レイトマジョリティに聞く、スマートフォンに代えて思った・感じたこと

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新商品やサービスなどが登場したとき、早い段階でそれらを受容する人々の層を「アーリーアダプター」と呼ぶことは、弊社の記事を読んでらっしゃる読者の皆様には周知の言葉だと思います。進化の早いwebサービスの業界では、常にこうしたアーリーアダプターの層に対し、新たなサービスをリリースし続けています。そして、アーリーアダプター以外の層に対していかに幅広く普及していくかが、一般的なサービスとして成立していくか否かの、成功・失敗の分岐点といえるでしょう。



ロジャーズの採用者分布曲線
■イノベーター(革新的採用者):冒険的で、最初にイノベーションを採用する
■アーリーアダプター(初期採用者):自ら情報を集め、判断を行う。多数採用者から尊敬を受ける
■アーリーマジョリティ(初期多数採用者):比較的慎重で、初期採用者に相談するなどして追随的な採用行動を行う
■レイトマジョリティ(後期多数採用者):うたぐり深く、世の中の普及状況を見て模倣的に採用する
■ラガード(採用遅滞者):最も保守的・伝統的で、最後に採用する

昨年冬くらいから、日本のあちこちで普及の足音が聞こえ出した”Facebook”は、アーリアダプターから、アーリーマジョリティーの層くらいに移行しているといえるのではないでしょうか。

携帯電話業界に視点を移してみると、2011年夏に新たにリリースされた機種は、どのキャリアもスマートフォンが大量に投入されています。3年前、iPhone 3Gが日本ではじめて発売されて以来、Androidなども含めたスマートフォンは、一部のアーリーアダプターのものから、一般化されはじめ、レイトマジョリティまでの層をターゲットに入れた商戦が繰り広げられているのが現在の状況といえるでしょう。

そういえば、実家の人々はレイト層だらけでした。

個人的な話ですが、私の家族一族はデジタルデバイドのはるか彼方に居る人々で、昔から電子機器などを得意に使いこなす私の方が異端児扱いされるほど、ITというものから最も遠いところで暮らしを送っている人々です。

先日、ついこの春に結婚した妹夫婦が食事しに来たとき、なかなか面白い話が聞けました。彼女は2ヶ月前に、何故か突然、ガラケーからスマートフォンに買い替え、その結果、いろいろ不満だらけだと言うのです。彼女のポテンシャル(の低さ)を知っている、兄である私に言わせれば、こうなる結果は明らだったのですが・・・。

我々、アーリーアダプターは、最先端のサービス・商品の話題はよく耳にしますし、議論する機会も多いと思います。しかし、よく考えると、周りにそうした人しか居ないがために、レイト層の声に耳を傾ける機会が少ないことに気付きました。今日は、そんなレイトマジョリティ層に属する私の妹が、スマートフォンに機種変更して2ヶ月経った今、何を思い、感じているのか、食事と酒を楽しみながらインタビューしてみました。

右:妹のN。底抜けに明るい元ギャル(31歳)。
高卒で某ゴルフ用品店に入社し、地元埼玉の店舗で販売員として働く。
左:その旦那、O君。同じく、ゴルフ用品店に勤める。
爽やかで性格も優しい、良く出来た男である。

 彼女の愛機は「docomo Optimus bright L-07C
デスクトップはキティちゃん。「私、キティラーではないよ」とは彼女の弁。 

 スマホはどう使っているか?

◆いつスマホに代えたの?
2ヶ月前くらい。何故かというと、本当は普通の携帯にしようと思っていたけど、スマホが流行っている的な、流行りに乗らなきゃ精神がそうさせた?流行ってるからスマホにした人も多いと思うよ、実際のところ。

◆スマホに代えてみてどう?スマホ使うの始めてでしょ?
ゲームが楽しい。よくやるゲームは「コインパイレーツ」。手でこうやってやっていく(タッチパネルで操作する)のが、今までの携帯になかったから楽しい。一番、残念なのは、今までのお気に入りだった”絵文字”が使えなくなったのが悲しい。前の携帯はすごくいっぱい絵文字サイトとかからダウンロードしていた。それらをスマホに移したかったんだけど、やり方がよく分からないから、仕方なく、スマホのダサい絵文字を使っている。便利なのはグーグル先生だね。

◆グーグル使うんだ。何を検索しているの?
うちら、パソコンとか持ってないから、グーグル先生はいいよね。最近調べたのは「ロングブレス呼吸法」とか。(笑) あとね、「ダイエット+ジョギング」とかね。「○○○・○○・降板」とかね。(笑) (以下、某女性お笑いタレントの、某テレビ番組降板の理由について長々と語る。)

◆テレビの裏側とかわかっちゃうんだ。
分かっちゃうねー。うん。グーグル先生はすごいね。ここグーグルってあるから。先生がくっついてんのよ、ここ。 先生はすごいねー。もう少しで教授だよ。グーグル教授。

