2016年・最新の統計情報から見る、世界のネット・SNSの利用状況

今年の1月27日、英ロンドンに本社を置くソーシャルメディア・コンサルティング企業「We Are Social」から、最新の調査報告「Digital in 2016」が発表されました。

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昨年の「Digital, Social & Mobile in 2015」からタイトルが改められ、より広いデジタルマーケティング領域に関する統計調査結果となっているようです。(参考:「2015年・最新の統計情報から見る、世界のネット・SNSの利用状況」2015.1.28)

インターネットやソーシャルメディアの利用状況の傾向の統計が、世界的規模での傾向だけでなく、30カ国の国別のデータも掲載されており、通常あまり目にできない国の情報も載っているため、非常に興味深い内容となっています。今日は、この統計の中から抜粋して、2016年最新の、世界のネット・SNS利用状況について見てみることにしましょう。

世界の傾向

まずは全世界のネット分野の概況について見てみましょう。世界の人口、約73.2億人のうち、日常的にインターネットを利用しているユーザーは、約34.2億人(全人口の46%)で、昨年比で伸び率は小さくなったものの、約10%増加しています。(2014年→2015年は約21%の増加) ソーシャルメディアをアクティブに利用しているユーザーは約23.1億人で、昨年比約10%増加しています。(2014年→2015年は約12%の増加) 携帯電話のユーザーはネットユーザーの人口よりも多く、約37.9億人です。こちらも昨年と比べると伸び率は小さいものの、確実にユーザーは増加しています。

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下のグラフは、一日あたりにインターネット利用に費やす時間を国別に表したグラフです。上から、1位ブラジル:9.1時間(昨年3位)、2位フィリピン:8.4時間(昨年1位)、3位南アフリカ:7.9時間(昨年5位)、4位タイ:8.6時間(昨年2位)、5位アルゼンチン:8.2時間(昨年12位)となっています。東南アジア・南米の国が昨年同様多い傾向が見られますが、アルゼンチンが急に伸びた結果となっています。

日本は意外ですが、28ヶ国中、最もネットに費やす時間が少なく、3.5時間となっています。昨年の3.1時間と比較すれば約13%長くなっていますが、最もネットに時間を費やすブラジルと比べると、およそ3分の1程度の時間になっています。

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下のスライドは、インターネットにアクセスするデバイスのシェアを表したものです。PCからスマートフォンにシフトしているのは、日本だけではなく、全世界的な傾向のようです。PC経由のアクセスは昨年比9%減なのに対し、携帯電話経由のアクセスは21%の増加となっています。

ただ、昨年のデータと比較すると、顕著な違いが出ていたのがタブレットPC経由のアクセス。昨年は17%の増加になっていたことに対し、今年は21%の減少と、傾向が一転しています。スマートフォンの大型化や高性能化から、ユーザーのタブレット離れをよく耳にしますが、世界的規模かつすごい速さでその傾向が進んでいることが分かります。

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ソーシャルメディアのサービス毎の、アクティブユーザーの数はどうなっているでしょうか。ユーザーのFacebook離れなどのようなキーワードも耳にすることがありますが、引き続き世界的にはFacebookがトップになっています。この統計ではメッセンジャーサービスも数えているので、Facebook messenger・Whats app・Instagramなど、Facebook関連のサービスも含めて考えると、他を圧倒するシェアがまだまだ続いている現状がよく分かります。特にInstagramは2015年、日本で大きな流行を見せましたが、世界的にも着実に伸ばしており、昨年比で約33%ユーザーが増加しています。

Facebook関連に次ぐのは、QQ(中国版Skype)・Qzone(中国版Facebook)。米国はじめ他国発のSNSを遮断している中国独自のSNSが人口規模要因から多くのユーザーを抱えるプラットフォームとなっています。

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下のグラフは一日にソーシャルメディア利用に費やす時間の、国別平均値を表すものです。前述の、ネット接続時間のグラフで上位に位置した国がSNSにも長めに接続している傾向が見られます。日本は0.3時間と世界的に見るとかなり短くなっており、昨年の0.7時間と比べても、更に短くなっています。

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各国の状況

このレポートの中では、全世界とは別に30カ国の国と地域において、「Country Snapshots」として、デバイスごとの伸長率・メディアごとの接触時間・ネットの利用状況・デバイスごとのトラフィック率・SNSの利用状況・携帯電話の利用状況・Eコマースの利用状況を報告しています。

今回も、SNSのサービス毎のアクティブユーザー数を示したグラフを基に、3つの国について人気のSNSサービスについて見てみましょう。昨年と比較し、何か変化があったでしょうか。

まずはアメリカを見てみましょう。世界的に利用されているSNSの多くはこの国が発祥となっています。結果は、Facebook関連が一強といったところでしょうか。Facebook自体はシェアが美玄しているものの、Facebook MessengerとInstagramが伸長しています。続いて、Twitter・Pinterest・G+の順位は昨年と変わりありませんが、G+以外はシェアを落としています。

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日本では大きな変化が見られました。昨年は3%だったLINEが25%でトップに躍り出る大躍進を果たしました。Facebookも13%から17%に伸長したものの、LINEの勢いには勝てず、Messengerと合わせても2位に転落。そして、海外と比べ日本ではユーザーが多いTwitterですが、微減して3位。また、mixi・アメブロ・モバゲー・グリーといった、日本独自のプラットフォームもある程度割合があることが分かり、SNSの利用率は国の差が出るものだと感じます。。

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中国では、海外のSNSサービスは基本的に使えないため、独自のSNSが多くの割合を締めています。WeChat(中国版LINE)・QZONE(中国版Facebook)weibo(中国版Twitter)などが上位にランクされています。上位のサービスは割合や順位の変化が小さいものの、下の順位のサービスは入れ替わりが激しいようです。

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ちなみに、当社では、こうした中国独自のSNSを活用し、中国からの訪日観光客向けの訪日インバウンドマーケティングのサービスを提供しています。ご興味ある方は是非、お問い合わせ下さい。

以上、いかがだったでしょうか。なかなか、同じ視点から多数の国の現状を比較したデータはあまり多くないと思うので、特に海外の国同士や、日本と他国の比較などで役に立つレポートだと思います。皆さんのご提案などに活用できるのではないでしょうか。