ソーシャルメディアはBARである。

アクトゼロ黒沼です。ソーシャルメディアインサイトをお送りします。

ソーシャルメディアって結局なんなんですか?

アクトゼロでは企業のソーシャルメディア上のブランドページ、公式アカウントの運用・プランニングなどを承っています。初めてのお打ち合わせなどで、クライアントのご担当者様や、代理店向けにソーシャルメディアの特性についてご説明する機会が多いのですが、ソーシャルメディアがどういう場なのかについての説明で、どうもしっくり来る説明が見つかりませんでした。

そんな中、AZ社内会議の中で「これは!」という表現に出会ったので、この切り口でソーシャルメディアの特性についてお話ししたいと思います。

ソーシャルメディアはBARである。

by sergis blog

ソーシャルメディアを理解する時、BARに例えて考えることで、その理解は容易くなります。

Facebook・Twitterなどのプラットフォームは、いうなれば「BARの店舗」です。バーカウンターに座っているのが「ユーザー」。あなたの親しい人は、隣に座っている客、よく知らない他の常連は、すこし離れた席に座っていますが、その話し声はうっすらと聞こえてきます。当然バーなので、みんな好き勝手なことを話しています。自分のこと、仕事のこと、どこの飯が美味いとか。向こうの方には、芸能ニュースをネタに盛り上がっている客もいます。自慢の飼い猫の写真を隣の客に見せているひとも。政治について議論している人もいるみたいです。これが、ソーシャルメディアです。完全なプライベートとパブリックの中間のコミュニケーション。自分の喋る声が、同じカウンターの知らない客にも届き、その話題がきっかけで、今日も新しい人間関係が生まれていきます。

何故企業が「人」になるか。

企業の公式アカウントの多くが、何故「人」として振る舞うのかの答えがここにあります。企業の公式アカウントが、Webサイトの<おしらせ>のような発言を、そのままソーシャルメディア上で行うことは、「バーカウンターの中にセールスマンが現れて自社商品のプレゼンをはじめる」ようなものです。そんなセールスマンをバーの客は受け入れないでしょう。旨い酒を飲んで、楽しく話をしたいのです。みんな。

バーでコミュニケーションを取るのであれば、まずはバーの客になることです。企業のアカウントが「企業」であるよりも「人間(もしくは架空のキャラクター)」であることを前面打ち出すと言うことは、つまりそういうことなのです。

「企業のままでいること」を許される存在。

しかし、企業アカウントの中には、運用時に「人間」を打ち出さなくても、多くのファンやフォロワーを集めているものがあります。何故企業のままの公式発表や新商品情報が、バーカウンターで受け入れられるのか。それは、情報が「話題性」を持っているからです。現実世界でブランディングに成功している企業(広く「良き企業」として理解されていたり、少数でも熱狂的なファンを抱えている企業)の「新情報」は、バーカウンターの共通の話題として消費・伝播されていきます。バーの客になるのではなく、バーの話題になることができるのです。Appleの新型iPhoneのリーク情報だけで、何時間でも盛り上がれる人たちがいますよね。話題性とはたとえばそういうことです。コカコーラや、アップルや、マクドナルドや、ユニクロや、無印良品やサブウェイだから「企業のままでいること」が許されるのです。

診断アプリが何故流行るか。

診断ゲームが各ソーシャルメディアで大量に消費されていますが、これはバーにおける「ダーツ」のようなものに例えることができます。共通の話題がない時、ひとつのゲームをネタにしてもりあがれるという理由で、診断ゲームをユーザーは楽しんでいます。
ダーツでユーザーの注意を一時的に引き付けることはできますが、 あくまでダーツはダーツです。一過性のお遊びにしかなりえません。企業ブランディングの構築に大きく寄与することはないでしょう。

企業はバーでどう振る舞うべきか。

それでは、企業がバーでどう振る舞うべきでしょうか?ソーシャルメディアで何を得たいのかに大きくよりますが、例えば以下のような形が考えられます。

・バーカウンターに客と共に並び、コミュニケーションの中で顔なじみを増やし「バーの人気ものになる」。
・バーカウンターに並ぶ客の興味と、自社の「接点」を探り、 バーで受け入れられやすい「話題」を提供する。

まずは、バーを知ることから始めましょう。全てはそこからです。