じわじわ広がってきた地域ビジネスのFacebook活用

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週の真ん中、水曜日のソーシャルメディアインサイト、アクトゼロの山田がお送りします。

すでに多くの企業、特に世界展開しているグローバルな企業や日本全国に流通する商品やサービスを提供している企業にとっては、ソーシャルメディア、特にFacebookのアカウント開設とその活用は、もはや当たり前になっています。実際、2年ほど前は、数千程しかなったか日本語Facebookページが、今は数十万にも及ぶと言われています。
また、各企業の公式サイトにはFacebookページへの誘導バナーが貼られていたり、「いいね!」数を表示するウィジェットが配置されていたりするのもよく目にします。

そんな企業のソーシャルメディア活用が大手企業だけにとどまらず、じわじわと地方にも広がり、各地域に地盤を置く企業や、個人経営の飲食店などスモールビジネスにおいての活用も本格化に始まってきています。

今回は、いくつかの事例をご紹介し、その中身(タイムライン)を見ていくことで、地域ビジネスにおけるソーシャルメディアの在り方を考えてみたいと思います。

新しいサービスを利用者を交えて伝える「さる小」Facebookページ

まず、ご紹介するのは群馬県みなかみ町にできた“泊まれる学校”「さる小」のFacebookページです。

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これは、廃校になった「猿ヶ京小学校」を利用した宿泊施設で、スポーツ系の合宿であったり、大学のゼミの研修であったり、ある程度の人数での利用ができる宿泊施設のようです。

こういった特別な宿泊施設は、全国的にも多いとは言えず、利用する側としては、どういった人たちが利用しているのか、また、どういう風に過ごしているのか等、なかなか想像しきれない部分が多いのではないかと思います。
そこで、Facebookページでは、そういった利用者の視点を考慮したタイムラインでの情報発信を行っています。

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例えば、最も印象的なのは、宿泊された団体を取り上げた写真のアルバムです。この施設を利用した団体ごとにアルバムが作成され、各々の利用シーンを写真を使ってまとめられています。
これによって、どういった団体が利用しているのか、そして、どのように過ごしているかを簡単に把握することができるようになっています。
やはり、写真というのが非常に効果的で、利用者の年齢や性別など、一見して分かるというのは大きなメリットです。

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その他、施設についての投稿も行われており、実際の施設のイメージや利用におけるシチュエーションを理解する大きな手助けとなっています。
新しいサービスを分かりやすく、そして、利用を検討している人が、自分たちが利用する際のイメージを想像できるように運用しているのは、非常に効果的だと思われます。

製品の背景を伝える「無手無冠」

次に、四国は高知の酒造メーカー「無手無冠」をご紹介。

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栗焼酎「ダバダ火振」で知られるメーカーですが、製品そのものだけにとどまらず、その周辺の空気を伝えることで、製品に新たな価値を生み出しています。

酒類のFacebookページによくあるパターンではありますが、まず、お酒に合う肴という定番の投稿がされています。もちろん、ただお酒に合えば何でもいいという運用ではなく、地元高知の旬の食べ物や季節の一品など、地域性と季節感がさりげなく取り入れられています。これは、SNSの運用においては、非常に重要なポイントです。

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そして何より印象的なのが、高知県の四万十という「無手無冠」という会社のある周辺環境を伝える投稿です。
地域に根差したお祭りや、美しい景色等、とても印象的な投稿が多くなされています。

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高知の四万十といえば、誰もが知る清流「四万十川」に代表される、美しい自然を有する魅力的な場所です。
そういった、「無手無冠」の生み出す製品の背景にある自然や文化を取り入れることで、製品自体の付加価値を高めていると言えます。

美しい自然、そして豊かな文化の中で生み出されるているということが、栗焼酎「ダバダ火振」という製品に結びつき、受け手側に強い印象を残しています。

来店者を巻き込む「cafe mare」

そして、ちょっとした面白い取り組みをしているのが、福井県にあるカフェ「cafe mare」です。

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ぱっと見ただけでは、よくあるカフェのFacebookページではあるのですが、このページでは来店したお客様にお店で撮った写真を投稿してもらい、みんなに共有しようという取り組みを行っています。

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それによって、カフェのFacebookページでありながら、色々な方の写真が投稿されていて、十人十色の過ごし方が共有されているのが特徴的です。まさに、上二つのFacebookページの合わせ技で、利用者の過ごし方をお客様の視点で広めることで、新たな利用者のイメージを喚起させるとともに、カフェの位置するロケーションをも効果的に伝えることもできます。

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友達と訪れる、夫婦で訪れるといった利用者像、そして、日本海が目前に広がるロケーション。
年齢性別を問わない利用者がそれぞれの時間を過ごしていること、景色等の自然の情景がうまく伝わってきます。
運営者自身の投稿ではなく、お客様からの投稿であることによって、より一層の説得力を持っているように思います。

地方であることを逆手に取って伝える

このようにそれぞれの地域を地盤にビジネスを展開されている企業のFacebookページの事例を取り上げてきましたが、ソーシャルメディアにおいては、地方であることは大きなアドバンテージになりうる可能性を秘めていると考えられます。ありきたりの投稿のやり方で情報を伝えるだけではなく、各地域の特色を押し出すことで、東京に集中する企業たちとは違った印象を来訪者に与え、特殊な関係を築くこともできると言えます。

時間と場所を共有するSNSの本来の特性を生かして、今いる場所から他の場所にいる人たちと時間を共有することで、繋がりの新たな可能性を生み出すことができるのではないでしょうか。

アクトゼロ / 山田佳祐