企業プロモーションに活用!Facebook Live動画配信の最新3事例

各種のSNSサービスがライブ動画配信機能に力を入れていることを以前の記事でお伝えしました。(2016.07.08 SNSサービスが続々ライブ動画配信に対応する、2つの大きな目的とは?

今年の2016年2月にローンチされた「Facebook live」は、スマートフォンで撮影中の動画をFacebook上にリアルタイム配信できる機能です。配信中にコメントを記入したり、閲覧することができ、配信後にはアーカイブ動画としてタイムラインに保存・投稿されます。公開当初は配信時間は最長で90分まででしたが、5月にはその上限も撤廃され、現在では24時間ストリーミング可能になっています。

写真やテキストを投稿するのと同様に、ライブ動画配信の手順は非常に簡単で、スマートフォンのFacebookアプリから「ライブ」のボタンを押し、動画の公開範囲とタイトルを設定すれば配信可能となります。これまでのライブ動画配信プラットフォームと比較しても段違いの手軽さで、かつ最大規模のSNSと完全に連携を取ることができます。

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こうした長所も助けてか、Facebook  Liveの利用者は、サービスの改善がなされた5月以来の約半年間で、サービスの利用者は4倍増となりなかなか好調のようです。

Facebookは、米国および英国で、テレビ、ウェブ、街頭、バス、バケッジクレーム等に新たな広告を掲載、何かいい物を見たり、自慢したり、大切なことを言いたい時にライブ中継することを推奨している。

このキャンペーンは、5月以来あらゆる時間帯で利用者が4倍以上に増えているライブ動画の勢いを、さらに加速するかもしれない。ビデオストリームは7大陸に加えて宇宙からも発信され、ユーザーは通常のビデオの10倍コメントを付け、視聴時間はライブ以外のコンテンツの3倍に上る。多くの視聴者が集まるのは著名人のものだが、ほとんどのライブ中継は一般ユーザーによるものだ。

2016.10.24 TechCrunch Japan Facebook Live、5月以来の利用者は4倍増。テレビCMと屋外広告を展開

やはり多くの視聴者を集めるのは、著名人やアーティストや、スポーツの中継や音楽ライブなどといった、エンターテイメント系のコンテンツが中心ですが、利用者数の増加を背景にし、企業がプロモーション活用し始める動きも出てきているようです。今日はそんなFacebook Liveを活用したプロモーション事例をご紹介します。

パンケーキとヒゲ男(アメリカ・レストランチェーン)

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http://www.ihop.com/

アイホップ(IHOP)は、パンケーキ、ワッフル、フレンチトーストなどといった、朝食メニューに特化した、アメリカ合衆国を本拠とするレストランチェーン。

2016年6月に、新作の「パラダイスパンケーキ」のプロモーションでFacebook Liveを利用。キャンペーン期間中、合計約38.5万再生・のべ約17.1万再生され、同社がSNSに投稿した動画としては、過去最高の再生数になりました。

1時間半に渡るライブ動画は、ビーチを背景に置かれた3つのパンケーキ。三脚で固定されたスマートフォンで撮影しているようです。ひたすらパンケーキが映っています。しかし、動画の終わり間際に…

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謎のヒゲの男がテーブルの下から現れ、誰かに一口パンケーキを食べさせてもらい、グッドのサインをして、再びテーブルの下に姿を消すというシーンがあり、視聴者の興味が集まった瞬間でした。このパンケーキを食べるヒゲの男、同キャンペーンのあちこちで出現し、その度に話題を呼んだようです。

「#BeardGuy(ヒゲの男)が、新作のパラダイスパンケーキとともに戻ってきた!」
動画とは別の、360°写真(実際は120°程度?)にも登場。
同社の投稿では反応が大きいとされる3000以上のリアクションを得た。

正直、日本人の感覚だと、なぜそこまでバズったのか理由が分かりづらいところですが、ヒゲの男という、いわゆる「シュール」なオチが米国人の琴線に触れた結果なのでしょう。

ドローン動画による皮膚がん予防啓蒙(イスラエル・ドラッグストアチェーン)

イスラエルは、世界で最も太陽の紫外線が強く、皮膚がんの罹患者が多い国のひとつなのだとか。「Super-Pharm」は同国最大のドラッグストアのチェーン。

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http://www.super-pharm.co.il/heb/HomePage/

イスラエルでは、紫外線が最も強い時間帯はビーチに行くことを避け、”Sun Safe Hours”と呼ばれる、紫外線が低い時間帯に行くようにすべきという指導があるそうなのですが、実際にはあまり守られていなく、その理由の一つが、「早くからビーチに行かないと、良いスポットがキープできない」。

そこでSuper-Pharmがイスラエルがん学会と連携し、Facebook Liveで行った皮膚がん予防の啓発キャンペーンが、ドローンを使ったビーチのライブ動画でした。

Sun Safe Hoursが始まる直前に、人気のビーチをいくつかドローンで上空から撮影し、コメントやレポート付きの番組仕立てでライブ動画を配信。そうすれば視聴者は、Sun Safe Hours間際でもまだ空いているビーチが一目瞭然に分かる、といった算段です。

動画に対する反響は非常に大きく、1分あたり100を超える反応があり、1時間で3万を越える再生回数に達し、これまでの同社の投稿の中で最も人気のあるコンテンツとなったようです。

同キャンペーンの分かりやすい報告動画がこちら。

抱えている課題を明確にし、それを解決するために、ドローンやFacebook Liveといった最新技術を活用して、キャンペーン対象者が欲していて喜ぶコンテンツをしっかりとアウトプットできた良い事例だと思います。とかく、新しいものを使うことを優先し、目的が逆転してしまって失敗するキャンペーンも少なくないのです。

ランドローバーのテスト走行(イギリス・自動車メーカー)

ランドローバーといえば、イギリスの本格派オフロード4WDブランド。イギリス皇室やセレブも愛用する高級車です。

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http://www.landrover.com/

今年の2016年4月、販売中の4車種のテストドライブの様子をFacebook Liveで配信しました。運転はブランドマネージャーが動画中でコメントを入れながら行っています。

どんな悪路も力強く進む姿に、再生回数は合計で10万再生近くまでに登り、ランドローバーファンである視聴者からは様々なコメントやリアクションを受けました。

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結果的に放送は成功して、1週間で7%のオーガニックリーチ数を得たとか。この事例も、熱狂的ファンが何を求めているかを的確に判断し、そこに対する適切なコンテンツを供給できた例だと思います。

以上、海外の3事例、いかがだったでしょうか。まだ日本では本格的に企業のプロモーションで活用された事例は少ないようです。

Facebookはライブ動画はじめ、他にも様々な機能の追加によって、月間アクティブユーザー16.5億人の囲い込みを続けています。競合SNSサービスと比較した時に、業界最大規模というのはFacebookにとって最大の強みであり、その地位を継続させるためにはサービスの充実が重要なのです。冒頭でも触れましたが、これまでの他のライブ動画配信プラットフォームでもSNS連携されていますが、そのSNS本体がライブ動画配信プラットフォーム化することは、これ以上無い連携です。これまで以上に、Facebookによるライブ動画配信シーンがこれから広がっていくでしょう。今後もFacebookと、Facebook Liveの動向に注目していきたく思います。