カスタマーレビューのエンタメ化は、Amazonのあたらしい魅力になるか

金曜日のソーシャルメディアインサイトをお送りします。アクトゼロの黒沼(@torukuronuma)です。

Amazonで買い物をしていると、商品の詳細の下辺りにカスタマーレビューというコーナーがあります。実際に購入したユーザーが、その感想を書き込むことができる機能なのですが、最近この機能にネタとしてクオリティの高いレビューが多く投稿されるようになりました。時にストーリー仕立てだったり、皮肉が聞いているものや、感動的なものまで、今日は読み物としての面白さがたびたび話題になるAmazonカスタマーレビューについてお送りします。まずは実際のレビューをご覧ください。

アニマルビッグフィギュア【親キリン】(等身大フィギュア)/¥507,000の場合

誰がどういう必要性があって買うんだ(失礼)と、なかなか利用シーンが浮かばない商品ですが、レビュー欄は熱く盛り上がっています。こんな具合です。


最も評価されているレビューがこのテンションです。ほかにも、

戦国時代からのカスタマーレビューです。

カルビー じゃがりこ サラダ 60g×12個/¥ 1,164の場合

3,500人近くが参考になったとしているレビューです。

2chコピペのようなクオリティです。

KAGEROU/齋藤智裕/¥1,470 の場合

水嶋ヒロの第5回ポプラ社小説大賞受賞騒動の際には、多くの批判レビューが寄せられました。

星ひとつレビューが多く寄せられる中、一見高い評価のレビューかとおもわせて、水島つながりで全く無関係な「ドカベン(水島新司)」のレビューを寄せるユーザーも。

カスタマーレビューをAmazonのエンターテイメント要素に。

やっと本題です。

ご覧いただいたとおり、現状アマゾンカスタマーレビューがただのレビューの場ではなく、ネタ発表の場としても使われています。下手なブログより人の目に触れ、「参考になった」ボタンが押されることも多く、反響を感じやすいよくできたシステムです。ただし現状カスタマーレビューは、Amazonアフィリエイトプログラム等とは全く違い、一切レビュアーに金銭的メリットはありません。

Amazonネタレビューは、2chまとめサイトやWebニュースサイトなどで、定期的に取り上げられアクセスを集めています。このアクセスの流れを最大化できれば、「商品」にAmazonのサイト上で接触する人は増え、その一部は購入にもつながるでしょう。

かと言って、アフィリエイトのように「売上に比例するインセンティブ」を与えてしまっては、ポジティブレビューが集中してしまい、レビューの公平性(そしてネタ文化)が保たれなくなってしまうでしょう。

そこで、Amazonはレビューの「参考になりました」数に対してインセンティブを与えてみてはどうでしょうか?良いレビューでも悪いレビューでも、ネタレビューでも、「評価されるレビュー」へのドライブがかかるでしょう。ネタレビューが話題になれば、商品ページのソーシャルメディア上での拡散も広がりそうです。この仕組であれば既存のアフィリエイトの仕組みとも競合しません。

ボケ共有サービス「ボケて」が活況です。日本は、黙っててもボケたい人達がいっぱいいる「ボケの国」なのだと思います。

数あるショッピングサイトのなかで、Amazonに面白いものがあるとユーザーに理解されれば、ショッピング以外の理由でにAmazonを訪れるユーザーは増えそうです。「役に立つレビューランキング」を作れば、面白いレビューへのアクセスも容易になるでしょう。現実のショッピングモールに、シネコンやアミューズメント施設や子供向けイベントなど、エンターテイメント機能が必ず備わっているように、買いたいものはなくてもレビュー目当てでついつい訪れてしまう、Amazonはそんな新しいショッピングプラットフォームになれるかもしれません。

 

黒沼透(@torukuronuma)