水没でスマホの便利さを失った私のライフログ

仕事にも精が出る金曜の20時。一息つくために入ったお手洗いから発せられた私の雄叫びが事務所のフロアを包んだ。

かれこれ15年位前に高校生だった当時、初めてPHSというものを持つようになってから、ずっと携帯端末のホームポジションとなった左の胸ポケット。個室で屈み込んだ瞬間、15年の歴史上初めてホームポジションから離れてダイブしていく私の携帯端末、初代Xperia。陶器に当たるカランカランという軽快な音、そして「タプン」と虚しい水の音…。

「あ゛ーーー!」 慌ててサルベージ。フタを開け、バッテリー・SIMカード・メモリカードを取り外す。拭ける水分は徹底的に全て拭う。

対処法をググらなければ。スマホ、スマホと左胸のポケットをまさぐろうとしたその手に、探していたものが使えない状態で握られていたことに気づく。スマホが自分の日常生活にすっかり溶け込んでいてその便利さが急に失われたことに気づいたこの瞬間、これはしばらく面倒なことになりそうだぞ、と予感したのだった。

代替機、docomo mova「RADIDEN」起動!

ひとまずはドライヤーとヒーターで乾燥させてみることに。かつてポータブルDVDプレーヤーを撮影の小物として使った時、誤って水浸しにしてしまったが、完璧に乾燥させたところ、問題なく使えるようになった経験があるので、しばらくの間、電源を入れずにひたすら乾燥させることを決意。

同情する者、笑う者ありの事務所の中、向かいの席のFちゃんはwebで「携帯が水没した時の対処」をググッてくれる。アルコールに浸して水分を取り除くだとか、シリカゲルで密閉するとか…。しかし、どこの事務所・自宅に大量のアルコールやシリカゲルがあるのだろうか、という疑問を抱くのは私だけではないはず。

「デラさん、まだヨドバシ開いてます!」と、言うのは隣の山田氏。確かに別の端末を買って、SIMカードを差し替えればすぐに同じ環境を復元できるはずだが、そう急に数万円の買い物を決める訳にもいかない。機種選定にはじっくり時間をかけて行いたい。

しかし、このままでは電話も不通である。今日のビジネスマンたるもの、所持忘れや電池切れで携帯での連絡が不通という事態は絶対に避けたいものである。そんな時のために、私のバッグにはバックアップの携帯が常備されているのだ!「世界初のTV/AM/FM受信対応携帯電話」のキャッチのもと、一部デジモノファンに支持された「RADIDEN(SO213iWR)」である。

この端末はデュアルネットワークサービスに加入しているため、FOMAで契約されたXperiaの電話番号をmovaに切替えることができるのだ。これは、FOMAの黎明期、エリアが狭かった頃によく利用されていたサービス。来年3月、mova廃止に伴い、サービスも終了する。movaに切り替えた瞬間、仕事関係者から入電が。RADIDENのおかげで、通話応対は今まで通り問題なく行えることになった。

仕事をしていて、ジワジワ来るスマホを無くした不便さ

一連の騒動があっても、今夜中に済ませたい仕事は勝手には終わらない。心中穏やかでは無いが、残業に戻る。

今朝、移動時にスマホでチェックしたtwitterのリンク先である機材情報が、今作っている提案に生かせることを思い出す。改めてweb検索するにも一向にヒットしない。

twitterのつぶやきは誰がしたものだったか、またその機材のメーカー・型番なども全く思い出せない。そもそも後でブックマークから参照しようと思い、情報の中身を記憶しようとしていないのだから当たり前だ。twitterのタイムラインを逆走してようやく見つけ出した。ここまで15分程度をロス。

スマホが生きていれば数秒でその情報にアクセスできるはずだったのだが…。知識のクラウド化も考え物かもしれない。

提案書の次は見積書作成だ。しかし、仕様について一部、クライアントに電話確認しなければならない事項があることに気づく。事務所の受話器を取るが、電話帳代わりのXperia は無い。

メールの履歴を検索してみても、その方はメールに署名を付ける習慣がないようで、電話番号が分からない。会社のホームページに掲載された代表番号に掛けるものの「本日の営業は終了しました」のアナウンスが。

