映像表現の空撮に「ドローン」を使う効果とリスク

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 昨日、こんなニュースが報道され、話題になっています。

<首相官邸>屋上に「ドローン」落下…カメラや発炎筒積む
22日午前10時半ごろ、東京都千代田区の首相官邸の屋上に小型無人飛行機「ドローン」が落ちているのを官邸職員が発見し、警視庁麹町署に通報した。同署によると、ドローンは直径約50センチで、四つのプロペラや小型カメラが付いていたほか、発炎筒のようなものや液体の入ったペットボトルのような容器(高さ10センチ、直径3センチ)が取り付けられていた。けが人はなかった。同署は威力業務妨害容疑などを視野に、詳しい状況を調べている。(http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150422-00000029-mai-soci

墜落したドローンには、放射性物質が搭載されていたという話もあり、なかなか物騒な事件になっています。

ドローンとは、元々、軍事目的で開発されてきた無人の航空機全般を指す言葉でしたが、ここ数年で小型化・低価格化され、ラジコンヘリ程度の大きさのものを指す言葉として認識されているのが一般的な解釈ではないでしょうか。

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GoProなどの小型で高画質な映像を撮影できるカメラを搭載することができ、手軽に空撮を実現できることから、主に映像制作のシーンで活用されはじめて昨年あたりに流行した撮影手段です。

ドローンを活用した映像制作の一例。
ちなみにこの動画、GPSの軌跡で絵を描くというYassan氏を紹介する動画です。
世界中で話題を呼び、日本でもテレビ等で広く紹介されました。

これまでは、空撮を行うためには、撮影専用のヘリコプターやオペレーターを貸し切る必要があり、費用も数十万円~かかることから、なかなか気軽に採用できる映像撮影手段ではありませんでした。カメラ付きのドローンでも、10万円代から購入することができ、また操作も非常に簡単なので、空撮という表現手段ががぐっと身近になりました。

しかも、有人のヘリコプターは、飛行高度に限界があり、地面近くの撮影は不可能でした。ドローンでは、地面すれすれの撮影も可能なので、有人ヘリの撮影領域からクレーンと呼ばれる撮影特機の領域までカバーできる新しい表現が可能になりました。

クレーンの例(http://www.rentact.co.jp/crane.html

中国企業のDJI社がドローンの供給先としては最大手で、世界ですでに累計100万台を出荷しています。今後も普及は益々進むことが予測されており、2015年には売り上げ規模で1億3000万ドル・販売台数は40万機に達し、今後5年間の総売上は10億ドルを超えるとも言われています。最近では映像撮影の手段だけではなく、大規模な建設工事の確認、設備の点検や監視、災害時の救助作業、荷物の配送などにも活用され始めたりしています。

事故・犯罪のリスク

様々なポテンシャルを含むドローンですが、常に”墜落”という最大のリスクが付きまといます。現状、日本ではドローンを想定した法規制が無く、利用者のマナーやモラルに頼っている状況です。

模型航空機の場合だと、空港周辺はダメ。航空路の下では、地面(水面)からの高さが150m以下ならOK。空港から離れていて、航空路の下でなければ、地面(水面)からの高さが250m以下ならOKです。(https://www.facebook.com/note.php?note_id=217059288313842

米国では非常に厳しくドローン使用が制限されており、個人での娯楽利用は認められていますが、商業目的での利用は規制されています。ドローンを使って制作された動画を、広告が表示される”YouTube”にアップロードすることは、ドローンの”商業利用”に該当するとして、連邦航空局(FAA)が取り締まりを始めています。

また、盗撮の可能性や、冒頭の首相官邸での事故ではテロの可能性もはらんでおり、犯罪に悪用される可能性もあります。

最近では、ドローンの事故を想定した保険が発売され始めています。前述のDJI社が、つい先日21日に、三井住友海上火災保険と連携して、購入者に対して1年間の保険を約束する制度を発表したり、東京海上日動火災保険が、今年の7月から”産業用無人ヘリコプター総合保険”の販売を開始することが発表されています。ただ、保険はあくまで事故が起きた際のリスクを軽減するもので、事故自体を防ぐ目的のものではありません。

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ヘリコプターの普及を目指す民間団体、日本産業用無人航空機協会(JUAV)が安全確保のために自主ルールを設けたり(http://www.nikkei.com/article/DGXLASFP18H01_Y4A111C1I00000/)と、いくつか事故対策が始まっていますが、今後、多発するドローンの事故を受けて、法規制が設けられるのではないでしょうか。免許制や安全講習の義務化などの必要性を感じます。

映像表現に広い可能性をもたらしたドローンですが、同時にはらんだリスクも考慮に入れた活用が必要です。

Photo by Carlos Honda