万能のAIが人の心の拠り所に!?

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近年、様々な「若者の◯◯離れ」が話題になっています。クルマ・テレビ・新聞・お酒…。インターネットの発展により、幅広い分野の娯楽や嗜好が提供されることによって多様化し、いわゆる流行というものも生まれづらくなってきています。

そのような現代、若者に限らずですが、現代日本人の「宗教離れ」が指摘されています。こうした宗教離れの流れは日本国内に限らず、欧米でも同様の流れとなっているようです。

2016年8月のCHRISTIAN TODAYの記事によると、米国市民の4分の1は「無宗教」に分類され、福音派キリスト者に次いで分類としては2番目に大きい勢力となっているのだとか。ヨーロッパでは、日曜日にミサで教会に集まるのは高齢者ばかりで、その数も年々減っているともいわれています。

こうした宗教離れの理由の一つに、インターネットの普及が挙げられます。現代の私たちには、スマートフォンがあり、インターネットやSNSがあり、かつて薄いとされていた人間関係はオンラインで補完でき、人生の悩みがあってもググれば大分解決のヒントが表示される。確かに、このような環境では宗教離れの現状を招くのも頷けます。少し古い記事ですが、2014年11月のDIAMOND ONLINEの記事では、インターネットの普及率と無宗教人口の割合は比例していると指摘しています。

AIが神に!?

かつて、聖書の普及を目的として活版印刷が発明され、新聞・ラジオ・テレビなど、布教活動はいつの時代もその時の主流メディアの活用と切って離されない関係があり、近年のネット・SNSを活用した宗教活動も少なくありません。同等に語るのには違和感を覚えますが、IS(イスラム国)は残虐な動画をWebを通して発信することで存在感を示したりしています。

最近、ネット業界ではAIが流行のキーワードとなっていますが、先月、このようなニュースが世間を賑わせました。

元Googleエンジニアのアンソニー・レバンドウスキー氏(37)が宗教団体を創立した。神は人工知能(AI)と標榜する宗教団体だ。9月27日、WIREDなどが報じた。

団体の名前は「Way of the Future(未来への道)」。ネットメディアのThe Vergeによると、宗教団体として税金の免除を受けるための書類は内国歳入庁(IRS)には提出されていないが、カリフォルニア州に提出された書類には、団体の目的が「人工知能に基づく神の実現を発展・促進すること」だと書かれていたという。
(HUFFPOST「「人工知能で神を」 元Googleエンジニアが宗教団体を創立」2017.10.13)

AIが神様に。まるでSFの世界の話のようですね…。

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創立者のアンソニー・レバンドウスキー氏は、元々、写真の撮影情報と位置情報を結びつける技術を開発した会社の設立者。その会社がGoogleに買収後、クルマの自動運転を開発するプロジェクトに責任者と携わった後、Googleを退社し、独自の自動運転企業の立ち上げて自動車配車サービスのUberに買収されました。しかし、Google退社時に、開発の機密情報を持ち出したと訴訟を起こされ、結局、今年5月にUberを退社したという経歴の持ち主です。

このレバンドウスキー氏が3度目に立ち上げた団体が、会社ではなく宗教団体。設立の目的として税金対策ではないかという見方もあるようです。日本では、宗教法人は収入に対して非課税ですが、「Way of the Future」が設立された、アメリカ・カリフォルニア州でも、許認可を受けた宗教団体は一定の金額のあいだで税金の控除が受けられるのだそうです。

果たして、レバンドウスキー氏が目指すところはどこなのか興味深い所ではありますが、ネット上の情報を集めて、適切なサジェスチョンができるようなAIが完成したとすれば、それは「神」のような存在になるのでしょう。

昨年、Microsoftが開発を停止した、AIによるチャットボット「Tay」は、学習を進めるうちに、Twitterで人種差別的・暴力的な発言や、薬物中毒者のような支離滅裂な発言をするようになったり(参考リンク)、今年、Facebookが開発していた2つの人工知能同士で会話をさせていたところ、独自の言語を生み出して会話しだし、プログラムを強制終了させたというエピソード(参考リンク)にも覚えがある方も多いと思います。

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Tay Tweets 現在は非公開設定。

スマートスピーカーの発売など、AIの明るい未来が語られる一方、SFの世界では、人工知能がもたらす結末は、暴走して人類に危害を与えるような、暗いものが多く見受けられます。そして、過渡期である現在でもその片鱗が見受けられます。果たして、AIという存在が、そして「Way of the Future」が行き着く先はどのようなものになるのでしょうか。