公衆WiFiがFacebookで簡単に検索!訪日観光客から見た日本のWiFi環境は…?

先日、6月30日、Android/iOS向けのFacebookアプリに新たな機能が加わりました。

Facebookアプリ、現在位置付近の公衆無線LAN表示機能を追加
日本を含む全世界で利用できる。 機能が利用できる環境では、Facebookアプリのアプリ一覧の画面に「Wi-Fiを検索」の項目が追加される。これを選んで表示される画面で機能をオンにすると、現在位置付近の公衆無線LANが地図上に表示されるようになる。
(2017年7月3日 INTERNET Watch

早速、自分のスマートフォンのアプリを最新のものに更新してみると、会社近くの無料WiFiスポットが検索することができました。東京・神楽坂という土地柄か、飲食店が多く、来店者向けのサービスが多いようでした。

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2016年にこの機能のテストを行った結果、旅行中の観光客が、事前に購入していたモバイルデータ通信容量が不足した際に、非常に助かったという意見が多かったとか。私も海外旅行などで経験がありますが、事前に◯GBのように一定の通信料が含まれたSIMカードを買って通信する場合が多く、慣れない土地だとその追加の手順や代行をお願いできる店を探すことに困ることも多いので、この機能は非常に助かるものだと思います。

訪日インバウンドの流行で、海外からの旅行客が増えている日本。かつては、公衆WiFiが欧米などの都市と比べて貧弱だという印象がありましたが、最近、徐々に広がってきており、生活をしている身でも便利だな、と思うシーンが増えました。

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東京メトロでは、ほぼ全ての駅構内に加え、銀座線を皮切りに各路線の車内でも無料WiFiを使えるように計画したり(参考)、東京以外の地方でも、東北全域で使えるという公衆無線LANサービス「東北 Wi-Fi」が1月下旬から順次展開し、2016年度末までに1000カ所での提供を目指して、訪日外国人だけでなく、日本人も利用できるサービスを開始したり(参考)、今月から山開きに併せて、富士山の山頂でも無料WiFiが使えるようになったのだとか(参考)。観光庁も、公衆無線LAN環境整備支援事業に対し、2017年度当初予算は31.9億円と、2016年度当初予算2.6億円から大幅に増加させ、こうした動きに支援を続けています。

海外観光客からの、日本の公衆無線WiFiの評価。その今後のニーズ

かつてよりは、公衆WiFiの環境が整いつつある日本。現状での海外からの観光客の評価はどのようなものでしょうか。

2017年4月に観光庁から発表された、”「訪日外国人旅行者受入環境に関連するSNSへの投稿等の分析」結果”は、中国・台湾・香港・韓国・アメリカにおける、各種SNSサービスのユーザーを対象に、その投稿内容を分析したレポートになっています。

様々なサービスのジャンル毎に、日本で受けた海外観光客の受入環境に関する投稿数と、それに対するネガティブ投稿数の割合を整理してみると、「公共交通」が最も多いものの、次いで、「通信環境」「多言語表示・コミュニケーション」が挙げられ、まだまだ日本における公衆WiFi環境が、他国に対して十分ではないということが浮き彫りになっています。

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WiFiについてポジティブな声もある一方、「WiFiスポットが少ない」という声は各国・地域で見られ、公衆WiFiスポットの拡充は大きな課題だといえるでしょう。 日本ではWiFiスポットが少ないと認識されているためか、リピーターが比較的多くその事情を理解しているアジア圏(中国・台湾・香港・韓国)では、事前にWiFiルーターやSIMカードの準備をしている旅行者の発言が多く確認されています。

前年である2016年の同様の調査でも、「公共交通」「通信環境」「多言語表示・コミュニケーション」の3ジャンルは、ネガティブな投稿上位を占めていました。どれも、そう短い期間で解決しづらい課題ではありますが、今後の更なる環境の改善が求められます。

2020年の東京オリンピックに向け、ますます訪日海外観光客は増え続け、今後更に公衆WiFiのニーズは予測されています。昨年9月に発表された、ICT総研の「2016年 公衆無線LANサービス利用者動向調査」によれば、2019年度には、訪日外国人による公衆WiFi利用者は1767万人に達する見込みになっています。

ちなみに、この調査によると、海外で公衆WiFiサービスを利用したことのある人に対して、日本以外での海外利用時の満足度について聞いたところ、シンガポールでの満足度が最も高く、次いで2位は香港、3位はグアム・サイパンと続いています。

今後、日本が観光立国として訪日外国人をより増やしていくためには、公共WiFi環境の改善をより進めることが重要でしょう。そのため、前述したような、観光庁の予算倍増など、政府による後押しも今後より強くなり、改善への後押しがより強くなることが期待できます。

セキュリティに関する懸念

こうした、海外観光客に対する満足度を高めるための、公共WiFi環境の改善が求められる声が高まる一方、こんな意見もあります。

SB孫社長が「外国人向け無料Wi-Fiは廃止すべき」とした理由
ある株主が「2020年の東京オリンピックに向けて、訪日する外国人に向けた無料で使えるWi-Fiスポットを充実させて欲しい」と発言した。これまでのソフトバンクや孫社長であれば、サービスオリエンテッドな姿勢を見せて、すぐに「やりましょう」と回答したであろうところを、「むしろ廃止するべきものである」と反論(中略)

過去のオリンピックにおける同様の例を挙げ、「過去のオリンピックでは、無料Wi-Fiに関しては様々な問題が発生しており、その多くがセキュリティの問題である」とした上で、「データローミングを強化し、セキュリティを確保した上で、使用容量無制限の案などを検討する方がいい」とした。さらに「無料Wi-Fiスポットが良いというのなら、セキュリティの問題解決ができるかを検討したい」としており、将来への含みは残しつつも、根本的にWi-Fiスポットには問題があるという主張をしている。
(ZUU online 2017.6.25  https://zuuonline.com/archives/158658

多くのユーザーが同じアクセスポイントに、同一なパスワードでログインして利用できることは非常に便利ではありますが、匿名でアクセスすることにより、なりすましや匿名でアクセスする可能性が高いだけでなく、他人のスマホやPCなどにログインできる可能性があり、利便性とは別の面から見ると、あらゆる危険性が考えられます。海外からの観光客の方が、こうしたトラブルに巻き込まれた時、また新たな課題が生まれることが考えられます。

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実際、このような、公衆WiFiからの犯罪、被害はこれまでも報告されています。また、特にオリンピックなどのような世界的イベントを背景にして考えると、例えばテロ活動の一助に繋がったりとした懸念も考えられ、ただ公衆WiFiが日本中に普及すれば良い、ということではないのかもしれません。

利便性とセキュリティーの担保はいつの時代も反面する課題ではありますが、今後、こうした環境が整備され、公衆WiFiの利便性が向上する一方で、その環境のセキュリティー面での担保も重要な課題になってくると思います。