かなりソックリ!中国版ニコニコ動画「嗶哩嗶哩」(bilibili)

動画にコメントの字幕を走らせ、多くの視聴者と動画コンテンツを共有しながら楽しむことができる「ニコニコ動画」。ボーカロイドを使った楽曲や動画、踊ってみた・歌ってみた動画など、日本におけるCGM(Consumer Generated Media:消費者生成メディア)の文化を定着させたwebサービスの一つではないでしょうか。昨年10月に発表された、運営元のドワンゴが日本の映像コンテンツホルダーの雄ともいえるKADOKAWAと経営統合を行うという発表も記憶に新しく、この先の展開が非常に楽しみなwebサービスの一つだと思います。

そんな「ニコニコ動画」そっくりのサービスが、現在、中国で人気が高まっています。嗶哩嗶哩(ビリビリ・bilibili)というwebサービスです。

20150325_01http://www.bilibili.com/

中国で動画共有サービスといえば、Youku (优酷 読み方:ヨウク)を思い出しますが、Youkuは中国版YouTube、bilibiliは中国版ニコニコ動画とよく呼ばれます。少しアクセスしてみればその意味がすぐ分かりますが、字幕(向こうでは”弾幕”と呼びます。日本のニコニコ動画でいう”弾幕”とは意味が違うようです。)の雰囲気が、文字が中国語なだけでまさにニコニコ動画そのもののよう。

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ユーザーの中心は、いわゆるマニア・オタク層が多いらしく、動画の多くは日本制のアニメが占めていますが、その多くは違法にアップロードされたもののようです。それ以外にも、ニコニコ動画やYouTubeから転載した動画(特にボーカロイド系)や、中国のユーザーが自身で制作したMAD(既存の動画・音声をユーザー独自に再編集した二次創作物)・踊ってみた・歌ってみた動画も多く公開されています。

動画ファイル自体は、中国内の他の動画共有サービスにホストされています。著作権を無視したコンテンツの違法性や、他サービスに寄生してサービスを拡大している点も、ニコニコ動画の黎明期を彷彿とさせます。

 このサービスは、2009年に中国国内のネットユーザーが立ち上げ、2010年に現在の「嗶哩嗶哩」に改名されました。中国国内のサービス規模は以下のようになっています。

◆ 会員数:約1000万人以上
◆ サイト閲覧数:7000万以上/日
◆ ユニークユーザー数:5000万以上/月
◆ 動画投稿数:250万以上
http://mitchie-m.com/blog/bilibili-anime-japan/より)

調べ方が異なるため、単純な比較はできませんが、参考までに、以下が現在のニコニコ動画のサービス規模です。

◆登録会員数:約4,320万人
◆平均PV数/日:約1億4,303万PV
◆UU数/月:約853万UU
◆視聴可能な動画数:1156万以上
(参考:http://ascii.jp/elem/000/000/968/968406/など)

現在はニコニコ動画の方が規模が大きいように見えますが、中国の人口とこれからの成長を考えると、今後の発展が見込まれるwebサービスではないでしょうか。

そんなbilibiliですが、昨年秋に、日本で株式会社ビリビリとして設立されました。そして、今月下旬には東京・秋葉原のラジオ会館に、生放送スタジオやイベントスペースを備えた店舗「ビリビリAKIBA」をオープンさせる予定なのだとか。

20150325_03http://www.bilibili.co.jp/index.html

webサイトには、今日現在、まだあまり情報がありませんが、日本のアニメ・漫画・ゲーム等のコンテンツの権利の輸出入を中国・アジア圏を中心に展開していくようです。bilibili内の人気コンテンツの集積地である日本の秋葉原に発信拠点を構えた意味合いが強そうに見えますが、今後、bilibiliのサービスを日本で開始するための基地にもなるのでしょうか。

現在はあまり企業色は見せていないbilibiliですが、いずれ収益モデルの構築が必要になるはずで、その時に”広告”という媒体は欠かせないと思います。ニコニコ動画と同じように独特のユーザー層を見せるbilibiliでの広告は、中国人の特定層に対し、ピンポイントにターゲティングできるようになると思います。ニコニコ動画における広告で成功を収めた日本の企業は、今後のbilibiliの動きに注目すべきではないでしょうか。

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 bilibiliの動画ローディング中に出るキャラもなんだか見覚えがある…