「インスタ映え」デジタルが支えるアナログ的なもの

さぁ、ついに2017年の師走が今日から開始しました!忘年会や年末のご挨拶、年内納品に忙しい年末シーズン、気合を入れて参りましょう!

そんな年末恒例の発表の一つ、「新語・流行語大賞」の発表が本日の17時にされる予定となっています。1984年から数えること34回目を迎えた今回、30ワードがノミネートされています。

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ネットの普及によって、多様な趣味嗜好が選択できるようになり、マスメディアの社会に対する影響力が過去と比べると弱くなった今、”流行語”という存在自体少し懐疑的に感じる部分はあるものの、2017年を反映させるキーワードが並んでいます。

デジタルマーケティング的には「インスタ映え」のワードに目がいきます(しかも、下馬評的には有力候補のようです)。実際、このキーワードをGoogle Trendsで調査してみると、2017年の夏以降、急激に伸長していることが分かります。

「インスタ映え」というキーワードともに、2017年、日本においてSNSサービス中で最も注目を浴びたのはInstagramではないでしょうか。2015年810万ユーザーでしたが、2017年10月には2000万ユーザーを突破しました。特に若い女性ユーザーがユーザーの中心となり、おしゃれな日常の写真をアップする姿が目立ちました。

SocilMediaLab【最新版】2017年11月更新! 11のソーシャルメディア最新動向データまとめ  より

Instagramが支持を集めた理由の一つとして挙げられるのが、写真などの画像の色調や彩度などを簡単に加工できる「フィルター」機能の存在です。

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手軽に撮影した写真を、オシャレっぽく加工することができ、ただ撮影しただけの写真ではなく、レトロな雰囲気など、作品らしさを簡単に演出できることがウケた訳です。

Instagramが流行る以前にも、「トイカメラ」が流行ったりしました。一般的な工業製品であるカメラと比べて、簡素な作りのトイカメラは、歪み・ボケ・色調の変化などが生じ、一般的には欠陥ではあるこうした効果が、サブカルファンのユーザーなどによって逆に支持されました。私自身もだいぶ昔ですが、ビンテージのポラロイドカメラ「SX-70」の暖かな色合いにハマったものでした。当然、「インスタ映え」という言葉(どころかInstagram自体)が生まれる前ですが、このような写真・画像に魅了されたユーザーも多かったと言えるでしょう。

アナログ+デジタルのカメラ

「インスタ映え」がもてはやされる風潮の中、一旦はその役割を終えたような昔のカメラに、デジタル部分に機能の拡張を加えた製品が人気を集めています。「写ルンです」といえば、90年代に流行した使い捨てカメラですが、実は今、また若い女性の間で人気が高まっているのです。

10代女子向け総合メディア「マイナビティーンズ」の調査結果によると、2017年に流行した「モノ」の4位に「写ルンです」がランクインしており(参考サイト)、Instagramで「#写ルンです」で検索すると、33万件以上もの投稿がされています。

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Instagram #写ルンです

実際、販売元の富士フィルムの直営店では、昨年比で写ルンですで売上が5倍になった店舗もあるのだそうです。

Instagramやトイカメラ風の、デジタルでは表現できない”レトロ”な写真、画質があえて荒かったり、色が淡かったりといった、独特の温かみのある雰囲気に仕上がる点、シンプルに”写真を撮るだけ”という単純な機能性が逆に新鮮、現像するまで作品が見れない期待感がある、等の点が若い世代に支持されている理由なのだとか。現像時に、画像のデータ形式でCD-Rへの書き込みを依頼することができ、PCが必要になりますが、Instagramはじめ、SNSに公開することができます。

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オフィス近くの写真屋さんでは、スマホ転送サービスを独自に行っていました。
店員さんの話によると、やはり大分売れているとか。

また、インスタントカメラの「チェキ」も、Instagramの普及に併せて売上を増加させています。先月に発売された「instax SQUARE SQ10」は、撮影した写真をメモリーに保存可能で、その場で画像の加工やフィルターをかけることができ、すぐにプリントアウトが可能なカメラです。

従来のチェキは、のぞき穴式の光学ファインダーだったため、撮影した写真は実際印刷するまで仕上がりが分からず、失敗することが多かったのに対し、新型機はモニター画面による撮影で、印刷する写真も選べるため、フィルムを無駄にすることがなくなったのがメリットなのだとか。

「その場で印刷」を体験したい場合には、スマホで撮影した画像をチェキフィルムに印刷することができるスマートフォン用プリンタも発売されています。

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近年、レコードやカセットテープの人気が注目されたりと、レトロなものに注目が集まる機会が増えつつあります。InstagramというSNSの普及によって、絶滅したかと思ったアナログなものが、デジタルと組み合わさることで新しい需要や興味を喚起できています。「写ルンです」のブームは、メーカー側から仕掛けたものでは無いとのことですが、もしかしたら既に絶滅したと思われているレトロなものでも、デジタルと掛け合わせることによって、復活させることが可能なのかもしれません。

久々に自分で、”写ルンです”を買ってみました。「インスタ映え」する写真を試しに撮ってみようと思います!