巨大なトマトが電車に乗ってる!?で考えるソーシャルの原点

4月も2週目に入ると気温も相まって、本格的に春だなぁと感じるようになりました。春になると電車の中や街中でアクティブな人が増えてきますね。
一見すると状況を掴めない光景というのも春ならではでしょうか・・・そんな出来事を週末のタイムラインで見かけ、個人的にソーシャルの原点を再度考えるきっかけになりました。
今回は、その話題の出来事を取り上げて、ソーシャルってそもそも“何”であるのかというのを再確認してみたいと思います。

ある春の週末、ツイッターを駆け抜けたトマト人間

ことの発端は、Twitterのタイムラインで見かけた「小田急線にトマトがいる」という写真。同時多発的にTwitter上に色々なユーザーが投稿し、2ちゃんねるやNAVERまとめも含め、様々な形で広まっていきました。


その写真に移るクオリティの高さもあり、写真を見た人がさらにリツイートをすることで、「なぜ?」「どういう状況?」といった謎が謎を呼び、1日で24,000以上のリツートがされています。実際に写真だけでもかなりのインパクトですので、同じ電車に乗り合わせていたと考えると、思わず誰かに教えたくなるのは間違いないでしょう。

NAVERまとめには、多くの人が発信したツイートが写真とともにまとめられており、謎のトマト人間についての衝撃の度合いが推し量られます。

例えば、ハンバーガーショップといった、どこかの企業の販促イベントがあったのかと思ったのですが、いろいろなツイートを辿っていくと、トマト人間のお友達のツイートを発見。その内容によると、どうやらお花見をしていたらしいとのこと。余興的なものでしょうか…。


今回のこの事件でふと頭をよぎったのが、このトマトの人はツイッターで話題になりたいから やったわけではなく、結果として多くの話題になったということです。つまり、自発的、もしくは直接的にソーシャル上で話題を生み出すという方法だけでなく、ソーシャル上で他のユーザーが自発的に発信したくなる“ネタ”を提供することで、間接的に情報を拡散させる方法もあるということです。ソーシャルメディアの原点であるこの方法が、自社アカウントを運用するということを重視するあまり、忘れかけていたように思います。

ユーザーが見つけて自発的に発信したくなる

ソーシャルメディアの大きな特徴として、一つの情報発信が多くの人に届き、さらにその情報について興味を持った人や友達に教えたいというモチベーションを持った人たちによって、再発信されるという点が挙げられます。これが、いわゆる今までのメディアと違ったソーシャルメディアならではの情報の広がりを生み出していました。

最近は、多くの企業がソーシャルメディアを活用して情報発信を行い、多くのフォロワー(ファン)との結びつきを高め情報発信力を高めようとしています。
その具体的なアクションのほとんどが、企業アカウントや商品アカウントといった自社でコントロールできるアカウントを軸としたものです。もちろん、その取り組みはとても重要で、継続していくことで大きな成果を生み出します。

ただ、今回のケースで考えると本人が意図しないにも関わらず大きな広がりを生み出し、自らのアカウントに依存しないソーシャルメディアの活用の形を垣間見れました。そういった意味で、形骸化しつつあるソーシャルメディアの原点をもう一度気付かされるいいタイミングになったと考えています。

多くの企業が発信する情報は、基本的には企業が伝えたい情報が中心となっています。ただ、企業然とした情報を発信しても、ソーシャルメディア上での広がりは生まれないことから、その情報を「伝わる」形に変換し、フォロワー(ファン)に受けられやすい形で発信しています。ただ、ソーシャルメディアを活用する企業が増え、アカウントが増えるとともに、今まで「伝わっていた」情報もフィード上に入り乱れる多くの情報に埋もれ、伝わりづらい状況になってきているのが現状です。

そこで、原点に戻ることが必要だと感じています。それは、フォロワー(ファン)が、知りたいと思う情報、友達に教えたくなる情報という、”お客様目線”での取り組みです。 トマト人間の例のように、それはオンライン上の自社アカウントだけに限った話ではなく、実はオフラインという可能性があるかもしれません。

スマートフォンで気軽に近況のアップデートができることを考えると、あえてオフラインで仕掛ける方法というのも現実的になってきました。
新年度を迎えて、今一度、企業がソーシャルメディアを使うことについて、考えてみてはいかがでしょうか。