日本IBM×シュタインズ・ゲートの事例で考える、コンテンツコラボレーションと企業ブランディングのこれから

みなさまこんにちは、アクトゼロの黒沼(@torukuronuma)です。

突然ですが、「シュタインズ・ゲート」をご存知ですか?2009年にゲームとして発売され、以降アニメ化や数多くの派生作品を生み出した人気コンテンツです。秋葉原を舞台に、事故的にタイムマシンを開発してしまった学生達を主人公にしたSFアドベンチャーゲームで、ネットスラングや実際に2000年11月米国のネット掲示板に登場した未来からきたと自称する「ジョン・タイター」が作品内に登場するなど、現実世界と一部リンクするような世界観で大きな人気を呼びました(※僕も大ファンです)。作品内では、主人公達がハッキングを行い、後に敵対する組織として、実在する「欧州原子核研究機構:CERN」をモデルにした「研究機関SERN(セルン)」が登場しますが、今年5月にはCERNの研究者がシュタインズゲートに触れながらネット上で質問に答え、大きな話題となりました。

「CERNの科学者だけど質問ある?」Redditに降臨、シュタインズゲートにも言及 タイムマシン研究「SERNに任せたよ」 – ねとらぼ 

と、ここからやっと本題なのですが、同じように作品内には、キーとなるアイテムとして「IBN5100」というPCが登場します。これは「IBM5100」という、IBMがかつて実際に開発した実在するコンピューターがモデルとなっています。

その縁で今回、日本IBMが公式でシュタインズ・ゲートとコラボレーションを行い、シュタインズ・ゲートのキャラクターたちがIBMの進めるコグニティブ・コンピューティングの活用について紹介する、描き下ろしのアニメーション作品が原作キャスト・スタッフそのままに制作されました。

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IBMの運用するオウンドメディア「mugendai」上でも、シュタインズ・ゲート原作でありゲーム開発元代表の志倉千代丸氏と、IBMの森本典繁所長の対談コンテンツも掲載されています。

mugen【対談】創作世界とエンジニアリングの交差点――志倉千代丸氏×IBM森本典繁所長 | Mugendai(無限大)| 新たな視点と最新の動向を提供するWebメディア

コンテンツのコラボレーションによるブランディング競争の始まり 

広告の到達度が年々下がり、ユーザーが自ら取得する情報を選ぶことが出来るようになった時代。企業ブランディングはこれまでのような広告一辺倒な形では実現できなくなってきました。コンテンツマーケティングという言葉が叫ばれて久しいですが、ユーザーに愛されているコンテンツと企業の接点を上手く活用して、企業のファン・支持者を増やしていくことを通したブランディングが必要とされてきています。今回のIBMは、CERN研究者がシュタインズゲートに言及することでファンに大いに喜ばれたように、多くのシュタインズ・ゲートファンに好意的に受け入れられているようです。

コンテンツマーケティングというと、ゼロから何かを産みだすというプレッシャーに身構えがちになりますが、すでにファンを多く抱えるコンテンツと自社の価値観との共通点を探すと考えれば、様々なアイデアが生まれてきそうです。

飲食や消費財などB2C企業の多くでは、コンテンツとのコラボが、もうずいぶん前から進んでいますし、今回のIBMのような完全なB2B企業でもコラボレーションを行う時代です。これからは、ブランディング向上のために有望なコラボレーション先を確保しようとする企業がますます増えてくると、僕は思います。

[アクトゼロ/黒沼(@torukuronuma)]