では、丸亀製麺はどうすればよかったのか

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金曜日のソーシャルメディアインサイトをお送りします。アクトゼロの黒沼(@torukuronuma)です。

先週半ばに丸亀製麺のざるにカビが生えていた問題が大々的に2chまとめサイトネットメディアで取り上げられ、話題となりました。最終的には新聞・テレビなどマスメディアにもニュースとして報道され、全国周知の事案となりました。ニュース上では「運営会社トリドールは、カビが生えていたこの問題を1ヶ月間公表していなかった」と報道されています。公式サイト上での正式なリリースが、問題発生から実に5月9日に至るまで、まったく行われなかったためです。リリース文面はこちら→http://www.toridoll.com/ir/pdf/130509ow.pdf

問題が発覚したのは4月7日、発見者の投稿が4月8日でした。Facebookのコメント欄で一旦そのまま収束を迎えようとしたわけですが、その対応に不満を持った利用者の拡散を元にネットメディアが動いたことになります。
私たちアクトゼロは、ソーシャルメディア上の企業アカウント運用方針の決定や運用体制のサポートを行う業務を行なっています。ソーシャルメディア上でのユーザーとのコミュニケーションの考え方について、今回の事案をサンプルにどのようにすれば丸亀製麺が今回の炎上を最低限に抑えることができたのか、どのようにユーザーの不信感の高まりを呼んでしまったのかそのメカニズムについて考えます。

当事者のフォローを衆人環視の元、どれだけ適切に行えるか

私たち「個人」が時に間違いをおかすように、「企業」もまた間違いをおかします。肝要なのはその後の「謝罪と信頼回復」の仕方なのです。

今回の事案において僕が最も問題だと感じた部分は、丸亀製麺と写真をアップした当事者のIさんの間で、事案の解決に至ることがついに出来なかったことにあります。その主な原因は、発覚当初におけるコミュニケーションの失敗にあります。

Iさんは、当初から丸亀製麺のうどんの美味しさへのフォローを伝えてくれています。その後のIさんと、丸亀製麺のやり取りは以下のように続きます。

Facebookページの公式アカウントから、個人へメッセージを送ることができないことを理由に返信が遅れる中、Iさんの不信感は高まって行きます。ついに納得した答えを得られないまま、話し合いは打ち切られ、それに加えて丸亀製麺から公式のリリースが行われない状況もあって、このままなし崩し的に沈静化を狙っているのではないかという新たな不信の芽が、Facebook内のファンの中で高まっていきます。

1対1のクレーム対応であれば、ここでIさんが泣き寝入りしてしまうことで終わっていたかもしれません。しかし、ソーシャルメディア上では、このやり取りを多くのファンが目にしています。Iさんへの対応のまずさは、それを見ているファンをも苛立たせ、一気に丸亀製麺への不満が噴出してきます。

そもそも香川県丸亀市とは縁がない、神戸に本社のある株式会社トリドールが「丸亀」「さぬき」の名前を名乗ることと、この事案が丸亀製麺以外の「讃岐うどん」という食べ物のマイナスイメージに繋がってしまうのではないかという危惧で溢れていきます。本来の事案とは関係のない部分で、その企業姿勢や、「丸亀製麺をほんものの讃岐うどんと呼んでいいのか?」といった部分にまでクレームが拡散していきます。

本事案が、「丸亀製麺」と「Iさん」の2者のやり取りではなく、「丸亀製麺」対「全消費者」の問題に拡大したことを意味しています。こうして、この拡散はついにはテレビを通して本来であれば事件を知らなかった層にまでに負のイメージを印象づけてしまう結果となったのです。

ソーシャルメディア登場以降、もう不都合な事実は隠せない

丸亀製麺側の視点にたったとして、どのようにすれば今回のような炎上被害を最小に抑える事ができたのでしょうか。まとめです。

◆クイックな対応を行えるソーシャルメディア運用体制づくり
公式アカウントからのレスポンスが送れるほど、被害を受けた当事者の不信を高めてしまいます。実際のアカウント運用担当者と、主要な社内メンバーとの間で連絡がたまたま連絡がつかなかっただけなのか、そもそも対応する気がないのか、当事者には判断がつきません。ソーシャルアカウントの運用体制を構築する際に、クレーム対応の社内ホットライン体制を作っておくことは、対応の遅さによって企業の不信感を低減させるばかりではなく、当事者のストレスを一刻も早く取り除くことにも寄与します。

言うまでもなく、公式Facebookアカウントから連絡が取れないのであれば、担当者個人のアカウントを使ってでも、ファーストコンタクトはとるべきです。

◆事案を隠すのではなく、オープンに共有する
過ちをおこしてしまったことは、どんなに小さなことであれ、即時にオープンにして公に広くしらしめるべきです。 起きたことの詳細や、対応内容など、その時点で取れる対策の仔細について、今回のように不信の嵐を持って一般に知れる前に、その対応力と公正性を持って「信頼」にかえるべきです。ソーシャルメディア・ブログ文化が定着した今、「隠し事」はいずれその内容に応じて一般に知れるものとなります。企業が「過ち」を起こした時、取れる最善の方法は、最速のタイミングで誠実な対応をとり、オープンに事案を共有することなのです。

 

アクトゼロ/黒沼透(@torukuronuma)
photo by hirotomo