【2013年9月版】正しく把握していますか?10代のインターネット利用実態/最新データまとめ

金曜日のソーシャルメディアインサイトをお送りします。アクトゼロの黒沼(@torukuronuma)です。

9月3日総務省が、「青少年のインターネット・リテラシーに関する実態調査」の調査結果を公表しました。今日はこの調査結果を中心に10代のネット利用を取り囲む特徴的な事柄についてまとめてみたいと思います。状況分析のアップデートは、新しいアイデアづくりにきっとつながります。青少年向けの商品・サービスの提供やプロモーション・広告出稿を考えている方の前提知識として、お役に立てればと思います。では早速。

高校一年生のスマホ保有率は驚愕の「84%」

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総務省が発表した資料「平成25年度 青少年のインターネット・リテラシー指標等(PDF)」からのデータです。同調査は2013年6~7月に全国の私立公立高校一年生(15歳相当)を対象に行われました。注目すべきは、[保有するインターネット接続機器]の項目でスマートフォンの保有率が、全体の84%にまで達しているということです。昨年の同調査と比較しても、25%の大幅増という結果となっています。

また、[インターネットに接続する際、最もよく利用する機器(択一回答)]という項目でも、スマートフォンと答えた回答者が75%という結果になっており、次点の「ノートPC」と回答した割合が7%ということを考えると圧倒的に「スマホでネット」という利用傾向が見えてきます。

では、小中学生の状況はどうでしょうか。内閣府が今年1月に発表した「平成24年度 青少年のインターネット利用環境実態調査 調査結果(速報)(PDF)」の2012年11月に調査されたデータを見てみましょう。満10歳から満17歳までの青少年 (3,000人)を対象に行われた調査です。

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先ほどのデータと見比べる上で注意しておきたいのは、今回のデータは「携帯電話を所有している」と答えた青少年を対象に行われた調査だということです。逆にこのデータからは、高校生はほぼ100%近い割合で携帯電話を所有しており、中学生はおよそ半数が所有、小学生(10歳以上)は25%前後という普及割合となっているということがわかります。つまりスマートフォン保有率で計算すると中学生は10%強、小学生でも3~4%はスマートフォンをすでに保有しており利用していると考えられます。

高校生の所有割合が先の調査から大幅な伸びを見せていることを考えると、保護者の「スマホはまだ早い」バイアスが年代に応じてかかる事を考えても、当然小・中学生も増加傾向にあることは間違いなく「ネットをする=スマホを使う」というメディア消費傾向が若年層で確立されつつあるということがわかります。

青少年のネット利用はその他のデバイスからスマホへ

総務省「平成25年度 青少年のインターネット・リテラシー指標等(PDF)」に戻ります。次の表は「青少年のインターネット利用状況」の項目です。

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回答している高校生がネット利用可能なデバイスを複数持っていることを想定した上で、各デバイスのネット利用時間についての回答を並べたものです。中でも突出しているのはここでもスマートフォンで、2時間以上の長時間のネット利用に関して半数以上の回答者が、「スマートフォンを使う」と回答しています。ノート・デスクトップPCなど他デバイスの利用時間が減っていく中、スマートフォンの利用時間だけが昨年に比較して大きな伸びを見せています。

利用時間の詳細に関して「平成24年度 青少年のインターネット利用環境実態調査 調査結果(PDF)」でもう少し見ていきます。

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対象は、満10歳から満17歳までの青少年 (3,000人)の携帯電話保有者です。最新調査では、全体の35.7%ほどの回答者が平日一日あたり2時間以上ネットを利用していると回答しており、全体の10.6%は平日一日あたり4時間以上ネットを使っていると回答しています。

止まらないスマートフォンシフトが「メディア消費スタイルの転換点」へ

まとめです。携帯経由の青少年のネット利用は年々長時間化する傾向があり、その中でも高校生になるタイミングでスマートフォンの利用が急拡大していることがわかりました。高校生以上にアプローチする場合、圧倒的なスマートフォン利用を念頭に入れておくことがとても重要だということが言えます。

今日においても中高年がテレビ視聴を好み、若年層ほどネット利用が進まないように「人は最初にどのメディアをどう楽しんだか」によってメディア消費の型(スタイル)が決まります。そして、それは歳を重ねても変化しにくいものです。若年期にスマートフォンに大いに偏った形でネット利用している今の世代と、仕事で日常的にPC越しにインターネットに触れている僕たちの「メディア消費スタイル」は、大きく異なっています。

スマホ画面の一度にアプローチできる物理的情報量の少なさ≒狭さ、プッシュ通知やメッセージサービス、SNSアプリがもたらす利用者個人とネットとの密接なむすびつき方は、従来の世代が持つ「匿名で広大な情報アーカイブ」としてのネット感とは異なる「身近で日常と地続きな遊び場」としてこれらの世代の目に写っているはずです。(僕はこの辺がTwitter上のバイト悪ふざけ画像流出につながっていると思います)

メディア消費スタイルを把握すると、5年後10年後のそれぞれの世代への有効なアプローチの仕方が見えてきます。今日の若年層世代のスマートフォン型メディア消費スタイルは、今だけではなく将来にわたっても有効なのです。