海外マクドナルドのキャンペーン炎上から学べること

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ソーシャルメディアインサイトです。アクトゼロ黒沼です。

今日は、先日マクドナルドがTwitter上で行ったキャンペーンの炎上事件をとおして、ソーシャルメディアを使ったキャンペーンを実施する際に気をつけておきたいことについて考えてみます。

炎上のあらまし

事件の概要については、以下のサイトに詳しくまとまっていますので、まずは、ぜひご覧ください。

McDonald’s #McDStories Twitter campaign backfires – Telegraph
http://www.telegraph.co.uk/technology/twitter/9034883/McDonalds-McDStories-Twitter-campaign-backfires.html

海外マクドナルドのTwitterキャンペーンが失敗・大炎上中 – DNA 
http://dailynewsagency.com/2012/01/25/mcdstories-fail/

国内のブログ・Twitter上などでは、必ずしも正しく伝わっていない部分があるので整理します。
マクドナルドは、自社の提供するビーフやポテトの生産者にスポットライトを当て、 Youtube上に2つの動画をアップしました。

その動画について、顧客とコミュニケーションを取るためにハッシュタグ#McDStoriesを用意したのです。
マクドナルド的には、生産者の真摯な態度について、マクドナルドとユーザー、そしてユーザー間でのコミュニケーションをとってもらうことを狙っていたのだとかんがえられます。

始まりは、そもそも「いい話募集」のキャンペーンですら、なかったのです。

ところが、ハッシュタグの字面#McDStoriesがひとり歩きを始めます。このハッシュタグを知ったTwitterユーザーが、自身のマックでひどい目にあった体験を投稿し始めました。更には反資本主義のツイートや、反肉食主義、動物愛護団体など、思想信条的にマクドナルドと相容れないTwitterユーザーの参戦で、反マクドナルドユーザーの罵詈雑言大会へとつながり、炎上してしまいました。

それでは、どこがまずかったのか

誰にも嫌われない人間が居ないように、誰にも嫌われない企業は存在しません。マクドナルドは、その巨大すぎる規模そして成り立ちから、ネガティブな思いを持ったユーザーを少なからず抱えている企業です。もちろん、それを圧倒的に上回る数の顧客に愛されているわけですが、残念ながら怒りを持った人たちほど声が大きいのは世の常です。

キャンペーンの動画自体は、美しくユーザーを惹きつけるものに違いはなく、ポジティブなアクションがユーザー間で起こりうるレベルのものだと思います。

キャンペーン全体の中で、ただ一点まずかったのは#McDStoriesというハッシュタグの名付け方です。日本語で言い換えるならば「マックに関するストーリー」ポジティブ要素もネガティブ要素も受け入れられる包容力のあるハッシュタグです。このタグの存在が、ネガティブな思いを抱えるユーザーに発言の場を与えてしまいました。

僕達は何を学ぶべきか

この炎上から僕達が学ぶことができるのは以下の点です。

  • ソーシャルメディアのキャンペーンに参加するのは、ポジティブユーザーだけではない。
  • ネガティブユーザー参加の可能性を計算に入れたキャンペーン設計を。
  • キャンペーンを構成する機能の「ハンドリングできる部分」と、「ハンドリングできない部分」について正しく把握をする。

ハッシュタグについてまずかった部分は、名づけ以外にも「それ自体がハンドリングできない仕組み」であったことがあります。

ソーシャルメディアのキャンペーンでは、開かれているがゆえに時としてネガティブなユーザーとも真摯に向き合うことが必要となります。しかし、ハッシュタグは誰のものでもない上、そのハッシュタグで交わされるツイートをモデレーションすることは不可能なのです。英語圏のネガティブユーザーを相手に回すという、圧倒的なツイート数量の差もあります。しかも公式アカウントで向き合うことが、より事態を拡散させる要因ともなるため、反論の声を上げることも難しくなりました。

ソーシャルメディア上でのキャンペーンは、リアルに生の声であるからこそうまく回ったときに価値があるものです。リアルであることが招きうる事態の可能性については、クローズドなキャンペーン以上に思いをめぐらす必要があるのです。