが…。
この一連の流れの中で個人的に面白いと感じたのが、『イェーガー』と呟いたユーザーの、目的意識の強さと団結力でした。

勝手にワードを指定するユーザーと、黙って従う多くのユーザー

『紅蓮の弓矢』は全体的にアツイ歌ですが、『イェーガー』と叫ぶ場面は曲中でも盛り上がりが最高潮に達する瞬間です。拳を天に振り上げるくらいのテンションなのです。
つまり、そのテンションのまま文字に起こした場合、

「イェェェェェガァァァァァ!」

や、

「イェーーーーーーガーーーーー!」

のような猥雑なワードが入り乱れ、結果的に「イェ」だけがトレンド入りするのではないかという懸念を指摘する声が上がり始めました。

そこで、『ツイートワードはイェーガーに統一するべきだ』と呼びかけるユーザーが現れました。

BczjtENCIAAZ-Ot実際に拡散された画像

結果として、多くのユーザーは『イェーガー』という単語を遵守したツイートを行ったようです。
この結果は、呼びかけたユーザーのアカウントが絶対的な影響力を持っていたからではなく、ツイートイベントに参加していたユーザーたちの、明確な目的意識に裏付けられるものであると考えられます。
ホットワードやトレンド入り、また単語でのツイート数記録を狙うというひとつの目標を共有するユーザーは自ずと統率され、一丸となってイベントに取り組んでくれるのだということを証明した、ひとつのテストケースといえるのではないでしょうか。

『イェーガー』はツイッターキャンペーンを成功に導くヒントになるかも?

ツイッターのみならず、ソーシャルキャンペーンを成功させるために、まず打破しなければならない二つの壁は、「参加させること」と「拡散させること」ですね。
キャンペーンそのものの話題性や企画内容はともかくとして、価値あるインセンティブを設けたり、拡散導線を要所に設置しているにも関わらず、あまり振るわない施策も多々あります。

参加と拡散、企業とユーザーの間に立ちふさがるふたつの壁を乗り越えるヒントは、『イェーガー』ツイートの一連の流れにそれぞれ、見ることができたように思えます。

1.ツイート内容を簡易で単純なものに限定する
2.明確な目標を設定し、それを公表する

紅白の進撃の巨人ツイートは、『イェーガー』という指定ワードを呟いて、『バルスを超える』という目標設定のもと行われました。
また、以前記事にした『ポッキー&プリッツの日』についても、呟くワードは『ポッキー』に限定。
『24時間内に最も呟かれたブランドを目指す』と公表し、見事目標数を大幅に上回るかたちで記録を達成しています。

どちらの施策にもインセンティブの設定はありません。
ユーザーのモチベーションは、記録達成という目的意識の共有で成り立っているのです。

1.ツイート内容を簡易で単純なものに限定する

『あなたの身近の○○なエピソード』や『あなたの考える○○は?』のような質問形式の施策はよく見られるパターンのひとつですが、文章を書くという行為自体の敷居はなかなか高く、とっつきにくいものになりがちです。
参加の段階で躓かれてしまうと、当然ながらキャンペーンは広がらないまま、燻り続けてしまいます。

もしも、キャンペーンで目指すCVがブランド認知向上やブランドプロモーションであるなら、漠然とした題材をユーザーに投げかけるよりも、すぐに実行に移せる手段を限定した方が、成功への近道になるかもしれません。
キャンペーン開催日時を数週間に設定し、一日数件ぽつぽつと呟きがあるような施策を行うよりも、敢えてツイートする時間などを限定的に狭めることで瞬間最大風速を高め、ホットワードやトレンド入りを狙うことができるかもしれません。

2.明確な目標を設定し、それを公表する

キャンペーン訴求の手段としてツイッターの拡散力に結果を求める場合、拡散に繋がる動機(モチベーション)を明確にすることは非常に有効な手段です。
明確な目標を掲げることで目的意識を持たせ、その達成の為に結束する『目標設定型施策』は、バイラルしやすいだけではなく、参加動機にも直結し、結果の発表までユーザーに忘れられることもありません。

目標設定型の成功事例としては、日清ツブヤキソバ(キャンペーン終了)などがわかりやすいです。

ツイート数が増えれば増えるほどインセンティブが豪華になっていく仕組みで、目標数値達成のために、つながりのあるユーザーをどんどんまきこむ動機付けに成功しています。
目的意識を同じくしたユーザーたちの間でキャンペーンは加速的に広まって、たったの1週間ほどで2,000件を超えるツイートが寄せられるヒット事例となりました。

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さいごに

もちろん、『イェーガー』ツイートは、打倒バルスをファンたちが真剣に目指した結果として成功したわけではなく、単純な年末のお祭り騒ぎや、ファンの作品愛が根幹にあってのことでしたが…。

たったひとことの単語を呟くだけでちょっと楽しくて、結果にドキドキして、志を同じくする全国(全世界)の人たちと一緒になにかを成し遂げているような達成感を得られる。ひとつの指標を掲げ、そこを目指して団結する力を上手に作用させる仕組みはソーシャルメディアの特性上非常に相性がよく、単純な当たり外れのインセンティブを掲げるより、ユーザーが得る満足度も高いように思えます。

一般ユーザーの間で自発的に派生するソーシャルの流れのなかに情報が爆発するためのメソッドを見つけていくことは、プロモーションやキャンペーンを考案し、成功への障害をひとつひとつ駆逐してくための、重要なヒントになるかもしれません。