打ち切りTVCMから見る、バイラル動画に必要なこと

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視聴者からの批判が殺到して、放送中止になった東京ガスのTVCMが、先週、ネットを中心に話題になりました。 (http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140704-00000069-mai-soci) TVCMを集めたYouTubeチャンネルにその動画がアップされており、170万回を超える回数が再生されています。

<あらすじ>
就活がうまくいかずに憂鬱な気分のリクルートスーツ姿の女子大生。苦労の末、ようやく辿り着いた最終面接、手応えがあったのか母や友人に「うまくいったかも」と喜んで連絡する。記念にケーキを買って自宅に着いた途端、不採用をお知らせする、いわゆる”お祈りメール”が。公園で一人落ち込んでいるところ、「やっぱりここだ」と、お母さんが迎えに来てくれる。家に帰ると、暖かな鍋焼きうどんが用意されていた。”家族をつなぐ料理のそばに。”のキャッチ。さいごに「まだまだ」と決意新たに、次の面接に向かっていく。

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CMは2月頃から放送を開始し、1ヶ月足らずで放送が打ち切られました。この打ち切られたCMが最近になって突然Twitterなどで話題となり、「こんなにいいCMなのに…」「女の子が可哀想すぎる」「生々しすぎる」等と、賛否両論の意見が巻き起こりました。

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本来、このCMで最も伝えたいことは、まさにキャッチコピー付近の、お母さんが迎えに来てくれて、温かい料理を用意してくれているという、家族(やガス)があなたを支えているよ、というメッセージだと思います。ですが、”就活に失敗する女の子”の描写が非常にリアルでインパクトがありすぎるために、そちらばかりにフォーカスがあってしまい、「女の子が可哀想」「残酷だ」という声が集まってしまったのではないでしょうか。(最後に、元気づけられて前に進もうとする姿が描かれていますが、そちらも打ち消すほどのインパクトが、お祈りメールや女の子の挫折感にあったのでしょう。)

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打ち切られた事自体はある意味、残念なことと言えますが、バイラル動画という見地からみると、打ち切られた後にネットでこれだけ話題になり、最終的には成功といえる、興味深い事例といえます。

バイラル動画のパターン ~「心を動かす」

弊社では、過去の海外のネット動画を中心に、バイラル動画を整理・分析した結果、5つのパターンに分類できるのではないかと考察しています。その5つとは以下になります。

1.ドキュメンタリータッチでありのままを動画で表現する「真実を伝える」 2.アトラクションを体験する様子を動画で傍観する「消費者チャレンジ」 3.巧みなストーリーで感動を生み出す「心を動かす」 4.一般人にドッキリ企画を体験させる「サプライズ」 5.YouTubeのアノテーション(再生画面中に貼るリンク)でストーリーが進行する「選択分岐ゲーム化」

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OUR FOOD. YOUR QUESTION : https://www.youtube.com/watch?v=hF0BwSul2Es&list=PLB8F066AFA8915464
Unlock the 007 in you. : https://www.youtube.com/watch?v=RDiZOnzajNU
Saroo Brierley: Homeward Bound : https://www.youtube.com/watch?v=UXEvZ8B04bE
Telekinetic Coffee Shop Surprise : https://www.youtube.com/watch?v=VlOxlSOr3_M
DELIVER ME TO HELL : https://www.youtube.com/watch?v=9p1yBlV7Ges

東京ガスでは、これまで”家族の絆シリーズ”と称して、視聴した人の心が温まるようなTVCMを制作・放送しています。上記のパターンでいうところの「心を動かす」動画にあたるといえるでしょう。

 

最近、視聴者の主張が重視される風潮が強く、こうした「心を動かす」TVCMをはじめ、いわゆる、観ていて面白いTVCMに出会う機会が少なくなってきているように思えます。

実際、今回打ち切られたTVCMも、当初のクレーム件数は多くはなかったようでしたが、ちょうど放送開始された2月は、就職活動が本格化している時期だったことがあり、就活生の心情に配慮した結果といわれています。

バイラル動画は、その内容の面白さが拡散につながる重要なファクターであると言えます。面白いものは、一般的なフツーな内容とは異なる必要性があり、時に面白さに振り切れすぎてしまうと、視聴者が拒否する表現につながり、結果的にクレームになってしまう可能性があります。企画時に微妙なさじ加減が必要な一方、時には企業側にも面白さを許容するギリギリの度胸が必要な場合があるのではないでしょうか。