デスクトップの検索窓のことを「グーグル先生」と呼んでいました。確かに「くっついてる」印象は否めないですね。笑

◆他にどんな使い方をするの?
暇なときはYouTubeがいいね。加藤ミリアとか好きだからさ、加藤ミリアって検索すると普通にプロモ見えたりとか、ドリカムとかってやる(検索する)とドリカムが見れたりとか。そういうのはいいよね。暇な時に見てる。誰かと待ち合わせの待ち時間とか。やることないから、ちょっとYouTube見てようかって感じで。あと、お笑いとか。「ピカルの定理」とかってやる(検索する)とさ、けっこう出てくるから。超笑っちゃうよね。あれ、面白い。

意外と、ゲームアプリをインストールしたり、googleで情報を検索したり、YouTubeで観たい動画を探して楽しんでいるようです。最低限の利用はできていると言えるでしょう。あと、初心者向けの印象の強いYahooではなく、いきなりgoogleを使っているところに、初心者におけるプリインストールされたアプリケーションの利用深度を感じました。

よく使うアプリは「ネイルカタログ」

◆あと、スマホで何するの?
あと、ネイル。ネイルのカタログを見て、他人のネイルで「ちょっと可愛いじゃん」っていうのをマイちゃん(彼女がいつもお願いしているネイリストさんの名前)に見せてやってもらう、みたいな。マイちゃん、超仲良しだからなんでもやってくれるの。一応、接客の仕事上、ハデなのができないから、可愛いのをブックマークに入れて、好きなのを次、ネイルに行った時に、マイちゃんにこんな感じにしてって言って、同じようにしてもらう。

 オシャレ女子必見!人気ネイルのカタログアプリ「ネイルカタログ」

◆店舗情報とか載ってるけど、参考にしたことある?
決して、こんなん(店舗情報)とかどうでもいいのよ。渋谷だから何?みたいな。行動範囲に入ってないんですけど。

◆クーポンで1000円割引とかあるけど興味ない?
私はマイちゃんに特別価格でやってもらってるから。クーポンとか付いてても、そういうところ、高いから。都内とか行くと。一万円以上とかするけど、マイちゃんにやってもらうと超安いからね。渋谷もあまり行きたくないしね。あと、私、意外と情に厚いからマイちゃんを裏切れないしね。

◆「このアプリを友達に教える」ってあるけど、使ったことある?

ない。別に教える必要ねーし。だって、私の周りでネイルやってるのミー(友人の名前)ぐらいしか居ないし、ミーから聞いただけだから。

◆このネイルのアプリにどんな機能があったらいいと思う?

ネイルのやり方。塗るのが難しそうな柄の場合、マイちゃんのところでやれるのかな?っていうのもあるから、そういうのを手順みたいなものを書いてもらっていると、マイちゃんでも似たのを出来たりるだろうし。ミーとかは自分でやったりもしてるから、そういう手順があったらいいかな。

マイちゃんに対するリスペクトが半端ない。(笑) ここでのポイントは、本来、購買(来店)に結び付けるためのアプリがその機能を果たさず、ただのネイルアートのカタログだけに終始してしまっていること、また、口コミでの拡散を狙った”このアプリを友達に教える”ことが機能していない。サービスを考える側から立つと、そういった活用をするであろうと想定してサービスを企画しがちだが、レイト層に対しては、必ずしもそう働かないことがあることがいえる。

よく分からないから使わない。携帯代が安くなった。

◆あ、”ネイルカタログのアプリがアップデートしますか?”って出てるけど、する?
しない。アップデートって、この下にさ、アレ(広告)が出るだけなんだよね。要らない情報が。こういうのやめてもらいたいんだよね。コインパイレーツも、アップデートしてから下になんかさ、広告が出るようになっちゃったんだよね。

こういうの嫌なんだよ。今まで無かったのにさ、アップデートしますっていうと、勝手にアップデートしたらこんなの(広告)が出るようになっちゃってさ。だから、さっきのアップデートしないようにしてんの。ずっと。ねぇ、アップデートって何?

◆一応、アプリケーションのバージョンとか変わることがあるから、アップデートしといた方がいいよ。

なんか広告したいがためにアップデートしますかて言ってんじゃないの?絶対、そうだよ。間違ってOK押しちゃったらさ、なんか変に課金されちゃうみたいな。

※筆者注: 記事中のアプリ「ネイルカタログ」のアップデートでの強制課金はありません。念のため、明記しておきます。 

着うたとか着メロとかやりたいんだけど、スマホだとパソコンに繋げて拾わないとできないらしくって。パソコン持って無いからいまだにできていない。パソコンがあれば、スマホで撮ったものとかも保存できるんでしょ?

