海外バイラル動画広告2014年10月事例まとめ(Gatorade/budweiser/Volkswagen/SonyXperia/CHANEL)

アクトゼロの黒沼(@torukuronuma)です。

10月も海外のバイラル動画広告の中から、個人的に面白かったものをピックアップしてご紹介します。毎月の中頃に記事化していますので、9/15~10/15あたりに話題になった動画でお送りします。今回は、スポーツ飲料ブランド「ゲータレード」の公開したデレク・ジーターのヤンキース引退に合わせたエモーショナルな動画広告、バドワイザーの飲酒運転撲滅動画広告、フォルクスワーゲンのスタートレックファン向けコマーシャル、ソニーエクスペリアとPEEK VISIONのコラボレーションによる視力回復の社会貢献動画、シャネルが10年ぶりに制作したNo.5用の美しい映像シークエンスをお送りしていきます。では早速。

Gatorade | Made in New York ft. Derek Jeter

2014年9月29日ニューヨーク・ヤンキースにおけるデレク・ジーターの最後の試合となりました。ファンから「キャプテン」の名で親しまれ、1995年の入団から2014年の引退まで、ヤンキースだけでその選手生命を終えました。通算3000本安打達成・14回のオールスター選抜など成績面ではもちろん、高潔な人格者としても多くのファンに愛された選手でした。

動画では、フランク・シナトラのマイ・ウェイに乗せて、引退間近のジーターがヤンキースタジアムのあるブロンクスの街を、ファンたちと交流しながらスタジアムに向かっていく様子が描かれます。友人のようにファンと接し、気軽にサインに応じる様子とそのファンの喜びようからジーターの人となりが知れます。スポーツ選手という枠組みを超えた、ニューヨークコミュニティの「キャプテン」として振る舞うジーターの姿を通して、スポーツの普遍性と価値を描き出す、素晴らしい動画広告となっています。

Global Be(er) Responsible Day | “Friends Are Waiting” | Budweiser

バドワイザーによる飲酒運転の危険性啓発のキャンペーン動画です。飼い主と犬との友情を描き、友人たちとビール片手に出かける主人の帰りを待つ犬の様子を描くことで、「無事に帰ってくるあなたを待っている存在がいます」とメッセージしています。とにかく犬が可愛く描けてますね。アメリカにおける飲酒運転は日本と違い血中濃度0.08%を超えなければ違法ではないそうで、違反者の取り扱いも州によって異なるそうです。

Volkswagen e-mobility – Zukunft für alle – TV Spot

フォルクスワーゲンの電気自動車シリーズ用に作られたTVspot、ネット上でも広くバイラルしました。スタートレックファンの少年の家の隣に、スタートレックオリジナルシリーズでエンタープライズ号の船長を務めた「キャプテンカーク」役の俳優ウィリアム・シャトナーが引っ越してくる。家を訪ねて行くと、キャプテンが乗っているのはフォルクスワーゲンの最新の電気自動車。「未来が現在にやってきた」というコンセプトを上手く表現した動画広告です。最後には、副長のスポック役だった俳優レナード・ニモイも登場するという、ファン大喜びのサプライズも。

スタートレックファーストシリーズの放送が1966年なので、当時の作品を知るターゲットゾーンは今40~60歳ほど。充分に自由にお金が使える世代に、アプローチする意味でもベストなコラボレーションといえます。 

Xperia Z3 – Peek: Science meets smartphone technology –

医療施設の足りない地方に住む人々に視力回復の機会を与えるための活動をしている団体「PEEKVISION」。彼らは従来、眼科でなくては受けられなかった視力検査を、スマートフォン上のアプリを通して行うことに成功しました。これにより、これまで視力に問題を抱えているため診療の難しかった患者を遠隔で診断することが可能となります。動画の中ではグァテマラの田舎でエクスペリアのスマートフォンを使い診断を進めていくスタッフの様子が伝えられ、エクスペリアのバッテリ性能や高い防塵防水機能が、地方での診療をスムーズにしていることが紹介されます。…ちょっと説明ぽいかな。 

CHANEL N°5: The One That I Want – The Film

CHANELの香水No.5の為に作られたイメージビデオ。10年前にもニコール・キッドマン出演で作られたパフュームのビデオが有りましたが、それ以来の新作となります。ビデオ自体もとても美しいものですが、圧巻なのはメイキング動画の数です。監督インタビュー・コスチュームデザイン・ロケーションなどで合計7本のメイキング動画が作られています。出来上がったビデオがどのように制作されていったかの過程を知るに連れ、シャネルのブランドコンセプトや哲学に視聴者は触れる事になります。ブランディングという意味では、多分メイキング映像のほうがむしろ本編のようです。

前回の作品がニコール・キッドマンを主演とした運命の男性と「出会い・別れる」おとぎ話的なものだったのに対し、今回のビデオの中では、愛する子どもに恵まれ、みんなの憧れる仕事につきながらも、プライベートの恋愛との間で板挟みに合う主人公という設定に置き換えられています。ディズニー映画における「アナと雪の女王」のように、従来のおとぎ話的文脈から脱却し、時代にあったアイコン像をシャネルも探っているのだなと感じました。シャネル誕生の歴史自体が「女性の解放」がコンセプトにあったわけで、今なお通用するテーマなのだとも言えます。

それではまた来週!みなさま良い週末を。

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