Pinterest

企業のPinterest利用を阻む「著作権」の壁

by s_falkow

今回は、楽天の資本参加でも話題の画像共有SNS「Pinterest」の企業利用にまつわるトピックスです。米Mashableの記事「10 Most-Followed Users on Pinterest(Pinterest上で最もフォローされているユーザー10)」によると、最もフォローされているPinterestのアカウントは全て個人アカウントです。英語圏のユーザーを中心に利用者数が1,800万人※1を超えているのもあって、ぞくぞく企業アカウントの開設が進んでいます。

日本国内でも、福岡市の魅力を伝える取り組み「福岡チャンネル」、メディアでは「ELLE ONLINE」、ブランドでは「マジョリカマジョルカ」「ファーファ」「ドン・キホーテ」などの、アカウントが開設されています。

楽天資本参加により、日本語化がまもなくかと囁かれている中で、今後国内企業の進出が行われていく中で、必ず問題になってくると考えてられるのが画像のPinにまつわる「著作権」の壁です。

Pinterestアカウントで何を共有するか?

あなたの会社が、自社で権利を保有している魅力的な画像を、毎月数百枚用意できるビジネスを行なっているなら、Pinする画像について特に心配することはありません。たとえば、ヴィジュアルが豊富な雑誌の公式Pinterestアカウントは投稿する画像には困らないでしょう。人気アパレルブランドであっても同様です。カリスマECモールならばなお良いでしょう。

そうでない殆どの企業にとっては、投稿する画像の準備でとても苦労することになるでしょう。オリジナルで撮影する部隊を社内に用意する体力があればそれもいいですが、ほとんどの個人Pinterestアカウントと同じように、他のウェブサイトなどから自由に画像をピンすることでアカウントを盛り上げようとしているなら、それはちょっと危険かもしれません。

Pinterestはどこまで合法なのか?ある女性のストーリー | サンフランシスコのWebコンサルティング会社 -ビートラックス- スタッフブログ 

米Webコンサルティング会社ビートラックスのBrandon K. Hillによると、弁護士のアメリカ人女性がピンタレストの利用規約について調べていくうちに、危険性を理解し、ついにはアカウントを閉じたというストーリーが紹介されています。

彼女はピンタレストの使用条件の詳細を確認する事にした。その結果、ピンタレストが定めるところによると、ユーザー達がコピーあるいは再コピーするものに対しての全責任は、ユーザー自身にあることが明記されており、ユーザーが写真をピンタレストに掲載する際には、自身がその写真を所有している、もしくは、写真に対するライセンス等、権利所有者からその行為に関する明確な許可を獲得してる必要がある事が分かった。

<中略>

さらに、ピンタレストはすべての非難や起こりえる起訴費用をそのユーザーに当てている。それにはこう書かれている:
「あなたは、Cold Brew Labsとその役員、ディレクター、従業員、エージェントがいかなるクレーム、債務、損害、紛失、そして出費とは無縁であると弁護,保障することに同意する。それには(ⅰ)サイト、アプリケーション、サービス、サイトの内容、へのアクセスと使用、(ⅱ)会員内容、 または(ⅲ)これらの規定に対する違反、などから生じる法的あるいは経理的な費用をも含む」

これはどういう事かというと、もし写真家が、あなたがピンタレスト上で画像を不法にコピーしたことであなたを起訴したとしよう。あなたは自分の弁護士だけではなく、ピンタレストの弁護士にも支払わなければならない。それだけではない。被告は自身への罰金だけではなく、ピンタレストの罰金も払わねばならない。

企業として、権利者に正式な許可を得ずに画像を共有してしまうことは、いつ爆発するかわからない爆弾(訴訟リスク)をPinterest上で抱え続けるということになってしまうのです。

現行「著作権制度」の限界と「ネットの流儀」

Web上を席巻するCGMサービスの多くの発展過程では、「著作権違反上等」でユーザー数増加を突き進めていく光景が、繰り返されてきました。

Youtubeやニコニコ動画の初期段階では、今よりずっと著作権的に問題のあるコンテンツがであふれていました。何はともあれユーザー数を増やし、存在が既成事実化してしまうことで、いまでは多くの企業がどうサービス上に企業公式チャンネルを開くまでになっています。

Pinterestも本気で、無許可画像を締め出したいとは思ってはいないわけで、あくまで次サービスをリスクから守るポーズだということは明らかです。

とは言え当面は、投稿したもの側にリスクを残したまま、今後も拡大していくわけで、ここ10年くらい同じ問題を繰り返しているのを見ると、早いとこ誰か法制度をまとめて、綺麗にしてくれないものかという気がします。

最後に発売時期はまだ未定ですが、近日中に翔泳社より発売になる「Pinterest徹底活用」というビジネス書に共著で私(黒沼)が参加させていただいています。日本初のPinterest解説本となる予定ですので、発売の際にはぜひお手にとっていただければ幸いです。

多くの企業が著作権の壁で、進出をためらっている状況で、魅力的な画像を多く持っている企業にとって、Pimterestは先進事例の少ない今はじめるチャンスです。ぜひアクトゼロにご相談ください。