書くことを深めるmediumを企業はどう活用するべきか

20161011

こんにちは、アクトゼロの山田です。
スマートフォンの普及に加え、コミュニケーションサービスの充実が、情報発信のあり方や、コミュニケーションの形を大きく前進させました。例えば、その1つに情報発信におけるスピード感の向上が挙げられます。思いついたことや偶然の出来事を即座に発信ができる仕組みだったり、それを即座に受けて取ることができるフォロワーとの関係といったように、速いスピードでコミュニケーションが行われるようになりました。

当然のことながら、そこでやり取りされる内容は、荒削りなものが多くなることになり、質自体が低下する傾向も徐々に表れてきています。そうなると、単なる即時性に寄った投稿に飽きはじめる層も一定数いるわけで、逆に情報の質を高めていこうという流れも生まれ始めています。そのひとつが、Instagramで、ただ単に撮影した写真を投稿するという使われ方だけでなく、しっかりと作り込まれた自身の作品を披露する場として役割も担っています。そして、もうひとつ、文章の面においても、「medium」というサービスがじわじわとその勢力を拡大しつつあります。

「ストーリー」というコンセプト

001

このmediumというサービス、元々Twitterの創業メンバーの一人が立ち上げたもので、文書を書くためのプラットフォームです。昨年日本語に対応したことから、日本でもユーザーが増えつつあります。このサービスは、分かりやすい表現を使うならば、ブログの延長線上にあるもので、主に文章と画像によってユーザーがコンテンツを作ることができ、発信するための仕組みを提供しています。ただ単に、「ブログ」といってしまうには、少し乱暴で、より質の高いコンテンツにフォーカスしていることが伺えるもので、日本語のサービスページでは以下のように述べられています。

Mediumは、140字では表現できないアイディアやストーリーを、友達以外とも共有しあえるインターネット上の新しい、みんなのための場所です。あなたの生活をより豊かなものにする小さなストーリーや、世界を変える提言のために設計されました。プロのジャーナリストから素人の料理人まで、いろんな人に使われています。シンプルで美しく、みんなで使うこともでき、さらにはあなたの伝えたいことを受け止めてくれる人を探すことができます。

しっかりとした考えの元に作られた文章(ここではストーリーですが)を投稿し、それをシェアしたり、議論をしたり、mediumではただ単なる発信に終わらない、ユーザー同士の繋がりの上に、より深めていけるような土壌が形成されています。投稿されている文章を読んでみると、ある意味、信念や哲学といった個人のマインドに近い部分を、素直に発信できるようなサービスである印象を受けます。既存のSNSとはある意味対極にあり、インスタントなコミュニケーションに対するアンチテーゼとして、じわじわと市民権を獲得しているように感じます。

企業としてmediumでどう発信するか

このmediumというサービスを企業が活用することを考えると、これまでの他のサービスとはちょっと違うということを認識する必要があります。mediumで発信されているストーリーは、そのほとんどが個人によるもので、企業の名前を前面に出したものは限りなく少ないのではないかと思います。

これはストーリーと言うものが、パーソナルな思考を前面に出したコンテンツとして位置付けられているもののため、一企業が単なる情報発信を行う場として適していないためです。数年前、企業のソーシャルメディア活用が始まった時にあった議論、友人や知人と繋がっているソーシャルメディア上でいかに企業がコミュニケーションを取っていくべかと言う話にとても似ているかもしれません。ソーシャルメディアにおける企業アカウントが当たり前になった現在では、このような話題は殆ど見かけることがなくなりましたが…。

002

活用企業一例(公式サイトより)

では、mediumでは、企業がどのように活用すればいいのか?まずは、企業に属する個人(社員)を前面に出して、medium上で自然な形でストーリーを発信することから始めるべきだと思います。企業然とした体裁を取るのではなく、あくまでも個人の言葉によって伝えることに徹するべきです。

例えば、製品の開発に携わった社員が、その開発過程での出来事や、それに対する思いなど、あくまでも一人称の視点で伝えていくことで、価値を生み出すと考えられます。あくまでも企業に属する一個人が語るストーリーに徹することが求められます。ただ、企業の利用が増えていくことで、FacebookやTwitterといったような企業然とした見え方も不自然でなくなる可能性も想定されます。ただ、少なくとも現在は、まだまだ個人の利用が多いサービスであることをしっかりとわきまえる方が、ベストな方法だと考えられます。

運用するという側面だけを見ると、mediumは他のメディア以上に手間が掛かる代物であると考えられるます。とはいえ、一人称で企業、あるいは製品を語ることでの深い情報発信は、その思いが伝わりやすいという利点から、何よりもブランディングに大きく貢献することが期待できます。企業と言う大きな括りとしての存在から、そこで働く個人の集合体としての企業という見え方に、もしかしたら、mediumはソーシャルメディア本来の位置づけに近い存在なのかもしれません。

アクトゼロ / 山田