宿泊に移動…デジタル戦略のコアはソーシャルメディア時代の“シェア”カルチャーへ

こんにちは、アクトゼロの山田です。今年最後のブログは、徐々に変わりつつあるインターネットサービスの今後について書いてみたいと思います。

これまでインターネットを利用してきた中、2010年代に入って特に感じていることなのですが、突発的な出会いによって「新しい発見」をする機会が多くなったように思います。
これは、紛れもないSNSの普及によるものと言えるのですが、沢山の人との繋がりによって、検索やネットサーフィンといった自発的なアクションだけでは見つけることができないようなバラエティに富んだ情報に接する機会が多くなったと実感しています。 自らの意思によって能動的にアクションするインターネットにおける「情報の偏り」が、他社からのシェア情報によってかなり中和されるようになりました。

このSNSの台頭によって市民権を得たと「シェア」という考えた方は、多くのサービスに影響を与え始めています。
例えば、バイラルメディアやキュレーションメディアといった「シェア」を意識した情報発信を行うWebメディアが乱立している状況がすぐに思い浮かびます。そして、「シェア」という概念はインターネット上だけに留まらず、リアルなサービスにも徐々に広がり始めています。

何かと話題の「Airbnb」

今年最も話題になったシェアサービスと言えば、「Airbnb」ではないでしょうか。ニュースなどで最近耳にする機会が多くなっている「民泊」に関連するサービスで、「泊まりたい」ユーザーと「泊めてもいい」ユーザーをインターネット上で結び付けるものです。

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民泊がニュースで取り上げられる際には、トラブルやリスクなどのネガティブな側面が強調されることもあります。しかし、例えば、増加する外国人観光客に対して、宿泊施設が足りないという実際的な問題がある中、マンションや一軒家の空室を貸し出すことで補うこともできることから、法律的な規制緩和が強く叫ばれています。そして、それを後押ししてるのが2020年の東京オリンピックです。現状、すでに東京の宿泊施設は慢性的にキャパシティーオーバー気味な上、新たな宿泊施設の建設にも限界があることから、ひとつの解決策として「部屋をシェアする」サービスは、問題解決の現実的な手段と捉えれらています。
002この「民泊」の是非や規制の緩和については、2020年に向けてここ日本でもより注目を集めていくことは間違いないでしょう。

ついには移動もシェア

そして、泊まるだけでなく「長距離の移動」をシェアするサービスも登場しています。

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notteco」という名前のこのサービスは、長距離を移動する車の空席と長距離を移動したい人をマッチングさせるものです。このサービスでは「ライドシェア」と呼んでいますが、いわば有料のヒッチハイクのことで、移動する時のガソリン代や高速代を、ひとりで移動するのではなく、複数で移動することによって、ドライバーは費用負担を軽減でき、同乗者は安価に移動できるという、双方にメリットが生まれてくる訳です。
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サイトを見ていると、年の瀬と言うこともあって、年末年始の「帰省」をライドシェアしたいユーザーが多いためか、日本各地を移動する様々なルートが並んでいます。
また最近は、お金の面だけでなく、CO2排出といった環境面でも「相乗り」が注目されていて、大人数が個別に自動車移動するよりもライドシェアする方が環境負荷が小さく、注目されるひとつの理由となっています。

何かを「シェア」することは新たな収益へ

この「シェア」するという概念は、「民泊」や「相乗り」のように、全く新しいものというよりは、これまでの既存のサービスの延長線上に生まれてきたものがほとんどです。
ホテル・旅館に「泊まりたい」、タクシーやバスで「移動したい」と言った根本的なニーズは同じで、「空いている部屋」「空いている座席」をインターネットを通じてシェアすることで新たなビジネスとなっています。

実はソーシャルメディアの企業活用といった時、どうしてもFacebookやTwitterのアカウント運用や広告の利用を思い浮かべてしまいがちですが、自社のサービスをソーシャルメディア時代に合わせて進化させるという視点も忘れてはならない側面です。シェアをすることで、自社の資産を有効に使い効率化を図る。もしくは、個人ユーザーの資産を集合させ、ニーズのあるユーザーを結びつけるというサービスの展開。新時代のデジタル戦略は、こうしたソーシャルメディア以降の時代の流れをしっかりと汲み取らなければ、持続させていくのは難しいかもしれません。

アクトゼロ / 山田