Twitterで話題の「お坊さんがこたえるQ&Aサービス」とは

アクトゼロの藤村です。
木曜日のプランナーズブログをお送りします。

質問を投稿すると回答が得られる「Q&Aサービス」は、ネット黎明期から長い歴史を持つWEBコンテンツのひとつです。
日本国内のQ&Aサービスといえば、誰もが一度は閲覧したことのある「Yahoo!知恵袋」が最大手ですが、「OKWAVE」や「教えて!goo」なども老舗サービスとして広く知られていますね。
回答者を弁護士や医師に限定したニーズ特化型のQ&Aサービスも複数公開されており、今や電話で問い合わせをしたり現地に赴くことなく、WEBで簡単に専門家から意見を得ることができる時代になりました。
最近では、FacebookやLINE、Twitterなど大型のSNS系列でも類似のサービスが提供されていますが、数日前からTwitterでじわじわと話題になっている「hasunoha」という、特化型Q&Aサービスをご存じでしょうか?

回答率99%。お坊さんが答えるQ&Aサービス

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hasunoha」は、回答者が伝統仏教寺院に所属する現役の僧職の方だけで構成された、ユニークなQ&Aサービスです。
仏教でニッポンを優しくする」というコンセプトのもと、東日本大震災をきっかけに発足したウェブサービスで、全てのコンテンツを無料で使用することができます。
メニューの名前も一ひねりされていて、Q&Aコンテンツを『問答』、回答への評価指標を『在り難しボタン』、Facebookでいいね!することを『娑婆に広める』としており、徹底した世界観のもと運用されています。

あなたは、悩みや相談ごとがあるとき、誰に話しますか?
友だち、同僚、先生、両親、インターネットの掲示板など相談する人や場所はたくさんあると思います。
そのひとつに、「お坊さん」を考えたことがなかったのであれば、ぜひ一度相談してみてください。なぜなら、仏教は1,500年もの間、私たちの生活に溶け込んで受け継がれてきたものであり、僧侶であるお坊さんがその教えを伝えてきたからです。
心や体の悩み、恋愛や子育てについて、お金や出世とは、助け合う意味など、人生において誰もが考えることがらについて、いろんなお坊さんからの癒しや救いの言葉、たまに喝をいれるような回答を参考に、あなたの生き方をあなた自身で探してみてはいかがでしょうか。(サイトTOPより引用)

リア充ならぬリア住(リアル住職)だからこその回答クオリティ

寄せられた質問を『在り難し』順ソートしてみてみると、その内容は実に多岐にわたります。
「苦しいときに勇気づけられる言葉が聞きたい」「煩悩とはなにかを簡潔に教えてほしい」といった、僧職ならではの意見を求めるものもあれば、「ソシャゲをやめたい」「Facebookのリア充アピールがウザい」など、それをお坊さんに聞くのか…?と思わずにはいられないライトなものまで多種多様ですが、どんな質問にも丁寧な回答がついていて、読んでいるだけで面白いです。

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回答のクオリティはおしなべて一定の水準に維持されている印象で、当然ながら見当外れな誹謗中傷はありません。
人生相談において、僧侶は言わば説法のプロ。
カウンセラーという職種が存在しなかった古来から、人々の様々な悩みに耳を傾けてきた元祖カテゴリマスター(※)です。
お坊さんがPCに向かったり、スマートフォンを触ったりしている姿を想像するとなんだかちょっとシュールで面白いですが、仏道とQ&Aサイトというコンテンツは、非常に相性のよい組み合わせだったのかもしれません。

さいごに

若い世代のネットユーザーにとって、“お寺”や“仏教”という存在は身近に感じられるものではありませんし、日常で触れ合う機会といえばお正月の初詣くらい、という人々が大半です。
季節のイベント毎に様々な宗教が混在する国で暮らす寛容な国民性は、信心深い信仰が根付いた諸外国と比較したとき、「気が滅入ったときに祈る絶対的な存在」を持っていません。
しかし、そんな独自の宗教観を持つ日本人だからこそ、仏教教義や宗派見解などに縛られず、ニュートラルな立場で楽しむことのできるライトコンテンツとして、こういったWEBサービスが成立したのかもしれません。

『仏教離れ』が進む現代日本人への啓蒙が裏テーマとなっている「hasunoha」の、寺院向け概要資料が公開されていたので、ご紹介しておきます。

 

WEBサービスプランニングの観点からも、コンテンツマーケティングのひとつのかたちとしても、面白い事例ですね!

 

 

(※)Yahoo知恵袋において、各カテゴリごとにランキング上位三位までの回答者のこと