“CarPlay”で車載コミュニケーションデバイスもアップルが制するのか?

みなさん、こんにちは。アクトゼロのプランナーズブログ、木曜日は山田がお届けします。

社会人にとって「通勤時間」は、毎日の生活の中で一定の割合を占め、本を読む人、音楽を聴く人、眠る人、思い思いの時間を過ごしていると思います。
職場が近い方であれば片道数分~数十分程度、遠方に住んでいる方であれば1時間半というのも珍しくなく、例えば、片道1時間の方で考えると、1週間で10時間も移動時間に割いていることになります。

また、通勤に使う交通手段を考えてみると、首都圏にお住まいの方であれば、バスや鉄道といったのよう公共の交通機関を利用していると思うのですが、地方では自動車通勤が一般的です。

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少々古いデータにはなりますが、総務省統計局が公表しているデータ(国勢調査)によると、全国平均では、「自家用車だけ」という方の割合は46.5%となっており、「鉄道だけ」の16.1%を大きく引き離しています。当然、地域別に差があり、東京都では自家用車割合は9.4%程度と最低ランクで、最も割合の高かったのは77.6%の山形県となっています。

ちなみにこのデータは、15歳以上の統計データということから、免許を持っていない学生(主に高校生)の数も入っています。
そのため、社会人のみに限った場合には、さらにこの比率は高まるものと考えられます。

アップル「CarPlay」が実現するもの

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さて、ここからが本題なのですが、先日アップルが発表した「CarPlay」について考えてみましょう。
「CarPlay」は言うなれば、クルマでiOSが使える仕組みのことです。

ただ、独立したiOSデバイスがクルマに設置されるというものではなく、車内に設置されているインターフェイス(タッチディスプレイ等)にiOSデバイスを接続することで、その機能を車内で利用できるようになります。そのため、「CarPlay」を利用するには、対応したiOSデバイスを持っている必要があります。現在、対応すると言われているデバイスは、iPhone5、iPhone5S、iPhone5Cで、今後、必要に応じでアップデートして、ライトニングケーブルを介して利用することになります。

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①マップ(ナビゲーション)
特に目新しい機能ではないと思いますが…iOSのマップを使って、目的地までの案内を行うことができます。いわゆるナビゲーション機能ですが、案内だけに関して言えば、現在のカーナビはかなり高機能なため、案内するだけでは大きなアドバンテージはないように思います。敢えて特徴となる点を挙げるとすると、メールやスケジュールなどと連携し、次の目的地を予測してくれる点ではないでしょうか。
これまでは分断されていた、スケジュール管理や移動手段という要素が連携するというのは、それなりに利便性が上がるのではないかと思います。

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②電話
iPhone宛ての電話を車載デバイスで応答、発信ができるようになります。
現在でも、Bluetoothを使ってハンズフリー等に対応しているカーナビもありますが、慣れ親しんだiOSのインターフェイスを利用できるとことが特徴でしょうか…?

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③メッセージ機能
メールやSMSの内容を読み上げてくれます。そして、それに返信することもできるようです。
まぁ、なるほどな…という感じです。

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④音楽
iPhoneの音楽機能を使用することができます。
特筆するべき点はないように…。

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⑤アプリ
iPhoneと同じように対応しているアプリを自分で選択して使用することができます。予告されているものは音楽系が多いようですが、対応アプリが増えることで、可能性は大きく広がるのではないかと思います。
これはかなり期待できそうですね。

このようにほとんどの機能は、実は近年の高機能カーナビでは当たり前となっているものばかりで、「CarPlay」としての斬新さはあまりないように感じてしまいます。
ただ、当然あらゆる可能性を秘めているわけで、そのあたりの優位性について考えてみたいと思います。

「CarPlay」がもたらすものは何か?

では、「CarPlay」がもたらす本当のメリットは何か、現状公開されている情報を元に想像してみましょう。

・家でも外でもクルマでも、分断しない“iOS”環境
電話やメール、スケジュールなど、iOSを介してすべてに分断しない環境が与えれることは、ユーザーにとって最も大きなメリットになるでしょう。
iCloudという仕組みを活用すれば、デバイスに依存しないユーザーに最適化された環境をあらゆるシーンで利用することが可能になるはずです。

・Siriが使える!
運転中に画面を注視することや、タッチ画面を操作することは、非常に危険な行為になります。その点、iOSに搭載されている音声アシスタント機能「Siri」は、そういった運転中の操作にはまさにぴったりな機能だと言えます。運転中に対話を通じて、あらゆる機能を使えるのは非常に魅力的です。
従来からも音声で操作できるナビゲーションは数多く存在してきましたが、認識の精度があまり高くないことも多く、使用してない方も多かったのではないかと思います。その点、Siriの音声認識の技術は非常に高いため、とても期待できそうです。

・アプリによるカスタマイズ
まだ未知数とも言えるのですが、アプリによってユーザーが各自に必要な機能をカスタマイズして実装することができる点です。
各々のライフスタイルに合わせて、使用するアプリをカスタマイズできれば、車内はもっと快適になるはずです。ただ、どれくらいの対応アプリがリリースされるかが分からないため、まだまだ未知数だと思われます。

以上、あくまでも現在発表されている内容を元に妄想してみましたが、実際に操作してみるともっと違う感想を持つかもしれません。
何よりも、普段の環境をそのまま利用できたり、必要な情報を移動する車内でも利用できたりする点は、とても魅力的だと感じています。

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日本の自動車メーカーでは、トヨタ、ホンダ、日産、三菱、スバル、スズキという主要メーカーのほとんどの参加が決まっている中で、今後この「CarPlay」がどれくらいのシェアを獲得していくのかはひとつの注目すべき点です。これまで自動車産業だけに完結していた領域でも、「CarPlay」の普及割合によっては、情報産業に携わる企業やWebサービスを提供する企業などが参入する機会が生まれてくると考えられます。
冒頭のデータの通り、日本国内において自家用車での通勤割合は高く、自動車内で過ごす時間の主導権をどこが握るのかというのは、多くの企業にとって見過ごせない領域になるのではないでしょうか。

アクトゼロ / 山田