炎上

じゃがりこ爪楊枝事件の犯人と「何者でもない」ことに耐えられない人たち

アクトゼロの黒沼(@torukuronuma)です。

店頭の菓子に爪楊枝を混入する様子や、万引きを繰り返す様子をYouTubeに公開している男が話題です。逮捕状が請求されたことはテレビなどで報道されましたが、犯人は今現在も依然として逃走中で、しかもその逃走中にも新たな動画をYouTubeに公開し続けています。一時ユーザーからの違反報告で見れなくなっていたアカウントですが、今は解除されてまただれでも見ることが出来るようになっています。

逮捕状がでていることを自覚している被疑者が、万引きなどの犯罪行為を繰り返しながら逃走中継を行っている。という異常な事態が起きているのです。

thm犯人のYouTubeアカウント

じゃがりこ爪楊枝事件の犯人のYouTubeアカウントnarukami793で公開されている動画を見ながら、年末にNHKで放送されていた「新春テレビ放談」で土田晃之が話していたことを思い出していました。

放送の終盤これからテレビはどうして行ったらいいかという締めに、彼は、ネットでは見れないダチョウ倶楽部や出川哲朗のような、予算をかけて体を張った大人が子どもに「見ちゃいけません」というようなテレビ番組が増えれば、子どもはまたテレビを見るようになる。という内容を喋ってました。もちろん台本でしょうし、彼の芸人愛からきたコメントだったのだと思うのですが、ちょっと聞いてて違和感を感じたのです。

確かにテレビのように予算をかけた動画は素人には作れません。だけど、ネット動画で有名人になろうとする人が増えていくに連れ、簡単に人気を集める方法として数多く採用されたのは、いわゆるリアクション芸人のようにカメラの前で「無茶」をする人たちでした。人気YouTuberのMEGWINのように無茶する映像を上げ続けることで人を楽しませ、実際に多くのファンを得ることに成功する人は存在します。彼は今や日本でも指折りのファンを抱えています。

その反対にネット上で注目をあつめるため「無茶」を突き詰めていった結果、社会的な規範を逸脱してしまう人たちもいます。

Twitterで多く見られたバイト炎上事件の多くも「無茶やっちゃった俺」をフォロワーに演出していたと言えますし、ニコニコ生放送などで2014年4月スターバックスに爆竹を投げ込んだ彼らは、あきらかに自らの番組の視聴者に向けて「無茶」を見せたかったのだと思います。

今回のじゃがりこ爪楊枝事件の被疑者は、YouTubeアカウントをこれまで複数開設していました。それぞれのアカウントで被疑者は万引きの様子などを多数投稿しています。今回のアカウントnarukami793の最初の動画(今日からわずかひと月前に投稿されたもの)のなかで、自分が少年院から出てきたばかりであることを告白しています。そして、万引き動画はもうアップしないという宣言を行っています。

しかし、わずか1週間後、彼は再び万引き動画の投稿を再開していきます。

超余裕万引きしてみたw 1」とタイトルを付けられたこの動画の中で、被疑者は吉祥寺のサミットからチョコレート「メルティキス」をひとつ盗み出し、興奮した口調でつぶやきます。「余裕すぎて100回楽勝だと思いますよ。これは他のユーザーには出来ない。他の人には出来ないこと。俺は万引きの王様なんですよ」

com動画に寄せられる罵倒コメント

 

法に触れる動画の非表示対応を行わないとエスカレートが進む

今回の被疑者は、少年法の改正を訴えつつ「万引き」や逃走を繰り返すだけですが、どこかでコメントなどに触発されて、より重大な犯罪行為に及ばないとも限りません。今回の事例で逃走しつつYouTube投稿が可能だとわかった以上、同様の事例はまた起きる可能性があります。何より異常に感じるのは、彼が投稿し続けていた万引き動画がYouTube上でずっと消されることなく、公開状態で見ることができていたということです。

これまでの学生の炎上事件のほとんどは、身内しか見てない前提でふざけて行った行為が、衆目にさらされることで炎上する。と言ったパターンが一般的でした。しかし今回の動画で被疑者は、自分が違法行為を行える「特別な存在」であることを、むしろ多くの人に見せたいと考えて行っています。

注目を集めたい人物が、「無茶」をエスカレートさせていかないためにも、どこかで犯罪行為の動画配信にキャップを掛けエスカレートを防いでいく必要があるのです。今後同じ轍を踏まないためにも。

[アクトゼロ/黒沼(@torukuronuma)]