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企業活用はどうなる?Instagramのライブ配信開始

今年も飛ぶ鳥を落とす勢いのInstagram。昨年、写真や動画投稿が一定時間で消える「ストーリー」機能が加わり話題となりましたが、今年の1月中旬から新たにライブ配信が日本でも利用可能となりました。
この機能追加によって、Instagramの活用もどのように変わっていくのでしょうか?

  Instagramブログの説明動画より

Instagramは、ライブ配信も”消える”

まず注目したいのが、今回のライブ配信機能はストーリーの追加機能として実装されたもので、ライブ配信後に動画は消えてしまいます。
ちなみにFacebookなどでも既にライブ配信は行われていますが、それらはアーカイブされ、配信後も見返すことができます。
つまりこの新機能では、今の瞬間にInstagramを開いており、かつフォローしてくれているユーザーとだけ、刹那的かつ閉鎖的だからこそ特別な思い出を共有できる、という点が特長と言えそうです。

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シャムキャッツのライブ配信の様子

たまたま見かけたこちらの配信では、人気バンドということもありファンからのいいね!(画面右の♡)やコメントが続々とつき大盛況に。リアルタイムで憧れの人とやりとりできるというのは、やはりファンとして嬉しいものですよね。
580万ものフォロワーを擁する渡辺直美さん(watanabenaomi703)の初ライブ配信では、たった10分で約15万人もの視聴者が参加したというから驚きです。
ライブ配信の尺は最大1時間までと可能なため、今後は演奏やパフォーマンスなどを披露したり、作品などを先行発表する場として活用していく人も増えていきそうです。

生中継×消える機能=踏み込める場に

今回のライブ配信機能について、企業はどのように向き合っていくべきなのでしょうか。

生中継となると、そもそも誰が動画に出るのか、定期的に実施できるのか、不測の事態にどう対応するかなど準備段階での課題が多くあります。
また、ライブ配信はあくまで「今つながっているユーザー」に参加してもらうものとなるため、現状フォロワー数があまり多くない場合、苦労に対する成果が得られるのか疑問に思う方も少なくないでしょう。

しかしこの消える機能と、Twitterなどと比べて拡散性が低い(炎上しにくい)という独自の特性からも、Instagramのライブ配信は「ファンと”一歩踏み込む”コミュニケーションを試せる場」として活用できそうです。
そもそも写真などのセンスでつながるInstagramで、ユーザーが企業アカウントをわざわざフォローするモチベーションには、なにかもらえる・役立つなどの損得勘定よりも、純粋にその企業・商品が「好き」という気持ちが多少なりとも根本にあります。

そうした好意を向けられている状況で、「なんとなく好きな会社」から「応援したい会社」へとランクアップしていくために、ライブ配信はファンとの垣根をなくせる大きなチャンスとなるのではないでしょうか。

消えても、心に残るライブ配信とは

ライブ配信をはじめるにあたっては、トップ画面上部のストーリーを押し「ライブを開始」をタップするだけと、非常に簡単にはじめられます。
しかし、肝心なのはやはり中身。先述した通り個人の裁量でライブ配信できない企業アカウントでは、人気インスタグラマーのような「身近さ」が出しづらい分、企画性や新たな工夫が求められます。

フォロワーの心に残るライブ配信とするためのヒントとして。ハードルは高めですが、「生中継」をテーマに話題となったプロモーション事例をみてみましょう。

①相模ゴム工業『LOVE DISTANCE』

約8年前とずいぶん前のプロモーションですが、記憶に残っている人も多いのでは。
福岡と東京に住む遠距離カップルがクリスマスイブに再会するため、それぞれの県から徒歩で向かう様子をリアルタイムに配信したプロモーション企画。
1,000㎞もの距離を乗り越えていく2人の一生懸命な姿と、商品性を意外な切り口で訴求しているのがとても印象的です。
こうしたひたむきに頑張る人の様子というのは、リアルタイムでやはり応援したくなるものと言えるでしょう。

②AUTOWAY『【放送事故】生配信中に…いきなりBAN』

残念ながら公式動画は現在消えてしまったのですが、アイドルが部屋で生配信しているところに自動車がとびこむというドッキリWeb CM。
Web動画ならではの形式を活かしたメタ的表現がユニークで、こちらも非常に拡散を生みました。
実際のライブ配信でも、こうしたドッキリ企画にユーザーを巻き込むことができれば強烈なインパクトを残すこととなりそうです。(あまり心臓に悪いものは顰蹙を買う恐れもありますが…)

③Super-Pharm『THE LIVE DRONE BEACH REPORT』

イスラエルのドラッグストアチェーンにて、皮膚がんの予防を目的にドローンを使ってビーチの様子をFacebookでライブ配信した企画。
ビーチを俯瞰して今の混み具合がチェックできるため観光客に嬉しく、また社会貢献にもつながる画期的な取り組みと言えます。
上空からや人が立ち入りにくい場所などの景色はやはり興味が惹きやすいですので、こうしたドローンを使った手法もこれからも一層活躍しそうです。

さいごに

未だ企業利用については、まだまだ試行錯誤している企業が多い印象のInstagram。
しかし今回の新機能追加で新たな表現・コミュニケーションが可能となり、活用の幅もまた広がったのではないでしょうか。
流行に敏感なユーザーと関係性を深めるための接点として、よりチャレンジングな一歩踏み込んだライブ配信を期待していきたく思います。