本当は着メロとか着うたとか落としてきて、新曲とか聞きたいんだけどね。前の携帯の時は、新しい歌を聞いて覚えて、ちょっとカラオケで歌ってましたって感じだったけど。歌詞も出るからね。

スマホにしてからお金がかからなくなったの。前の携帯だと、なんでもポンポン買えたんだけど、今のだと買おうとすると訳の分からないのがいっぱい出て、読んでると解んなくなっちゃうだよね。専門用語みたいのばっかで、素人に分からない。買いたいものもあるんだけど、新規登録ってするじゃん?そうすると、この後。同意するってするじゃん?それで、会員登録に進むじゃん?このあとなんですよ。 (画面上でIDとPWを求められる) わかんないんですよ、コレが。IDとパスワードがわかんないんだよね。これ登録する時に、携帯屋の女の子が全部やってくれちゃったから、自分のIDとパスワードが分からないの。やってって言ったら、勝手にやってくれちゃった。「これ大切だから覚えておいて」とか言われなかったから覚えていない。

だから、こっから先に進めないから買えないでいるの。前のだとさ、簡単な4文字のパスワードで買えてた。だから、簡単にバンバン買えてたから、結局携帯代が高くなってたのよ。スマホだとよくわかんないから、この後が進めなくて、じゃあ面倒くさいからいいやってなっちゃって。結局、今まで携帯代1.5万くらい行ってたのが、今月9000円だから。安くなったねー。

・アップデートの意味を本質的に理解できておらず、広告掲示のためのものと誤認している。
・利用に対して、完全な受け身体制。知っている人に設定してもらったため、根本的なところの使い方が理解できていない。
・使える人間にとっては何の悩みも無い、有料コンテンツの購買フローがよく分からず、面倒になって、結果的に購買に結びついていない。 

とにかく、スマホはよく分からない

◆どんなスマホだったら良かったと思う?

らくらくホンのスマホ版みたいのとかあるといいかもね。簡単なスマホ。ゲームと、着うたとか初めから入ってるような。必要なものだけ入ってて、あとは何もしないみたいな。

前の携帯って説明書、超分厚かったじゃん。それに比べて、スマホのは超薄いからね。前の携帯だと、説明書が厚くて、いざ自分で分からないところがあったら調べたりもしたけど、調べようがないんだもん。薄すぎて。必要最低限しか書いてくれていなくて、買ってる人はもう使えるだろう的な発想でメーカー側が作ってるよね。スマホの中に説明が入っているって聞いたけど、それがどこにあるのか分かってないし。だから、レベルに分けたスマホを作って欲しいよね。簡単かどうかとか。

周りにスマホの人、居そうでいないんだよね。とりあえずスマホが流行ってるから買ったけど、みんな結局使えなくてイヤだって言って、少し詳しい人に聞いてる感じ。伸(筆者)の周りと、うちの周りは全く違うから、伸の周りはそういうのがすげー人たちが集まってるからさ、何でもできちゃうけど。

◆SNSは使ってる?

私、ぶっちゃけそういうのよく分からない。あんま興味もねーし。友達が使ってる。自分の何かがあるから、Nもここに登録してNの何かを作りなよみたいなこと言われるけど、別に興味ねーしみたいな。(恐らく、SNSでアカウントを作り、プロフィールやブログなどで情報発信・交流することを指していると思われます。) みくしい?ツイッター、facebook?そういうのって、マメじゃないとできないよね、毎日なんかやったりとか。返事をしたりとか。面倒くさがりだから。他人が何やってようが勝手だし、とか思っちゃうし。私、己を持ってますから。(笑) 自分を持ってたら、(流行りに乗ってスマホを)買ってないよね。(笑) 中途半端だねぇ、ホント。

◆結局、スマホにして良かった?

流行りに乗った感じ。自分、ちょっとイケてるみたいな。流行りに乗ってますから的な発想かも。私みたいに、流行りに乗るけど使えませんみたいな人って多いと思うよ。いずれ普通の携帯に戻るのかね?スマホだけになっちゃうのかね?

分からなかったら、誰でも構わずの「教えて君」ではなく、一応、マニュアルを見てみる努力をしてみる姿勢は感心しました。しかし、説明書が薄い、というのは言われ見ると確かにそうだと思いませんか?PCを使いこなしていると、ソフトウェアの使い方はマニュアル本を買うのが、分からないことはネットで調べるのが当たり前だと思っているのは私だけではないと思います。とはいえ、アプリはメーカーやキャリアの担当外ですし、なかなか解決は難しいでしょうね・・・。

いかがだったでしょうか。普段、会話している内容と全く違う意見が聞けたのではないかと思います。今後、ますます裾野が広がっていくであろう新技術を使ったサービスやプロモーションを企画する際に、こうした層がいかに容易にアクセスできるかを設計する必要性があるのではないでしょうか。少しでもこの記事がそうした時の役に立てばと思います。

2011.8.22 13時追記:
インタビューの様子を収録した、書き起こし用ボイスレコーダーの音声をmp3でアップしました。ゆるーいインタビュー現場ですが、彼女と旦那のリアルな 声をお聞き下さい。
2011.08.22 16時追記:
mp3が原因でサーバーが大変混み合っています。一旦削除し、YouTubeにアップロードしなおしていますのでしばらくお待ちください。 
2011.08.22 19時追記:
インタビューの様子を収録した、書き起こし用ボイスレコーダーの音声をYouTubeにアップしました。ゆるーいインタビュー現場ですが、彼女と旦那のリアルな 声をお聞き下さい。

 

2011.08.23 23時追記:
沢山のアクセス、ありがとうございます。少し、文章等修正しました。