YouTuber動画プロモーションの今後とその効果

SNS上でフォロワーを沢山抱える情報発信者に、企業が費用を支払い、その代わりにその企業の商品やサービスの情報をフォロワーに対して発信するデジタルマーケティング施策「インフルエンサーマーケティング」が一般的となっています。フォローしているフォロワーは、情報発信者に対して好意を持っているため、伝わる情報に対しても好意的に受け取られやすい傾向にあります。

動画視聴の普及に伴って、動画広告を活用したプロモーション活動が活発化する今、YouTuberという存在が一般的となりました。動画による商品・サービスの紹介はテキスト・写真による紹介よりも分かりやすく伝えることができます。しかし、こうしたYouTuberによる施策は果たして効果はあるのでしょうか?その現状について、いくつかのデータを基に見ていくことにしましょう。

ますます広がる国内YouTuber市場

まずは、YouTubeにおける広告収入や、付随するイベント・グッズ収入の年間総額など、いわゆる「YouTuber市場」はどの程度なのかについて、先月1月30日にサイバーエージェントグループのマーケティング会社CA Young Labが発表した調査結果です。(2018.1.30「CA Young Lab、2017年国内YouTuber市場調査を実施」)

2017年の国内YouTuber市場規模は順調に成長し、前年比約2.2倍の、219億円に拡大することが見込まれています。

人気YouTuberが配信する動画は継続的に多くの視聴数があり、更に新たなYouTuberの増加も伴って、今後もYouTuberが公開する動画の動画再生回数は増加の傾向が続いてYouTube広告の収入などは増加していくと予測されています。2022年の国内YouTuber市場は、2017年比で約2.6倍の579億円規模にまで達する見込みと伝えています。

2017年以前までは、市場の成長を牽引してきたスマートフォンゲーム会社による出稿増が一段落した一方、最近では、家電・子供向け商材・エステやコスメのサービスなどの広告が増加するなどと、YouTuber動画コンテンツの多様化が見られました。

「YouTuberによる動画」の視聴経験

15歳~69歳の男女1,100名を対象にした調査では、その約6割にあたる人が「YouTuberという存在を知っており、その動画を見たことがある」と回答しています。(2018.2.8 「約6割が、「YouTuberによる動画」の視聴経験あり」)

2014年7月の調査時の25.9%という結果から、この3年半で大幅に増加しました。また、YouTuberの存在を知っている人は、全体の94.4%に達し、YouTuberという存在の認知が広まったことが分かります。

また、同調査によると、YouTuberに「良い印象を持っている」人は8.0%、「やや良い印象を持っている」人は12.6%で、合計20.6%の人が良い印象を持っていることが分かります。特に10代・20代といった、若い世代の視聴者が好印象を持っている傾向がありました。

https://markezine.jp/article/detail/27880 より)

YouTuber動画による意識・行動変容

では、YouTuber動画を視聴した視聴者は、紹介されている商品・サービスに対して、どのような意識変容があり、どのような行動・購買を行っているでしょうか。

YouTuberを多く抱え、企業に対してYouTubeのインフルエンサーマーケティングを行っているUUUM株式会社による調査「YouTuberを活用したタイアップ動画の態度変容効果を検証」の結果を見てみると、商材によって大きく異なりますが、最大値で、認知度68%、好感度44%、購入意向46%の向上が見られました。

上記リリースでは「新商品の機能・楽しさの理解に貢献。最大のポイントである「双子」を活かした遊びをじっくり紹介する事で購入意向へつなげる事ができた。」と分析しています。

上記で挙げた例以外の7商材いずれについても、非視聴者よりも視聴者のほうが、認知度・関心・利用意向各項目に対して、積極的な回答(「購入したい」「どちらかというと購入したい」)の比率が高いという結果が出たと報告されています。

別の調査(「30代女性YouTube利用実態調査~YouTubeは使い方や手順など「商品の理解をさらに深める」ことに有効的」)では、SNSが購買に果たす役割が高いとされている30代女性に注目して、YouTuber動画がどの程度購買に繋がったかを報告しています。

YouTube動画を視聴したことがある調査対象者のうち、YouTubeのチャンネル登録をしていると答えた104名が対象に「YouTuberが紹介した商品・サービスを購入した経験はありますか?」の質問に対し、「購入経験あり」の人は半数(52名)でした。

チャンネル登録をし、YouTube動画を比較的ヘビーに視聴している30代女性のおよそ半分は、YouTuber動画が購買に繋がっていることが分かります。

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以上のように、YouTuber動画は、認知度・市場は拡大し、視聴者に対して、意識変容・購買のきっかけに繋がることが分かりました。

企業がYouTuberを活用したインフルエンサープロモーションを行う上で重要なことは、YouTuberをフォローするフォロワー達は、そのYouTuberの作風・芸風などといったパーソナリティーを好んでいるため、制作を依頼するYouTuber自身への理解が必要です。また、公開後のYouTuberとフォロワー達のコミュニケーションも彼らに任せ、こうした文脈を読んだ設計が重要です。