消費から体験へ…独BMWが進めるブランド体験の共有

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こんにちは。アクトゼロのプランナーズブログ、木曜日は山田がお届けします。

最近、モノが売れなくなったとよく耳にしませんか?もちろん、景気や所得などに大きく左右される部分になりますが、本当に必要なものだけしか買わないとか、華美なものではなく実を取る購買傾向があるとか、経済紙等で様々な視点から取り上げられているのを目にします。

特に話題になるのが、自動車の国内販売台数で、日本の基幹産業であることからも注目度が高い業界と言えます。直近の日本経済新聞の記事によると、国内の販売台数トップ10のうち8台が軽自動車となり、まさに実を取る購買傾向が表れているようです。

これまでの自動車のプロモーションと言えば、どれくらい燃費がいいとか、安全であるとか、性能面での訴求が主流だった傾向が見られました。しかし、技術的に一定の水準まで達したことで、メーカーごとに性能面での差異が以前ほど大きくなくなってきている状況です。そんな自動車業界に、自社ブランドや製品を訴求するための新たなプロモーションの形に取り組む企業が出てきています。

#BMWstories

面白いプロモーションを始めたのが、ドイツの自動車メーカーBMWです。ご存じのとおり、比較的高価格帯の製品をラインナップしていることから、“実を取る”消費傾向の中、違うアプローチが必要になったのかもしれません。そのプロモーションとは、グローバルで展開している「#BMWstories」というもので、昨年開始され現在も継続して行っています。

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「#BMWstories」特設サイトには、以下のようなイントロダクションが書かれています。

すべてのBMW は、さまざまな体験によって輝きを増していきます。
多くの人々のBMW ストーリーを、ここでお愉しみください。
そしてぜひあなたも、この特別な歓びを知る一人として、#BMWstories、#BMWストーリー のハッシュタグを使って、
ご自身のBMWストーリーを語ってください。

このプロモーションのテーマは、「ユーザーの体験を通じてBMWを見る」ことで、所有しているユーザーが各々のストーリーをハッシュタグを使ってSNS上で共有するところにあります。ハッシュタグを使うという仕組み自体は、使い古された手法と言えますが、そのテーマのおき方が非常に今っぽいと感じています。

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どの辺が今っぽいかと言うと、ユーザーのライフスタイルの中にあるBMW製品を、実際に使っているユーザーからの発信によって、多くの人に間接的に”体験”させることができる点です。友達の体験を、投稿を通じて間接的に体験できるというSNS的な着眼点によって、企業側が自ら積極的に発信しなくても、多くのブランドのイメージや製品の特長が共有されることにあります。
企業側としての介在は非常に少なく、下記の動画のように参加意欲を高めるための演出がところどころで行われているだけです。

また、「#BMWstories」で発信されている投稿を見ていると、BMWが自ら伝えるよりも、説得力を持って感じられることに気づきます。
それぞれのライフスタイルを元に商品について語られる言葉は、性能や機能といった数字的なものではなく、日常の中にある商品のあり方という本質を捉えているように思います。

 

そういった本質的な視点であるがゆえに、ユーザー同士のコミュニケーションが生まれてくる可能性もあります。
とあるユーザーの投稿(上記)が、BMWの公式Facebookアカウント(日本語)で紹介されたところ、その内容を紹介する投稿のコメント欄で、投稿したユーザーとBMWファンの間に交流が自然に発生しているのです。

ファンの体験を通じた間接的なブランド訴求

ソーシャルメディアを始めとして、インターネット上でのコミュニケーションが一般化したことで、企業は製品を利用しているユーザーの生の声を集めやすくなりました。いまだ影響力が大きいと言われる「口コミ」サイトを見ても明らかで、実際に体験した声の「説得力」は非常に強く、それをどのように自社のプロモーションに活かしていくのかというのが、まだまだ十分であるとはいえません。

しかし、今回のBMWのように、製品やブランドのメッセージを直接伝えるのではなく、BMWユーザーの実際の声を募り発信していくだけで、一定の効果が感じられるものになっていると言えます。

もちろん、BMWは多くの人が知っている企業と言うアドバンテージがあるため、すべての企業や商品に当てはまるとは言えませんが、ただ消費されるだけの情報を発信するだけでなく、ユーザーの目を通す=体験を通じメッセージを伝えるという形態は、プロモーションのひとつの形になるのではないかと思います。

アクトゼロ / 山田