「uno SOCIAL BARBER」で再び考えるソーシャルコネクトの可能性

20160511

こんにちは、アクトゼロの山田です。
ここ数年、新たなWebサービスを利用登録しようとすると、メールアドレスや個人情報を入力するといった従来型の方法に加え、FacebookやTwitterのアカウントを使って始めることができる機能を用意しているものが多くなってきています。
これは、ソーシャルコネクト(ソーシャルアカウント連携技術)の仕組みを用いたもので、サービス提供側からすると個人情報などをユーザーに入力させる手間が省けるため登録完了までの手順を少なくすることができ、利用者側からすると個人情報をサービス側に提供するというプライバシーリスクを低減できることから、双方にとってメリットのある手法として近年台頭してきました。

もちろん、この流れはWebサービスだけに限った話ではなく、オンライン上で実施されるWebプロモーションへの参加にも、有効な手段として取り入れられてきました。
参加登録フォームへの入力の手間を省くことが主目的ですが、かつては、参加者のソーシャルアカウントに登録している情報を積極的に活用するキャンペーンが隆盛を極めていた時期もありました。
記憶にある方も多いと思いますが、「○○診断」といった診断系コンテンツを用いたキャンペーンが最たるもので、最終的に示された結果をシェアさせることで拡散させる狙いがありました。

ただ、あまりにも乱発されてしまったため、ユーザーも食傷気味になり、徐々に衰退していきました。
しかし、そういったソーシャルアカウントの情報を使うキャンペーンも、新たなテクノロジーを取り入れることで再び注目される可能性がでてきました。

ディープラーニングを用いた「uno SOCIAL BARBER」


そう思うようになったきかっけは、資生堂がリリースした「uno SOCIAL BARBER」というキャンペーンコンテンツの体験です。

 

これは、自身のSNS上での過去の投稿を分析し、29タイプの性格に分類してくれるという、いわゆる診断系のキャンペーンコンテンツです。
参加方法は、これまでのWebキャンペーンによくある流れで、分析をするアカウントをFacebookもしくはTwitterから選択します。選択したカウントの過去の投稿を分析し、その結果が表示されるというものです。

001この流れだけ聞くと、昔よくあったやつね、という感じだと思いますが、ぐっとコンテンツに引き込まれる理由があります。その理由とは、出てくる分析結果のクオリティの高さです。
大まかなタイプ診断はこれまでも見られたものですが、詳しい分析画面を見ていくと、しっかりと自身の投稿した内容が考慮されていることが分かります。そのため、かなり個人に向き合ったものという印象を受けます。

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こうした詳細な分析を可能にした要素が、サイト内にも書かれています。ひとつ目が、東京大学の「新版TEGⅡ」というエゴグラム分析を用いたアンケート調査を実施し、その対象者のSNSの投稿を紐付け心理傾向のデータを蓄積している点。
そして、最も大きいのがディープラーニング(機械学習)を使って、その蓄積データを元にして参加者のSNSデータを関連付け分析を行っている点になります。これにより、非常に細かな分析結果が導かれているのです。

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ありきたりだった診断系が、ディープラーニングによって参加者ごとに詳細に分析されたことによって、ぐっと魅力的なコンテンツへと昇華されています。それ故に、古された仕組みであったとしても、新たなテクノロジーと組み合わされることで、まだまだ復権する可能性を感じてしまうのです。

「AI」や「VR」といったテクノロジーとの融合にも可能性

Webのマーケティングにおいては、インターフェイスの操作性やソーシャルアカウントの利用実態など、ユーザー視点を最優先することが重要で、キャンペーンを企画する時には最大限の注意を払います。今回の「uno」のケースでは、ユーザーに委ねられるのは、ソーシャルコネクトをするという使い古された操作であって、決して複雑なアクションを用いられているわけではありません。これであれば、多くの人が抵抗なく参加でき、最後まで迷うことなく楽しめます。

 

しかし、操作が簡単なだけでは、沢山の人の心を掴むのは難しく、そこで提供されているコンテンツがユーザーにとってこれまでにない“体験”を提供するものでなければなりません。ただ単に賑やかしだけで終わるのではなく、参加する価値のあるものかどうかが大切なのです。
「uno SOCIAL BARBER」のケースでは、「ディープラーニング」という最新のテクノロジーが取り入れられていましたが、他にもまだたくさんあります。例えば、「VR」や「AI」といったものなんかは、よく目にする単語かもしれません。
特に「VR」は、スマホで体験できるものから、本格的なデバイスを用いたものまでさまざまな展開が始まっており、今後のデジタルマーケティングを考える上で、無視できない存在になると個人的には思っています。すぐに浮かんでくるものとして、ソーシャルコネクトをベースに、ユーザーのチェックイン履歴とGoogleのストリートビューをVR技術で紐付けるというもので、過去に行った想い出の場所を疑似的に体験するといった少しセンチメンタルな企画が思いつきます。こうした内容であれば、旅行代理店や航空会社など、場所と人を結び付ける業種との相性は良さそうです。

 

こうした様々な体験の入り口として、ソーシャルコネクトという仕組みは大きな役割を担っています。それは、どちらかというと企画のコアアイディアとして据えられるものではなくインフラ的な位置づけとなり、新たなテクノロジーがそこに乗っかってくるというイメージです。最終的に実現するべきなのは、参加するユーザーにとって価値のある体験を提供することで、それを実現する技術は当然移り変わっていくものにはなります。ただ、まだまだソーシャルコネクトの果たす役割は衰えることなく、しばらくは続いていくはずです。

アクトゼロ / 山田