仕方なく、名刺を探すが、日頃名刺を基に検索する癖が無いため、未整理のカオスのまま…。 整理できていない自分を恨みながら、該当する名刺を見つけるまでまた10分程度をロス。

日常のカーライフも不便に

22時過ぎ、一連の仕事をようやく終え、退社。社長に飲みに誘われていたが、車移動のため今日は帰宅することに。

この時間に使うAndroidアプリは「渋滞状況」。首都高速・一般道の渋滞状況が分かるアプリだ。自宅の埼玉まで車で帰る私にとって、経路選択は非常に重要なのである。かつて一般の携帯を使っていた時、iモードでも見られる渋滞情報を活用していたのだが、スマホでは当初、iモードが使えなかったため、iモードは解約済み。つまり、手元のRADIDENでは渋滞情報にアクセスできない。

 このような写真を撮りたい時も、デジタルカメラ代わりのXperia を求め、
つい左の胸ポケットを探ってしまう・・・。

普段、ドライブのBGMはスマホの中に蓄積させたmp3。せっかく昨日、新たな楽曲をインストールしたばかりなのに聞くことができない。仕方なく、バッグの底に埋もれていたmp3プレーヤーを久々に鳴らす。収録されているのは聞き古したプレイリストばかり。mp3プレーヤーの中身もアップデートさせておくべきだった…。

帰宅後も軽いストレスは継続的に続く

23時過ぎ、自宅に到着。実家で両親と同居しているため、母親が準備してくれた夕食を摂る。そして食事時も傍らに携帯を置くことが習慣となっている。

仕事のメールやスケジュールなど全てをXperiaに同期させているので、スマホで全て確認できる。既に、Xperiaは「メール着信お知らせ装置」として日常生活に根を生やしているのだ。

食事中、普段の癖で、気づくとついRADIDENに目をやってしまうが、メールを受信しているかどうかは彼は教えてくれない。(ノートPCを取り出してメールを確認するまで気にしている訳では無いのだ。)

また、食事以外の時でもそうだが、仕事のアイデアが浮かんだり、するべき作業のToDoリストは、メールの下書きに箇条書きで残す癖が私にはある。

食事中に気づいたToDoリスト、今日は電話料金の通知の入っていた封筒にボールペン書きですよ。

食事後、入浴し、24時過ぎに自室に上がる。薄暗い廊下を歩くとき、Xperiaの大画面を点灯させて懐中電灯代わりにするのだが、今日のRADIDENは少し光量が心もとない。

自室で少し作業し、webを眺め、軽く読書。気づけば午前2時半だ。明日は土曜だから少し夜更かしをしてしまった。携帯の目覚ましアラームで起きるのは長年の習慣なので、アラームをセットしようとするものの、いつもと勝手が違い、戸惑う。 

 気づかぬうちにスマホが生活に根を生やしていた

 こんな感じで、突然スマホという便利な道具が無くなった時、細かい点含め、不便を生じるようになってしまいました。翌日は休日だったためまだ良かったものですが、これがウィークデーの日常業務中だったら、恐らくもっとストレスを感じるシーンが多かったと思います。

 携帯電話にはそれ程、執着が無いと思っていた私ですが、気づかぬうちに確実にスマホの便利さの恩恵を活用し、スマホ頼りの部分が大きかったことを改めて感じました。皆さんも、もし自分だったら・・・と身を置き換えて考えてみてみて下さい。

一日中、ひたすら扇風機で風を送って乾燥、乾燥。

現在、弊社ではISMS取得の取り組みを行なっているのですが、その中では、情報にアクセスできなくなった場合の管理策(システムの二重化・予備回線の確保など)が求められています。

様々な情報をクラウド化させるのは、物理的故障などの策として有効かもしれませんが、同時にアクセスするためのハード・ネットワークのバックアップ策の準備が、個人レベルでも必要なのかもしれません。

翌日の夜、電源を入れてみたところ、晴れて復活!
二度とトイレには落とさないように心がけます。 

Photo by By TAKA@P.P.R.S