匿名だけど個人を特定される!?ツイッターの投稿から始まる忍び寄る黒い影…

前回はツイッターでの炎上を取り上げましたが、今回は炎上に深く関係しているであろう、SNS上でのプライバシーについて考えてみたいと思います。

以前は、実名のSNSはプライバシーに慎重にならないければならず、匿名のSNSであれば個人を特定できないから安全だ、と言うような人が多かったように思います。時期でいうと、2011年あたりのFacebookが盛り上がり始めたころだったでしょうか…。

確かに、実名を公開するSNSは個人を特定しやすく、Facebookであれば本名はもとより、居住地や学歴、そして勤務先から結婚歴に至るまで、第3者でも簡単に閲覧することができます。(ユーザーのプライバシー設定にもよりますが…)ただ実際のところ、実名でやっているからこそプラバシーに対しての意識を高く持ち、投稿する内容に関しては細心の注意を払っているのではないかと思っています。日本では、Facebookのコアな層の年齢がツイッターに比べて高いことも、そういった意識の高さに影響していると言えるかもしれません。

一方、Facebookに比べツイッターはニックネーム等で利用しているユーザーも多く、実名ではないという前提から、プライバシーに対する意識が低くなるのは当然の流れのように思います。
前回のコラムで述べたように、ローカルな人間関係を元にした情報交換に加え、一見して匿名性が担保されているように感じるのは当然だと思います。

実際に特定されることも多い

ただ、「名前」などのピンポイントな情報はまだしも、ツイッター上でツイートした内容から実在の人物にたどり着くという事例は、しばしば起きています。

例えば、この「電車内で偶然隣同士になったついったらーがお互いに特定するまで」というTogetterを見てみると、同じ電車に乗り合わせたツイッターユーザーが、 お互いをツイッター上のアカウントと結びつけ特定するまでの一連の流れがまとめられています。

電車でたまたま横に立っている人の携帯の画面に見覚えのあるアイコンが…。二人がともにフォローしているある一人のユーザーが投稿したツイートを元に、それぞれを 認識しています。ただ、ツイッター上でのアクションはあったものの、その後何か起きたわけではなく、その場限りのものだったようです。

また、「新卒twitterで10分で2人特定。芋づる式で個人情報が次々とばれる」のように、ツイッターを使って個人を特定する、もしくは、特定の個人をツイッター
上で探し出すといったことは、ある程度のリテラシーがある人であれば容易に可能ではないでしょうか。

どうやって特定されるの?

実際のところ、どういったツイートから、どのようなプライバシーが特定されてしまうのでしょうか。

まず、よくあるものが「ただいま」というツイートです。そのツイートから自宅を特定できてしまうのです。

スマートフォンでの利用が多いツイッターでは、ツイートに位置情報を付けて投稿することができます。そのため、「ただいま」というツイートの置位情報を見ることで、そのユーザーの自宅を簡単に特定することが可能なのです。(参考URL

昨年の夏ごろに、「WeKnowYourHouse.com」というサイトが公開されました。公開されたそのサイトでは「家に帰った」といった表現のツイートを自動的に拾い上げて、それがツイートされた場所の詳細な住所を表示していました。これは、位置情報を付けてツイートすることに対しての注意喚起をするために作られたと言われており、現在は非公開となっています。

また、よくあるものとして、自分では注意をしていても相互フォローの関係にある友人のツイートから、素性が分かってしまうというものです。

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友人Aのツイート「センター試験まであと何日だ」
友人Bのツイート「学校終わったら駅前の○○に行こうっと」
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というツイートがあったとして、上記二人と友人関係であるならば、該当するユーザーは、駅前に○○という店のある高校(ある程度絞り込みが可能ですね)に通う三年生の生徒であるところまで特定できます。さらに、これらの友人とのやりとりを追っていくことでより詳細な情報を掴むこともできてしまいます。

そして、自分では各個別の投稿に関しては注意しているものの、過去のツイートを遡ることで、特定されてしまうということもあります。特にツイッターのヘビーユーザーであればあるほど、過去のツイートが膨大なものとなってしまうため、どういった内容をツイートしていたかとということを忘れがちになってしまいます。各ツイートは点でも、その点を繋ぐことで線となって個人を特定されてしまいます。勢いで投稿したものや、酔っ払って投稿したものなど、自身の投稿内容をきちんと管理することが非常に重要です。

このように、匿名だからといって100パーセント安全ということはありえません。定期的な投稿や相互交流が当たり前となり、日常生活の中にSNSが溶け込んだといえる現在だからこそ、インターネット上で情報を公開するという行動の本来のリスクを忘れがちになって言えるでしょう。これを読んでいるあなたの投稿は大丈夫ですか?念のため、過去の投稿をもう一度読み返してみてはいかがでしょうか?誰かが守ってくれるのではなく、自分の身は自分で守るしかありません。