Ustream配信後の事後処理の重要性<違法アップロードに対応する>

先日、ある音楽アーティストによるライブのUstream配信を担当させて頂きました。著作権の関係上、残念ながらアーカイブ録画を残すことはできず、生中継のみのUstream配信でした。もともと一般に人気の高いアーティストも参加されていたため、視聴数も多く、Twitter・Facebookのつぶやき・コメントも多くされ、大成功に終わりました。

しかし、配信の翌日、YouTubeでイベントやアーティスト名で検索してみると、昨日のライブのUstream中継動画がアップロードされています。私達、公式の配信主は、アーカイブでの配信は行なっていませんし、どの団体にも許可されていません。つまり、違法アップロードされた動画です。

配信直後にアップされたものや、たった数分前にアップロードされたものまで。
権利の所属が分かるように配信動画にはイベントロゴを常時掲出しています。 

webで調べてみると、Ustreamで配信されている動画を自分のPCに録画できるツールが有料・無料ツールでいくつかリリースされていることが分かります。録画したファイルを個人で楽しむ分には良いのでしょうが、ネットで不特定多数が視聴できるようにするのは違法です。

内容に賛否交々はありますが、今年の10月1日に開始された、違法ダウンロードの厳罰化(http://www.stopillegaldownload.jp/)の影響か、違法アップロードも減ったような印象があります。しかし、変わらずこうした違法アップロードは絶えることはありません。

Ustream配信でも、一般に人気の高い出演者が出演するものや、著作権が関わってくるものの場合、特にこうした違法アップロードはどうしても根絶できない、避けられない問題です。そのため、事前に配信の依頼主や権利者との確認と、事後処理について共有・検討しておくことが重要です。今回はイベント主催者と配信主である当社のダブルチェックで対処する握りにしていましたので、当社からもYouTube(google)に削除申請を行いました。

不適切な動画として報告するには、動画の下部にある旗マークのボタンをクリックして、不適切な理由を選択します。”権利の侵害”については、別のページのフォームから申請します。

YouTube: 著作権の侵害に関する通知
http://www.youtube.com/t/copyright_notice

筋の通った申請であれば、通常24~48時間で削除の対応がなされますが、なるべく早めに対応されることを期待して、イベント主催者は「著作権の侵害」で、当社は「YouTube以外の場所で公開した動画」の理由で通知を行いました。

通知主にも勿論責任があります。通知者の所属や、虚偽の申し立てがないことを明らかにした上で申し立てを送信します。

その結果、翌々日にキーワードでYouTubeを検索してみると一掃されており、違法アップロードされた動画が無くなったことが確認できました。申し立て時のメールから、違法動画のURLを直で叩いてみると、当社の申し立てによって削除されたことが確認できました。 

同一のアカウントで、大量に違法アップロードを行なっていたユーザーは、アカウント自体が停止されていました。(とはいえ、本イベントの動画のみをアップしていたアカウントだったので、捨てアカウントだったと思われます。こうして”いたちごっこ”は続くのですね…)

YouTubeは勿論ですが、ニコニコ動画等、他の動画配信サイトでもモニター監視をしばらく続ける予定です。今回はイベント主催者と当社の監視で進めていますが、こうしたネット上の監視を専門に行うサービスもあります。当社も以前にお世話になったことがありますが、予算に応じて監視範囲やキーワード・監視期間や頻度を調整して対応してもらえます。

ピットクルー株式会社(http://www.pit-crew.co.jp/

Ustream配信では、つい技術的なことや、当日の運営に注力しがちですが、配信後にどのようなネガティブなことが起こりうるかをシミュレーションし、クライアントや著作権者と意識を共有することが大切です。事前にこうした情報がなく、事が起きてからクライアント側が知るのとでは、捉えられ方が全く異なります。起こりうることを想定しておき、それに対してどのような事後処理を行うか決めておくべきです。

ユーザー側の、自分の好きなアーティストの動画をアップロードしたい気持ちは分からない訳ではありません。しかし、そうした違法行為をアーティスト側が警戒することで、今までUst配信OKだったアーティストがNGにしたりと、結局はユーザー側の不都合に反映する可能性があるのです。つまり、自分たちの楽しみを、自分たちの行為によって奪ってしまうことになってしまいます。また、アップロードする時、軽い気持ちで行うことが多いようですが、そのちょっとした行為が重大な違法行為で、場合によっては人生を棒に振る結果になりかねません。

ここ数年で定着してきた”ライブ動画中継”の文化を、ユーザーの軽い気持ちによる違法行為で消されることが無いことを期待したく思います。