中国人観光客に選ばれる商品と中国ソーシャルメディアマーケティング

アクトゼロの黒沼(@torukuronuma)です。

2020東京オリンピック開催と円安傾向で、2014年は特に日本を訪れる観光客の数が伸びています。なかでも中国人観光客はその旺盛な消費傾向から日本の小売店や観光業において重要な収益源となっています。china中国で広く普及している決済手段「銀聯カード」対応をうたう店舗も続々と増えているのに加え、免税手続きの簡便化で中国からの観光客の買い物利便性も向上してきました。買い物を主眼に日本を訪れるショッピングツーリズム観光客が増えてきています。

三越伊勢丹の銀座店は、中国人を含む訪日客が最も多い店舗の1つ。10月1日からは免税カウンターの座席を増やすなどして、応対に臨んだ。「それでも30分待ちの状態が3時間も続いた」(三越伊勢丹ホールディングス広報 塚田理恵子さん)と言う。その日の売上げは前年比230%増、売上げの2割を外国人観光客が占めた。
その中でも大きく動いたのが化粧品だ。都心の百貨店では特に化粧品の販売に力が入れられた。売り場ではスキンケアをセットにした資生堂の「赤い箱」が訪日客の目を引いた。もともと資生堂は中国人にとっての人気ブランドであり、女性の買い物リストには欠かせないアイテムだったが、さらに免税となったことで購入意欲を高めたようだ。資生堂広報部の永井正太郎さんは「まだ集計途上だが、前年を大きく上回る実績を出した」と語る。

新免税制度で中国人観光客の買い物消費が3倍にも!「ショッピングツーリズム」で日本文化を発信|China Report 中国は今|ダイヤモンド・オンライン 

百貨店ではもちろん、ドラッグストア等で化粧品や日用品などを大量に買い込む観光客の姿は東京でもよく見るようになりました。中国本土進出を果たしている企業はもちろんですが、そうではない日本の日用品や薬なども人気をよんでいます。(※転売目的のプロもたくさんいますが…)一体どこで観光客は日本の商品を知ったのでしょうか?

中国ソーシャルメディアで広がる口コミとブランディング

答えはソーシャルメディア上です。中国本土においては、「マスコミ=政府の検閲が行われたもの」と認識されていることから、マスメディアに対する信頼度が日本に比べて低く評価される傾向があり、その反動でネット上のリアルな口コミ評価がより重要な指標となっています。食品や肌に直接塗る化粧品など中国国内の商品に対する不信感が高い反面、日本から来たものに対する安心感や信頼感は高く、またその使用感をソーシャルメディア上に拡散する人が多く存在しています。中国においてはソーシャルメディア上で行われるポジティブな口コミ評価が、より高いブランディング効果を生むのです。

shiseidoofficial資生堂公式微博(ウェイボー)アカウント

中国のソーシャルメディアでは、日本国内企業による公式SNSアカウントも数多く運用されています。中国版ツイッターと表現されることの多い新浪微博(シナウェイボー)ですが、資生堂の公式微博アカウントは52万人のフォロワーを獲得しています。アカウント上では日本のファッショントレンドや、メイク情報などを精力的に発信しています。新製品情報などはすぐに感想とともにリツイートされ、情報感度の高い中国の女性たちに共有されています。こうした日々のソーシャルメディア上での口コミに触れることと「日本ブランド=高品質」のお陰で、観光客に選ばれる商品になれるかが変わってくるのです。

日本のこうしたおみやげが人気を呼ぶのは、中国国内で個人輸入された同様の商品を買おうとした時、本当にそれが「日本のものなのか」「中国で作られたコピー品なのではないか」といった疑念を拭い去れないことにも原因があります。間違いなく日本製であり、中国本土で買うより1/3の値段で買えるとなれば、日本に来た中国人観光客が大量に買い込む気持ちもわからなくはありません。

[アクトゼロ/黒沼(@torukuronuma)]

photo by Balint Földesi