インフルエンサーマーケティングは量より質の時代に突入?

こんにちは、アクトゼロの山田です。デジタルマーケティングにおいて、近年重要な手法になってきているものの一つに、インフルエンサーの活用が挙げられます。特にInstagramの盛り上がりによって、フォロワーを多く抱える人の影響力が高まっており、そうした影響力の高いユーザーは無視できない存在となっています。

フォロワー数以外にも新たな指標

今のところフォロワーの“数”というのが、Instagramにおいてインフルエンサーの影響力を計る指標として用いられていますが、今後、その指標が大きく変わるかもしれません。それは、「Auditor for Instagram」というサービスによって、フォロワーや「いいね!」の中身が可視化されるようになるからです。

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この「Auditor for Instagram」というサービスは、10万を越えるアカウントの情報を分析し、その傾向を元にインフルエンサーのInstagramアカウントの信頼度を指標化する仕組みを提供しています。アカウントをフォローするユーザーの実態を把握、AI(人工知能)を活用して、エンゲージメント率やそのエンゲージメントの中身(信頼度)の分析、さらにはフォロワーへのリーチ力というものも数値化します。企業のマーケティング担当者は、果たしてそのインフルエンサーが企業のマーケティングに寄与するものであるかどうかを、フォロワー数以外のデータも活用して判断できるようになります。

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つまり、「フォロワーが多い=影響力が高い」というシンプルなデータだけでなく、フォロワーやエンゲージメントの“質”を元にして判断できるようになったと言えるのです。インフルエンサーを起用する際の選定基準において、フォロワーの“数”というのが絶対的な指標だったわけですが、このサービスによって、フォロワー数以外の具体的な数値を元にした複合的な判断が可能になったのです。

量より質への転換期へ

実際のところ、こうした“質”を求める動きはインフルエンサーマーケティング周辺の話題だけにとどまりません。

例えば、ここ数日大きな話題となったのが、ユニリーバがFacebookに代表されるソーシャルメディアやリスティング広告やディスプレイ広告などを展開するGoogleへの出稿中止を検討しているというニュースです。その理由にユニリーバの担当者は、出稿するメディア(媒体)の健全性や公平性が担保されていないという点を挙げています。

実際、Web上での偏った表現の蔓延やフェイクニュースと呼ばれる不確かな情報の流通は、様々なところで指摘されてきています。そうした社会状況の中、ありとあらゆる情報が掲載されているSNS等のデジタル媒体に自社の巨額なマーケティング費用を投下することが、間接的に企業イメージの低下に繋がることを懸念しているのではないかと考えられます。逆に責任ある運営を行う媒体には出稿を継続すると明言していることから、テレビなどのマスメディアからデジタルメディアに移行しつつあるここ数年の広告トレンドに一石を投じる出来事になる可能性も出てきています。

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こうした動きはまさに量から質への価値観の転換が起こっているとも言え、どれくらいのフォロワーがいるであるとか、どれくらい露出があったかといった”量”至上主義の考え方から、その中身を重要視する”質”へ、デジタルマーケティングも大きく変わってくることは当然の流れかもしれません。

おそらく質へ転換する際に、これまで指標としていた数字が目減りしてしまったり、費用対効果の面でその成果が一時的に低下したりすることが、多々発生するのではないかと思います。当然そうなった際に、企業として、その妥当性をしっかりと見出すためには、量から質への転換とその意味を理解しておくことは最低限必要だと考えられます。これまで、絶対的な指標と捉えていたものを一度捨てなければならないとしたら、中々ハードな状況かもしれません。ただ、マーケティングの本質を追い求めるとしたら、正面から受け止めるべき問題なのかもしれません。

アクトゼロ / 山田