スマホ広告の誤クリックで与える影響は?~GoogleがAdWords広告の対策を発表

広告費のシェアを媒体別に見ると、インターネット広告は、ラジオ・雑誌・新聞を追抜いて久しく、やがてテレビを超す規模まで成長するのではないかとまで言われています。その内でもとりわけ、スマートフォンの普及に伴い、モバイル広告費が着実に伸びを示しています。

スマホに特化した広告マーケティングを提供するCyberZが実施した「2015年 スマートフォン広告市場動向調査」によると、2014年のスマートフォン広告市場は、前年2013年の予想時の2,304億を大きく上回る3,008億円(対前年比162%)に達したと伝えています。

2016年以降も成長率は緩やかになりながらも、今後もこの傾向は続くと予測しており、2016年にはスマホ広告市場は4,737億円規模に達し、インターネット広告市場全体の過半数である55%に達すると予想しています。

私自身も、通勤の途中など、ちょっとした隙間時間を潰すために、スマートフォンでFacebookやtwitterといったソーシャルメディア、ニュースサイトやアプリを閲覧する機会が多く、様々な種類のモバイル広告を目にします。例えば、サイトの次頁に遷移するときなど、誤って広告をタップしてしまい、全く自分にとって興味の無い広告を表示してしまった時、なかなかストレスを感じるのは私だけでは無いと思います。

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セルフ型アンケートサービス「Fastask」を提供する、株式会社ジャストシステムが2014年6月に実施した「スマートフォン広告に関する調査」では、半数以上のユーザーは、自ら意思を持って広告をクリックした経験がなく、誤操作で広告をクリックしたと伝えています。

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また、意図しないクリックをさせられたユーザーのおよそ6割は、不快感・ストレスを感じていると報告しています。また、およそ3人に1人はその広告商材や企業の印象が悪くなると回答しています。

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スマートフォンで掲載される広告の位置は、まるで誤操作を招くような位置に配置していることが多く感じます。クリック率を高めるだけであれば有効だと思いますが、果たしてそれがコンバージョンに至るのか、また、前のデータのように、誤操作で誤表示した広告やその企業に対する印象悪化に繋がることを考えると、果たして有効だと言えるのでしょうか?無駄なクリック数が多いと、広告主にとってもユーザーにとってもメリットが少ないといえるでしょう。

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こうした状況を反映してか、米国Googleは先日6月25日、スマホやタブレットPCに掲出されるAdWordsモバイル広告において誤操作によるクリックを回避する対策を発表しました。(Google Inside Adwords : Better click quality on display ads improves the user and advertiser experience

やはり、同社の調査においても、モバイル広告のクリック数の50%は、誤操作によるものだと報告されているようです。今後、3項目について対策を講じました。

・広告のイメージ画像の周囲数ピクセルのエリアは、誤操作が発生しやすいエリアなので、触っても反応しないように設定
・アプリインストール広告では、広告を閉じる☓印を押す目的からの誤操作を防ぐために、アイコンを触っても反応しないように設定
・広告が表示されてから、クリックできるまで時間を設け、クリックするかしないかをユーザーに考えさせる時間を与えるように設定

一つ一つは細かな変更点ではありますが、偶発的に起こしてしまう誤操作を防ぐためにはなかなか有効的な施策といえるかもしれません。これらの改善により、平均で15%のコンバージョン率が向上したとも報告されています。

広告は、企業側からすれば、集客・販売増とは切っても切れない手段ですし、ユーザー側からすれば、新しい商品やサービスとの出会いの機会だったり、無料でサービスを受けることができる条件だったりします。そこで重要なのは、お互いが過度に不愉快な思いのしないコミュニケーションになることなのではないかと思います。

Photo by tokyoform