Ustream配信で確認すべき重要事項<音声編>

20110530_00

Ustreamの配信では、映像のクォリティーは勿論のこと、音声のクォリティーも非常に重要となります。

かつて私が映像の世界を志した当時、大先輩に教えられ今も心に留めている言葉があります。それは、「音で観せて、画で聴かせる」。音を聴いただけで情景が映像として思い浮かぶような音声作りを、映像を観ただけで音声も聞こえてくるような映像作りを目指せ、という教えです。同時にこの言葉は、良い映像作りには良い音声作りも同時に意識しろ、ということも言っているのではないかと思っています。

視聴者がストレスを感じ易いのは”音”

人間は日常の生活の中で、不快な音声に対して比較的簡単にストレスを感じます。映像における音声も同様に、映像に少々カメラワークの不備などが生じるよりも、登場者の声が聞きとりにくかったり、ノイズの多い音声に対して、イラッと感じた経験はないでしょうか。音声でストレスを感じやすいのは、ヒトの成長のステップで視覚の前に聴覚が発達するから、とも言われています。

コンテンツによりますが、Ustream視聴者の多くは「ながら視聴」をしています。別の作業を行いながらたまに配信画面に目をやる、といったようなスタイルで視聴することが多いようです。TV番組よりもラジオ番組を聞くイメージに近く、音声を聞くことが中心となってくるため、その分、Ustreamにおける音声の品質は重要となってきます。


(画像1:Ustream中継のソーシャルストリームに音声の苦情がつぶやかれた例。スポーツ中継の番組で、確かに実況アナウンサーのマイクに、不定期で電子的なノイズが乗っていました・・・。中継スイッチングが良い出来な分、残念でした。)

PAのラインを利用する

会議室や講堂、ステージやホールなどで行うイベントの場合、マイクとスピーカーが準備されており、話し手の発言を大きな音に変化させて聞き取りやすくしながらイベントが行われます。これはPA(Pubric Address=公衆伝達)と呼ばれています。

PA機材の中で、各マイクの音声を一手に受けて音量バランスを調整する「オーディオミキサー」と呼ばれるものがあります。ここには会場のスピーカーと同一の、明瞭な音声が来ています。Ustreamの中継でこの音声を使えば、カメラに付属しているマイクの音声よりも、格段に明瞭な音声で配信することができます。このように、現場のPAから明瞭な音声を受けて映像収録をすることを、「PAのラインを受ける」と言います。

ミキサーは大概、会場の隅や、配電盤のようなラックの中にあります。機種によりますがミキサーの”Line Out”や”Main Out”と呼ばれる端子が、最終的なアウトプットとなっているはずです。この際、端子や規格には様々な種類があるので、事前に確認しておく必要があります。また、家庭用のビデオカメラではPAラインを受けらないことが多いので、配信側の機材も対応したものが必要となります。


(写真2:左が音楽ミキサー、BEHRINGER 1002FX。安価で小型な割に、必要な機能が備わっているので非常に便利。右が変換コネクター類。現場の機材と、弊社の機材のコネクター形状が異なる場合、変換して接続する。業務用の規格には様々な種類・形状があるので、その知識や扱い方、機材や変換コネクター・ケーブルを準備する必要がある。)

ノイズマイク

PAからラインを引いて、明瞭な音声が手元に来たら、そのままその音声を使っても良いのですが、現場にはマイクの音以外にも、観客の歓声や拍手など、様々な”現地音”が存在します。PAの音声はそもそもの目的から現地音は乗っていないため、ある意味不自然な音ともいえるでしょう。

そこで、より臨場感を伝えるために、現地音を拾う”ノイズマイク”を立てて、PAの音声と混ぜて使います。ノイズマイクは、同時に、予期しないハプニング(マイクを持たない想定者以外の発言=観客の質問等)の場合、音声が全く拾えないといった事態も防げます。この場合、PAライン音声とノイズマイクを混ぜるためのミキサーが一台必要になります。


(写真3:PAライン音声とノイズマイク音声のレベルを調整する音声さん。音楽ライブのUstream中継だったため、観客の歓声といった臨場感がより重要。映像制作用のフィールドミキサーを操って、心地良い音声を作り出す。)

マイクの準備

イベントではなく、Ustream中継ありきの番組形式の場合、マイクは自前で準備する必要があります。家庭用のビデオカメラで使える映像収録用ワイヤレスマイクがありますが、こういった工夫で格段に音声の質が良くなりますので活用するのも一つの手だと思います。


(写真4:ワイヤレスマイクロホン SONY ECM-HW2

普段、ビジネスで映像の中継や収録を行う場合、番組の内容・出演者数・スタジオの状況などに応じて、適切なマイクを使い分けて音声を収録します。主に使うのは、出演者毎に付けるピンマイクや、比較的遠くからピンポイントで音を拾えるガンマイクです。特に後者は話し手が多い場合などで役に立ちます。


(写真5:業務用ピンマイクの例。SONY UWP-V1  安価な割に問題なく使えるので、よくお世話になっています。)

(写真6:ガンマイクの例。業界標準のガンマイク、ゼンハイザーMKH416。 )

BGM ~著作権フリーのものを

これまで、収録する音声のことばかりに注目してきましたが、番組本編までの待機時間や、番組中にBGMがあった方が良いこともあるでしょう。その場合、当然ですが、市販されているミュージシャンの楽曲は著作権・著作隣接権の関係で、許諾なく自由に放送に使用することはできません。

最近では、著作者の名前を出すことなどを条件として商用利用可能な、クリエイティブコモンズに則った楽曲作品もあるようですが、ビジネスでUstream配信を行う際、必ずしも著作者の名前をアナウンスすることができるとは限りません。弊社の場合、映像コンテンツの制作用に、もとから著作権フリーの楽曲を準備しています。これらの楽曲は非常にクォリティーが高く、普通に日常のBGMとして聞きたいようなものも少なくありません。こうした曲をミキサーの1チャンネルに音楽プレーヤーを接続して、BGMとして流しています。


(写真7:画面中央のモニター上のmp3プレーヤーで著作権フリーの曲を流している。あまりクセの無い、ボサノヴァ調の曲を使うことが多い。)